イラストコンテスト連動企画

指先操作で3Dキャラを手軽に作成、iPadの無料アプリ「123D Creature」を試す

Text by 土屋 徳子

今回作ったキャラクター

 「3Dプリンタとフィギュア」をテーマにした「あなたのイラストを3Dプリンタでフィギュア化!イラストコンテスト」連動連載も第二弾。

 今回は、指先で引っ張ったり伸ばしたり、粘土をいじるような操作感でキャラクターを作成、3DプリントもできるiPad向けの無料アプリ「Autodesk 123D Creature」を使った作成例を紹介しよう。

第一段階:骨格作りと肉付け〜ヒト型を伸ばして曲げて〜

「Autodesk 123D Creature」の起動画面。モデリング、着色、2D合成、3Dデータの出力までをこれ1本でこなす、本格的な3Dモデリングアプリ。
ヒト型のベーシックな骨組みが用意されている。青い小さな点は関節を意味する「ジョイント」。ジョイント間は白い線(骨)で結ばれている。

 まず、123D Creatureでの操作は大きく4つ、「1.骨組み」「2.彫刻」「3.着色」「4.作品化」に分かれている。いずれの工程も、3Dモデルを指先で触りながら、直感的かつ効率良く作り上げるしくみだ。

 起動後に開く「ギャラリー」で、「Create New」をタップすると開くのが先ほど挙げた一番はじめ「1.骨組み」の画面。

 123D Creatureではあらかじめ基本のヒト型モデルが用意されており、これに「Create」ツールで関節にあたる「ジョイント」を追加し、「Move」ツールでジョイントを移動して骨格を整える。ジョイントを増やすほどに複雑な骨格も形成可能だが、このアプリの特徴として、あとから頭身の比率を変更するのは困難なため、はじめのこの段階で3Dモデルの頭身の大きさや比率、ポーズを決定しておくことが重要だ。ここでは2.5頭身になるように、頭と胴体のジョイントを移動した。

 なお、首のような極端にくびれた部分があると、3Dプリントで再現できないことがあるの肩と頭はくっつける。また、手はできるだけ胴体に近づけておくと3Dプリント後の仕上げが楽になる。

 次に「Shape」ツールで四肢の太さを調整し、おおまかな肉付けのメリハリを付ける。頭部分のジョイント間にある青いポイントを上にドラッグして大きく膨らませ、手首など細くしたい部分はポイントを下にドラッグする。

 さらに耳や鼻を、ジョイントの本数を増やして形成する。3Dモデルを正面に向けた状態で操作すると左右対称で反応し、横向きの状態では前後の1方向のみの操作ができる。例えば耳を追加する場合は正面を向けてからジョイントを追加し、鼻は横向きにしてから追加する。同様に髪の毛、腰回りの膨らみなども、ジョイントの本数を増やして形成する。全体のバランスを整えたら、画面右下の「Bake Skeleton」をタップして骨格を固める作業へと進める。

白い線上を「Create」ツールでタップしてジョイントを追加する。
「Move」ツールでジョイントを移動し頭身を決めたら、「Shape」ツールで頭を大きく膨らませる。
耳は左右対称に、鼻や髪の毛は前後にそれぞれジョイントを追加する。
髪の毛や腰回りのジョイントを追加して全体のバランスを整え、「Bake Skeleton」をタップし、骨格の形成を確定する。

第二段階:表面仕上げ〜指先で直感的に凸凹を〜

 骨格を形成したら、その後に開く画面で「Scalpt」をタップ。3Dモデルの表面を仕上げる「2.彫刻」過程だ。

 ここでは、3Dモデルを彫刻や粘土細工をするような感覚で細かい部分を形成していく。例えば目のくぼみ部分は、ドラッグした部分を奥の方に押し込むことができる「Scalpt In」ツールを使い、へこませる範囲と量をスライダーで設定して額の下をドラッグする。ドラッグを繰り返すごとに凹みを深くすることができる。

 凹ませすぎた部分は、「Smooth」ツールでなぞることで浅く滑らかになる。表面の凹凸が顕著な箇所は、この方法を繰り返す。また、「Scalpt Out」ツールで目の部分をドラッグして盛り上げたり、「Sharpen」ツールで鼻の先をドラッグして尖らせたり、また、足の裏を「Flatten」ツールで平らにしたりなど、目的に適したツールをこまめに切り替えて、少しずつ形を整えていく。

 そして、この段階の仕上げが、表面をつかんで引っ張る「Grab」ツールだ。これは、このアプリで最も活用頻度が高いと思われるもので、スカート部分や髪の毛の先端を指先で引っ張って伸ばしたり、ヒップアップや鼻を上向きにするなど、パーツの微調整に特に優れている。このツールを使いこなせば、プロ級の3Dモデルに仕上がるといっても過言ではない。

目のくぼみ部分を「Scalpt Out」ツールで凹ませ、続けて「Smooth」ツールで凹みを滑らかにする。
目玉部分は「Scalpt Out」ツールを選び、左側のスライダーで目玉サイズにブラシを設定し、ドラッグして盛り上げる。
「Grab」ツールでお腹から下にドラッグしてスカートを形成する。
肉付け形成の最後に「Smooth」ツールで表面を滑らかに仕上げる。

第三段階:3Dプリンタ用のデータ書き出し〜彩色ナシならここで完成〜

アカウントの登録はギャラリー画面で「My Profile」をタップし、さらに「アカウントを作成」をタップして開く画面でアカウントを作成し、サインインしておく。

 「彫刻」まで完成したら、彩色なしのモデルとしてはひとまず完成。3Dプリンタで出力できるSTLファイルを書き出すことや、作品としてコミュニティサイトにアップロードすることができる。

 まず、個人用3Dプリンタで出力する場合は、まずはオートデスクのコミュニティサイトへ登録(無料)し、サインインする。

 そして、アプリ画面左上の「Project」をタップ、その後開くギャラリー画面で、「Save」をタップして保存をする。続けて「Share with tha Community」をタップして、3Dモデルの名前と簡単な説明、およびタグを入力し「Upload Now」をタップすると、コミュニティサイトの自分のスペースに3Dモデルのデータがアップロードされる。

 すべてのデータがサイトに反映されるまでは多少時間がかかるので、しばらくしてから作成した3Dモデルが公開されているページをPCで開き、画面右側の「Save/Download」から「Fabrication」をクリックすると「stl」ファイルのダウンロードを開始する。ダウンロードしたデータを3Dプリント用に使用する。

3Dモデル保存後に「Share with tha Community」をタップして、モデル名などを入力し、「Upload Now」をタップする。
オートデスクのコミュニティサイトで公開され、3Dプリント用のstlデータもダウンロードできる。

第四段階:着色〜もちろんタッチで作業OK〜

「Paint」画面のカラーパレットで、色を作成して登録し、3Dモデルをドラッグして着色する。

 さて、この後は着色。

 3Dモデルへの着色は「Paint」画面に切り替える。

 「Color」をタップすると開くカラーパレットで色を選び、3Dモデルを直接ドラッグして着色する。右側の小さいパレットから既存の色を選んでもいいが、肌色などパレットに無い色は、左側のカラーホイールで調合する。ただしこのアプリには色を検出する「スポイト」ツールが無いため、あとから同じ色を何度使えるように、調合したオリジナルの色を小さいパレットの枠にドラッグして登録しておくとよい。

 また、このアプリには「消しゴム」ツールも無いので、色がはみ出した部分は登録した色や他の色を塗り重ねて修整することになる。

 さて、着色の要は目の着色、3Dモデルに命を吹き込む重要な工程だ。「Air Brush」ツールで地を白く塗り、その上に瞳を着色する。薄い色から徐々に濃くしていき、瞳の中心はひときわ濃く塗り重ねるのがポイントである。目の縁を描いたら、白い小さいブラシで目の星を加える。口を描き、仕上げに薄いピンク色で頬をサッとなぞってチークを加えたり、髪の毛に薄い黄色でキューティクルの輪を加えることで、ともすると無機質になりがちな3Dモデルの印象を払拭することができる。

細かい部分は拡大表示して、ブラシのサイズを小さく設定して着色する。
目は最初に白目部分を着色する。
瞳は薄い色から濃い色へと塗り重ね、目の星を入れて仕上げる。チークを入れることで血が通っているかのような温かみを表現する。
薄いクリーム色を作り、頭頂を表示させて天使の輪を描き、髪の毛のツヤ感を表現する。
こうして完成したモデル

仕上げ:3Dキャラを使った合成作品を作ってみる

「Render」ではiPadのカメラで撮影した写真を背景に取り込んで、3Dモデルを小さくして配置。そこに存在しているかのようなリアルな作品も手軽に楽しめる。

 さて、最後にこの着色した3Dモデルを使って合成写真(?)を仕上げてみよう。

 まずは「Render」画面を開き、「Light Rig」ツールで照明の種類と角度を調整、「Background」で3Dモデルの背景画像を選んで合成する。iPadのカメラを使ってその場の情景を撮影したり、カメラロールやフォトストリームから写真を読み込むことも可能だ。「Share」をタップし「Save Image」を選べば、iPadのカメラロールにPNG形式の画像を保存できる。

 3Dモデルはさまざまな角度、大きさに調整できるので、iPadのカメラで撮影した風景写真などのパースに合わせて、自然な合成も簡単に行える。さりげなくオリジナル3Dキャラを入れた画像をSNSなどに投稿すれば、話題作りにも大いに活用できるだろう。


 以上のように123D Creatureは、無料であるにも関わらず、iPadで簡単に高度な3Dモデルが作成できるアプリである。3Dプリンタが普及価格帯に値下がりしてきた昨今、フィギュアの作成のために3Dモデルを作成するユーザーも増えていくと思われる。場所を選ばず直感的な操作で3Dモデルが作成できる、というのは、これまでのPC用モデリングソフトとはまったく違ったアプローチといえる。

 今回の「イラストコンテスト」では、投稿していただいたイラストをPC環境でモデリングする予定だが、フィギュアの作成のための3Dモデリングなら、iPadとこの「123D Creature」という選択肢も十分に検討できる。123D Creatureは、そのような大きな可能性をもっているといえる。

着色完成後の3Dモデルもコミュニティサイトで公開すれば、着色した3Dモデルのデータもやりとりできる。

(土屋 徳子)