週刊3Dプリンタニュース
魅力的なパーソナル3Dプリンタが続々登場
~49,800円の組立キットや折り畳み式のポータブル製品も~
(2013/10/31 12:30)
先週は1週お休みをいただいたので、2週間ぶりとなるが、今週も週刊3Dプリンタニュースをお届けする。ここ2週間の間に、パーソナル3Dプリンタの新製品が続々と発表されたので、そのニュースをまとめて紹介しよう。
49,800円で購入できるパーソナル3Dプリンタキット「PRN3D」
マイクロファクトリー株式会社から登場した「PRN3D」は、組み立てキットと完成品の2形態で販売される、RepRapベースのパーソナル3Dプリンタだ。PRN3Dの最大の魅力は、組み立てキットで49,800円、完成品で59.800円という低価格の実現だ。
RepRapベースのパーソナル3Dプリンタは十数万円程度で販売されていることが多く、5万円を切る価格は衝撃的。マイクロファクトリー代表の長塚氏によると、販売ルートを直販のみに限定し、3Dプリンタで造形した樹脂パーツを多用することで、大幅なコストダウンを実現したという。価格は下げても、精度や耐久性が要求される部分には金属製パーツを採用しており、他のRepRap系3Dプリンタと比べても遜色のない精度と耐久性を誇る。
本体サイズは、420×250×320mm(幅×奥行き×高さ)で、横幅はやや大きめだが、最大造形サイズも170×170×160mm(幅×奥行き×高さ)と、パーソナル3Dプリンタとしてはかなり大きい。また、ヒーテッドベッドを標準装備しており、PLA樹脂だけでなくABS樹脂による造形も可能だ(フィラメントの直径は1.75mm)。ホットエンドのノズル径は0.4mmで、最小積層ピッチは0.05mmとかなり細かい。ヒーテッドベッドの厚みは3.2mmと一般的なものの2倍になっており、高い剛性を実現。ベッドの熱変形が抑えられ、高精度な造形が可能だという。今後は、フィラメントやカプトンテープなどの消耗品も、同社で販売していきたいとのことだ。
PRN3Dは、10月29日に出荷が開始されており、組み立てマニュアルやソフトウェアの設定などについては、近日中に同社のサイトで公開予定である。自分で組み立てることで、3Dプリンタの構造をよく理解できるので、トラブル時の対処やメンテナンスもしやすくなる。3Dプリンタの組み立ても楽しみたいという人にお勧めの製品だ。
CoreXY方式を採用、小型のパーソナル3Dプリンタ「DS.1000」
スマイルリンク株式会社は10月17日、株式会社ディビジョンエンジニアリングと共同で開発したパーソナル3Dプリンタ「DS.1000」を発表した。
DS.1000も、オープンソースベースの3Dプリンタであるが、ヘッドの駆動にCoreXY(正確にはそれを改良したH-Bot)と呼ばれる構造を採用したことが特徴だ。H-Botは、2つのモーターに直結されているタイミングプーリーと6箇所のアイドラプーリーをH型になるようにベルトで繋いだ構造になっており、2つのモーターを同方向に回転させることで、ヘッドがX軸方向に移動し、2つのモーターを互いに逆方向に回転させることで、ヘッドがY軸方向に移動する仕組みだ。この構造では、ヘッドの移動方向をY軸からX軸に変える場合、片方のモーターは常に同じ方向に回転するため、バックラッシュが生じないというメリットがある。
DS.1000の本体サイズは、270×280×255mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトであり、設置スペースをあまり必要としないことも利点だ。その代わり、最大造形サイズは105×105×105mm(幅×奥行き×高さ)とやや小さい。ヒーテッドベッドは装備していないが、フィラメントはPLA樹脂とABS樹脂以外に、ナイロンも利用可能だ(フィラメントの直径は1.75mm)。PLA樹脂とナイロン利用時には、プラットフォームにメンディングテープを貼ることが推奨されている。PLAとABSに対応する製品は多いが、ナイロンのサポートを公式に謳っている製品は少ない。ナイロンは、PLAやABSよりも弾力性が高く、割れにくいことが特徴だ。ホットエンドのノズル径は0.4mmで、最小積層ピッチは0.05mmと細かい。造形時のヘッドスピードが100mm/sと速いことも魅力の一つで、短時間で造形が可能だ。
DS.1000は11月上旬に予約受付を開始し、出荷は11月下旬の予定。価格は183,750円である。また、11月10日に東京・台場のコワーキングスペース「MONO」において、DS.1000の製品説明会が実施される予定だ。もちろん、説明会は無料だが、限定50名の事前予約制となっている。MONOイベント紹介ページから予約が可能なので、DS.1000に興味がある人は予約してみてはいかがだろうか。
※記事初出時、ヒーテッドベッドを装備している旨、記載していましたが、正しくは装備しておりません。お詫びして訂正いたします(10/31 13:36更新)
- スマイルリンク
- http://happysmilelink.jimdo.com/
- ディビジョンエンジニアリング
- http://w3.division-engineering.com/
- MONOイベント紹介ページ
- http://mono.jpn.com/event.html
折りたたみ式ポータブル3Dプリンタ「Portabee GO」
ルナヴァーストは、ポータブル3Dプリンタ「Portabee GO」の予約キャンペーンを開始した。Portabee GOは、シンガポールのromscraj社が開発したポータブル3Dプリンタであり、折りたたんで持ち運べることが特徴だ。
折りたたみ時の本体サイズは208×225×79mm(幅×奥行き×高さ)で、展開時は208×225×277mm(幅×奥行き×高さ)となる。重量はわずか約2.8kgであり、十分持ち運べる範囲だ。本体カバーが造形ベッド(プラットフォーム)も兼ねる設計になっており、展開時は片持ち動作となる。ヒーテッドベッドは搭載しておらず、使用できるフィラメントは直径1.75mmのPLA樹脂のみとなる。ホットエンドのノズル径は0.4mm、積層ピッチは0.1mmで、最大造形サイズは120×168×135mm(幅×奥行き×高さ)と、本体がコンパクトな割には大きい。
Portabee GOの出荷開始は12月10日の予定で、通常販売価格は74,800円だが、初期予約キャンペーンとして11月20日までは、59,800円の特別価格で販売される。