週刊3Dプリンタニュース

スミソニアン博物館が収蔵品の3Dデータを無料配布

〜写真を3D化する無料アプリ「123D Catch」がより使いやすく〜

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、アメリカのスミソニアン博物館が収蔵品の3Dデータの無料配布を開始したという話題とオートデスクの写真3D化アプリ「123D Catch」のiOS用新バージョンについて紹介する。

スミソニアン博物館の所蔵品を3Dプリンタで複製できるSTLデータでダウンロードOK

スミソニアン博物館が運営する「Smithsonian X 3D」のトップ画面
現在公開されている3Dモデルの一覧。イルカや鯨の化石、リンカーン大統領のライフマスクなど、貴重な所蔵品ばかりだ

 スミソニアン博物館といえば、アメリカを代表する科学、産業、技術、自然史の博物館群であり、その規模は世界最大級である。そのスミソニアン博物館は、2013年11月13日、1億3700万点にも及ぶ所蔵品のすべてを3Dデータ化するという壮大な目標を掲げ、そのプラットフォームとなるサイト「Smithsonian X 3D」を公開した。
 Smithonian X 3Dでは、WebGL技術が使われており、ChromeやInternet Explorer 11などのWebGL対応のWebブラウザでは、ブラウザ上で自由に3Dモデルを動かしたり、ズームイン/アウトが可能。さらに、ユーザー登録を行なうことで、3Dデータを無料でダウンロードできる。現在、公開されている3Dデータは、イルカの化石や鯨の化石、ライト兄弟の飛行機「ライトフライヤー号」、リンカーン大統領のライフマスクなど20種類程度だが、順次拡充されていく予定だ。

 なお、3Dデータ形式はSTL形式またはOBJ形式であり、利用は個人および非商用目的に限られる。例えば、学校の教師が授業で使うといったことが想定されている。こうした博物館や美術館の所蔵品を3Dデータ化するという取り組みが広がっていけば、3Dプリンタの活用範囲もより広がるだろう。

ブラウザ上で3Dモデルを自由に回転させたり、ズームイン/アウトすることができる
ダウンロードしたカニの3DデータをMakerWareに読み込ませたところ

写真を撮って3Dモデル化するiOSアプリ「123D Catch」進化より使いやすく

まず、3Dモデル化したい物体の写真を角度を変えて20〜40枚撮影する
この双眼鏡の場合は31枚の写真を撮影した
撮影が完了したら、撮影データがクラウド上にアップロードされ、クラウド上で3Dモデルへの変換が行なわれる
変換された3Dモデル。自由に回転したり、ズームイン/アウトが可能。3Dモデルはクラウド上に保存される

 オートデスクは、無料で使える3Dアプリ「123D」シリーズを積極的にリリースしているが、その中の一つ「123D Catch」のiOS版がバージョン2.0にアップデートされた。

 123D Catchは、複数の写真から自動的に3Dモデルを作成してくれるアプリであり、Windows版とiOS版、Webアプリ版が用意されている。その中でも最も気軽に使えるのが、iPhoneやiPadで動作するiOS版である。今回のバージョンアップでは、iOS7に正式対応しただけでなく、ユーザーインターフェースが見直され、より使いやすくなっている。

 123D Catch 2.0の使い方は簡単だ。アプリを起動し、内蔵カメラで、3Dモデル化したい物体の写真を20〜40枚撮影する。このとき、角度を少しずつ変えて撮影するのが重要だ。周囲360度から撮影するのはもちろん、上下の角度も変えて撮影するようにする。40枚撮影する場合なら、まず、物体を中心にして、その周囲を45度ずつ回転しながら8枚撮影、次に上下の角度を変えて同じように45度ずつ回転しながら8枚撮影、というのを5回繰り返せばよいだろう。

 撮影が完了したら、その撮影データがクラウド上にアップロードされ(WiFi接続が必要)、クラウド上で撮影データから3Dモデルへの変換が行なわれる。変換には多少時間がかかるので、しばらく待っていればよい。3Dモデルへの変換が完了したら、自由にモデルを回転したり、ズームイン/アウトをしてみることができる。完成した3Dモデルはクラウド上に保存され、いつでもiPhoneなどから閲覧できるほか、タイトルなどを付けて一般に公開することもできる。また、作成した3Dモデルは、PCのWebブラウザから確認でき、クラウドからPCのローカルにSTL形式などでダウンロードすることも可能である。ダウンロードしたSTLデータを3Dプリンタで出力するには、データの修正が必要なことが多いが、無料ソフトでここまでできるというのは驚きだ。

 写真を撮る間に対象物が動いてしまうと、うまく3Dモデル化することができないので、動物や人間などの3Dモデル化にはあまり向いてないが、動かない物体ならかなりの精度で3Dモデル化できるので、例えば、子供の寝姿を3Dモデル化するのもいい記念になりそうだ。

PCのWebブラウザから、123Dのポータルへアクセスしてログインすると、自分がこれまで123Dシリーズで作成した3Dモデルを閲覧できる
先ほど変換した双眼鏡の3Dモデル。床と接する部分が多少変だが、低い角度から撮った写真がなかったためであろう。「Edit/Download」ボタンから、3Dデータのローカルへのダウンロードが可能
ダウンロード形式は、STL形式とメッシュパッケージ、写真パッケージから選択できる
STL形式でダウンロードしたものを、MakerWareに読み込ませたところ。実際に3Dプリンタで出力する場合は、不要部分を削除したり、足りない部分を補うなどの修正が必要になる

(石井 英男)