週刊3Dプリンタニュース

税込69,800円の台湾製3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」発表会レポート

【海外ニュース】200ドルを切る超小型パーソナル3Dプリンタが発表

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、XYZプリンティングジャパンのパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0」の発表会レポートと、200ドルを切る超小型パーソナル3Dプリンタが発表されたという話題をお届けする。

税込69,800円の台湾製3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」自動キャリブレーション機能や自動クリーニング機能を搭載

XYZプリンティングジャパンゼネラルマネージャーの吉井宏之氏
吉井氏の左にあるのがダヴィンチ1.0。かなりサイズが大きいことがわかるだろう
ダヴィンチ1.0の4つの特徴
フィラメントは全12色が用意されているが、最初に販売されるのは6色である
ダヴィンチシリーズの今後のロードマップ。デュアルヘッドでABS/PLA両対応の2.0と、2.0の機能に加えて無線LANと5インチタッチパネルを備えた2.1の発売が予定されている

 XYZプリンティングジャパンのパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」発売のニュースは、先々週の週刊3Dプリンタニュースでも取り上げたが、3月18日に報道関係者向けの製品発表会が行われたので、その様子をレポートする。

 ダヴィンチ1.0は、台湾XYZプリンティングが開発したパーソナル3Dプリンタであり、直販価格69,800円(税込)という低価格ながら、200×200×200mm(幅×奥行き×高さ)という大きな造形サイズを実現した魅力的な製品だ。ダヴィンチ1.0は、CES 2014でエディターズチョイスアワードを受賞しており、コストパフォーマンスや使い勝手については、パーソナル3Dプリンタの中でもトップクラスといえるだろう。

 発表会ではまず、XYZプリンティングジャパンのゼネラルマネージャーである吉井宏之氏が、XYZプリンティングが3Dプリンタ市場に参入した経緯について、「XYZプリンティングの母体である金寶グループは、台湾の大手OEM/ODMメーカーであり、長年培ったエレクトロニクスやメカトロニクス、ソフトウェア技術を持つ。3Dプリンタの出現は、新産業革命であり、ビジネスモデルが大きく変わる。今が参入のベストチャンスであり、XYZプリンティングのミッションは、誰もが自宅で手軽に3Dプリンタを楽しめる環境をつくることだ」と語った。ダヴィンチは、中国や日本、台湾、アメリカ、ヨーロッパで販売され、全世界での目標販売台数は、3年間で100万台とのことだ。
 次に、マーケティング部マネージャーのSherry Liang氏が、ダヴィンチ1.0の特徴として、「ワークエリアの大きさ」、「解像度の可変設定」、「自動キャリブレーション」、「安心のカスタマーサービス」の4点を挙げた。中でも注目したいのが、自動キャリブレーションであり、初心者には面倒なヘッドとプラットフォームの距離を自動調整してくれる機能だ。ダヴィンチ1.0は、3月13日からビックカメラ.comやソフマップ・ドットコムなどで先行予約が開始されており、3月18日からビックカメラなどの店頭販売が開始されている。楽天やamazon.co.jpでもすでに販売中だが、3月下旬からは、Yahoo!ショッピングでも販売が開始される。

 発表会ではダヴィンチ1.0の実機が展示されており、実際に出力デモが行われていたが、動作音は静かで、出力も安定していた。特に驚いたのは、ヘッドから射出された不要なフィラメントをクリーニングし、捨てるためのダストボックスが用意されている点だ。200万円を超えるuPrintなどの業務用FDM機では、こうした自動クリーニング機能を採用しているものが多いが、30万円以下のパーソナル3Dプリンタでは珍しい。不要フィラメントを捨てることで、より精度の高い造形が可能で、フィラメント詰まりなども起こりにくくなる。

 今後、上位モデルとして、デュアルヘッドのダヴィンチ2.0と、デュアルヘッド+5インチタッチパネル液晶+無線LAN対応のダヴィンチ2.1を発売予定だが、発売時期や価格については現時点では未定だという。また、ダヴィンチ1.0から2.0へのアップグレードサービスを行う予定はないとのことだ。

 ダヴィンチ1.0は、10万円以下のパーソナル3Dプリンタの中でも特に高い完成度を誇る製品であり、初めてパーソナル3Dプリンタを購入する人にもお勧めしたい。

展示されていたダヴィンチ1.0の実機
ダヴィンチ1.0の側面は透明になっており、内部がよく見える
ダヴィンチ1.0の内部。右奥に不要なフィラメントを捨てるダストボックスがある
ダヴィンチ1.0の出力中の様子
ダヴィンチ1.0には4行表示が可能な液晶と操作ボタンが搭載されており、ヘッドやプラットフォームの温度などを確認できる
ダヴィンチ1.0での出力例
ダヴィンチ専用フィラメントカートリッジ。600g(250m)のABSフィラメントが入っており、価格は3,280円(税込)と比較的安い

200ドルを切る超小型3Dプリンタ「The Micro 3D」が登場

The Micro 3Dの外観。立方体形状で外観もスタイリッシュだ

 パーソナル3Dプリンタの低価格化は著しく、4万円や5万円台の製品も登場してきたが、アメリカのベンチャー「M3D,LLC」が発表した「The Micro 3D」は、199ドルからという超低価格を実現していることが魅力のパーソナル3Dプリンタである。

 The Micro 3Dは、本体サイズが185×185×185mm(幅×奥行き×高さ)で、重量がわずか1kgという、超小型ボディもウリで、机の上のちょっとした空きスペースにも気軽に設置できる大きさだ。本体サイズが小さいため、最大造形サイズは、109×113×116mm(幅×奥行き×高さ)とそれほど大きくはないが、小物やちょっとしたパーツなどを作るには十分だろう。造形方式はFDM方式で、フィラメントの直径は1.75mm。利用可能な材料は、ABS、PLA、ナイロン、木質樹脂など幅広い。積層ピッチは0.05~0.35mmで、位置決め精度はX軸、Y軸ともに0.015mmである。造形プラットフォームの下にフィラメントロールを収納できるようになっているのも特徴だ。

 The Micro 3Dは、コンパクトで高性能なパーソナル3Dプリンタであり、3月中にもkickstarterでの資金調達を開始する。kickstarterでの数量限定特別価格は199ドルになる予定であり、パーソナル3Dプリンタのさらなる低価格化に拍車がかかりそうだ。

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