週刊3Dプリンタニュース

XYZプリティングが光造形方式のパーソナル3Dプリンタを展示、30万円前後で来年発売

~「ものづくりNEXT」イベントレポート~

ものづくりNEXT↑2014で、「3Dプリンタの未来」と題した集中展示が行なわれた

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、XYZプリンティングジャパンが「ものづくりNEXT」で展示していた光造形方式のパーソナル3Dプリンタ「Novel 1.0」と、その他の展示の様子をレポートする。

ダヴィンチ3機種と開発中の光造形方式3Dプリンタを展示していたXYZプリンティングジャパン

XYZプリンティングが開発中の光造形方式のパーソナル3Dプリンタ「Novel 1.0」
Novel 1.0での出力サンプル。熱溶解積層(FDM)方式と異なり、積層跡がほとんどわからない
Novel 1.0での出力サンプルのアップ。造形クオリティはかなり高い

 2014年11月12日~14日、東京ビッグサイトで、ものづくりに関する総合展示会「ものづくりNEXT↑2014」が開催された。ものづくりNEXT↑2014は、メンテナンス・テクノショー、生産システム見える化展、労働安全衛生展、インフラ検査・維持管理展、事前防災・減災対策推進展の5つの展示会から構成されているが、今回は、3Dプリンタへの関心が高まっていることを受けて、「3Dプリンタの未来」と題した集中展示も行なわれた。

 この集中展示では、XYZプリンティングジャパン、丸紅情報システムズ、プロトラブズの3社が展示を行なっていたが、中でも注目が集まっていたのが、日本では初公開となる光造形方式パーソナル3Dプリンタ「Novel 1.0」や低価格で人気の「ダヴィンチ」シリーズを展示していたXYZプリンティングジャパンである。

 Novel 1.0は、XYZプリンティング初の光造形方式のパーソナル3Dプリンタであり、2015年第1四半期の発売を目指して、現在開発が進められている。台湾の展示会では、参考出品などがされていたものの、日本で公開されるのは今回が初めてとなる。最大造形サイズは128×128×200mm、最小積層ピッチは0.025mmで、本体はかなり縦長である。実際にNovel 1.0で出力されたサンプルも展示されていたが、熱溶解積層(FDM)方式のような積層跡はほとんど見られず、クオリティの高い出力であった。

 XYZプリンティングジャパンは、64,800円のダヴィンチ1.0を始め、従来の半額以下という低価格を実現していることが人気があるが、Novel 1.0も、これまでの常識を破る価格で登場しそうだ。価格については未定とのことだが、従来の半額以下を目指しているとのことで、現在発売されている光造形方式3Dプリンタが安いもので60~70万円程度であることを考えると、30万円前後での発売が期待できそうだ。30万円前後なら、個人でもなんとか手が届く範囲であり、来年は、パーソナルユースでも光造形方式の3Dプリンタが普及してくることになりそうだ。

 また、先日発表された世界初のパーソナル3Dプリンタ複合機「ダヴィンチ1.0 AiO」を始めとする、ダヴィンチシリーズ全3製品も展示されており、来場者の関心も高かった。

XYZプリンティングジャパンのブースの様子
左がヘッドが一つの「ダヴィンチ1.0」、右がヘッドが2つの「ダヴィンチ2.0 Duo」
ダヴィンチでの出力サンプル
ダヴィンチで出力した3D地形モデルに、等高線で切った地図を貼り付けたもの。国土地理院でもダヴィンチが使われている
発表されたばかりの3Dプリンタ複合機「ダヴィンチ1.0 AiO」にも注目が集まっていた
ダヴィンチシリーズ3機種の仕様比較表

Stratasys製品を展示していた丸紅情報システムズ

丸紅情報システムズのブースの様子

 丸紅情報システムズは、2大3Dプリンタメーカーの一つであるStratasysの正規代理店であり、同社の3Dプリンタの導入トレーニングや販売、サポートなどを行なっている。今回の展示会では、FDM方式の「uPRINT SE Plus」および大型の「Fortus 400mc」。ポリジェット方式の「Objet30 Pro」の3製品と、それぞれの製品の出力サンプルなどが展示されていた。これらは、業務用の3Dプリンタであり、価格も数百万円から2,000万円以上と、個人が気軽に購入できるものではないが、会社での導入を検討しているという人が多数詰めかけていた。

 プロトラブズは、射出成形や切削加工をネット経由で頼めるサービスを提供している会社であり、価格がリーズナブルかつ納期が短いことがウリだという。厳密には3Dプリンタ関連とはいないのだが、高精度な3Dプリントサービスとは、必要な数や素材の違いなどによって使い分けていくことになるだろう。

 集中展示と銘打った割には、3社しか出展していなかったのが少々残念ではあるが、来場者の3Dプリンタへの関心は深く、どのブースでも担当者に熱心に質問をする人をよくみかけた。

StratasysのFDM方式3Dプリンタ「uPRINT SE Plus」
uPRINTE SE Plusを利用して出力されたメガネフレーム。JINSが試作に利用したもの
Stratasysの大型3Dプリンタ「Fortus 400mc」。FDM方式だが11種類もの材料を利用できる
Fortus 400mcを利用して出力された車のドアミラー
Stratasysのポリジェット方式の3Dプリンタ「Objet30 Pro」。8種類の材料を利用できる
プロトラブズのブース。射出成形や切削加工をネット経由で頼めるサービスを提供している

(石井 英男)