週刊3Dプリンタニュース

3Dプリンタ親子ワークショップ体験記

~親子で3Dモデリング~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、印刷博物館で春休み期間中に開催された「3Dプリンタ親子体験ワープショップ」の体験記、10万円の切る格安パーソナル3Dプリンタ「BS01」(ボンサイラボ)が正式発売されたというニュース、岡田商店のパーソナル3Dプリンタ「CellP 3Dプリンター」のデュアルヘッド化キットが登場したというニュースを紹介する。

3Dモデリングの基礎を学んで、オリジナル作品を作る

今回の体験ワークショップで作るメダルとネームプレートの例
会場には2台のAFINIAが置かれ、出力デモが行われていた
AFINIAの造形サンプル。この価格帯のパーソナル3Dプリンタとしては高精度な造形が可能だ
会場はかなり広く、机もゆったりと配置されていた。スクリーンも大きく見やすい
体験ワークショップの講師を務めた3D-GAN理事の石井正明氏
3D-GAN理事の水野操氏も参加者のフォローをしていた

 東京都文京区にある印刷博物館では、3月11日から6月1日まで、「3Dプリンティングの世界にようこそ!」と題した企画展を開催している。この企画展にあわせて、3月23日と3月30日に小学生以上の子どもとその親を対象にした3Dプリンタ体験ワークショップが開催された。各日、午前10時半からと午後2時からの2回ずつが行われたが、筆者は3月23日の午前の回に娘と参加してきたので、その様子をレポートする。

 この3Dプリンタ体験ワークショップは、一般社団法人3Dデータを活用する会・3D-GANの協力で行われたもので、講師を務めたのは3D-GAN理事の石井正明氏である。石井氏は、3D-GAN主催の3Dモデリング講座でも講師を担当しており、こうした講座はお手の物だ。昨年夏にも、3D-GANと東京03の共催により、親子3Dプリンタ体験ワークショップが開催されたが、そちらでも石井氏が講師を務めていた。ワークショップでは、3Dモデリングソフトとして、初心者にもわかりやすい「MoI」が使われている。

 まず、途中までモデリング済みのいくつかの3Dモデルを完成させる演習を通して、ビューの切り替えや拡大・縮小、パーツの変形操作といった、MoIの基本操作を学んでいく。内容は、昨年夏のものとほぼ同じだが、昨年夏は、講習時間が3時間だったのに対し、今回は2時間と短くなっているため、説明はやや駆け足になった感もあったが、参加者は親子で協力しながら、MoIの基本操作を学んでいた。

 一通り操作ができるようになったら、丸いメダルか長方形のネームプレートのどちらかを選んで、文字を入れたり、途中でモデリングしたクマを貼り付けたりして、オリジナル作品のモデリングを開始する。娘は、去年夏にもMoIを触っているため、割とサクサクモデリングを行っており、筆者がほとんど手を出すことはなかった。モデリングが完成したら、ファイルを保存して、今回のワークショップはここでお開きとなる。

 各自がモデリングを行った作品は、後日、3D-GANの協力によって3Dプリンタで出力され、宅配便または直接取りに行くことになる。出力物ができたという連絡をもらったのは約2週間後であった。細かな文字やクマのディテールも綺麗に出力されており、娘も喜んでいた。

 昨年あたりから、こうした親子向けの3Dプリンタ体験ワークショップの開催が少しずつ増えているが、普段から3Dポリゴンを駆使したゲームなどを遊んでいる子ども達は、3Dモデリングソフトの習得も早く、操作を覚えると嬉々としてモデリングに取り組む子どもが多い。こうした機会がもっと増えることを期待したい。

まず、MoIの基本的な操作を学ぶ。いくつかの課題をクリアすることで、基本操作が学べるようになっている
クマのパーツを動かしたり、形を変えたりして、クマをデザインする課題
最後は、丸形のメダルか長方形のネームプレートのどちらかを選んでモデリングする
娘はメダルを選んだ。MoIは前にも使ったことがあるので、サクサク操作している
メダルのモデリングが完成。ドリルグマは途中の演習で作ったものを小さくして貼り付けている
約2週間後、3Dプリンタでの出力物を受け取ってきた。細かな文字もきれいに造形されている

ボンサイラボが10万円を切る小型パーソナル3Dプリンタを販売開始

ボンサイラボから正式発売された「BS01」

 ボンサイラボ株式会社は、4月1日、小型パーソナル3Dプリンタ「BS01」の正式販売を開始した。

 BS01は、2013年12月にクラウドファンディングサイト「kibidango」で、3週間限定で事前発売が行われ、目標金額の5倍以上の約1,058万円の資金を調達したことで話題になった。今回、正式販売されるBS01は、kibidangoで公開されたものにさらに改良が加えられているが、PLA専用モデルのキットが89,800円(税・送料込み)、ABS/PLA両対応モデルのキットが99,800円(税・送料込み)と10万円を切る価格を実現している。

 BS01の本体サイズは、250×250×275mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、重量もPLA専用モデルで5.04kgと軽い。最大造形サイズは、150×130×100mm(幅×奥行き×高さ)で、本体サイズの割には大きい。ノズル径は0.4mmが標準だが、オプションとして0.2mmから0.5mmの4種類が用意されている。積層ピッチは0.1mmであり、スペック的には十分だ。

 BS01は、日本国内生産のヘッドやノズルを採用することで、フィラメント詰まりを抑え、安定した造形が行えることが魅力だ。今後、ボンサイラボでは、デュアル・ノズルに対応するための「アップグレードキット」を発売する予定であり、今回販売されるモデルは、すべてデュアル・ヘッド・ワンノズルが標準となっている。カラーは、アクアブルー、アップルグリーン、ウォームグレー、オフホワイト、フレッシュベリーの5色が用意されており、好きな色を選べる。また、プラス1万円で完成品も用意されているが、キットを自分で組み立てたほうが構造をよく理解できるので、トラブルに対処しやすくなる。

CellP 3Dプリンターのデュアルヘッド用改造パーツが販売開始

CellP 3Dプリンター。フレームにMDFを採用していることが特徴だ
デュアルヘッド用改造パーツ一式

 4月16日、ホビーロボット専門店「Robotma.com」を運営する有限会社岡田商店は、「CellP 3Dプリンター組立キット」デュアルヘッド用改造パーツの販売を、同社のWebサイトで開始した。

 CellP 3Dプリンター組立キットは、オープンソースハードウェアプロジェクト「CellP project」で開発・公開されている3Dプリンタを、Robotoma.comが組み立てに必要なパーツをセットで入手できるようにキット化したもので、2013年6月から販売されている。今回販売が開始されたデュアルヘッド用改造パーツは、このCellPをデュアルヘッド化するためのパーツであり、追加のエクストルーダやホットエンド、ステッピングモータードライバ、制御基板冷却ファンセットなどがある。これらのパーツは単体でも購入できるが、すでにCellP 3Dプリンターをお持ちのユーザーなら、デュアルヘッド化に必要なパーツ一式がセットになった「デュアルヘッド用改造パーツスターターセット」(28,000円)がお勧めだ。

 デュアルヘッド化することで、2色の素材を使って出力を行うだけでなく、サポート部分を除去しやすい別の材料で出力することも可能になる。なお、4月28日までの限定20セットで、CellP 3Dプリンター組立キットとデュアルヘッド用改造パーツスターターセットがセットになった「CellP 3Dプリンター組立キット デュアルヘッドスタートパック モニターセット」が販売される。通常価格は168,000円だが、モニターセットは150,000円なので、デュアルヘッドを装備したパーソナル3Dプリンタが欲しいという人は、検討してみてはいかがだろうか。

(石井 英男)