アキバスポットガイド

まるで異世界転生もの!? 秋葉原に“メイドさんがお見立てしてくれるメガネ屋さん”が実在した!

~ 単行本も発売間近!秋葉原スポットガイド ~ text by 高橋 敏也

 秋葉原と言えば言わずと知れた「オタクの街」だが、一口に「オタク」といっても千差万別、ジャンルが違えば目的地も異なる。何の変哲もない雑居ビルの一室が、あるジャンルのオタクにとっては聖地だったりする。そこで、秋葉原歴うん十年、改造バカこと高橋敏也氏が秋葉原内のさまざまなスポットを訪問し、そのディープで雑多な魅力をとことんレポートするのがこの企画。2次元&アイドルだけがアキバじゃないのだ!

ラノベやアニメの世界から抜け出たようなメガネ店

 「メイドに選んでもらった」。何と破壊力のあるパワーワードか。たとえば新調したメガネをかけて友人と会って、「お、新しいメガネ似合ってるじゃん」とか言われたときがチャンスだ。「メイドに選んでもらった」。ここから続く会話だけで半日は保たせられるだろう。そうなのだ、秋葉原には「メイドがメガネ選びのお手伝い」をしてくれるメガネ屋さんが、マジでリアルに存在するのである。日本一(世界一?)メイド密度の高い秋葉原ならではか? いずれにしても「キャンディフルーツ オプティカル」は、確かに存在するのである。

おなじみパソコンショップarkさんを右手に見ながら、地下鉄末広町駅方面へ向かう
発見! メイドさんが見立ててくれるメガネ屋さん、キャンディフルーツ オプティカル!

 場所的には中央通りを神田明神方面に1本入った通り、JR秋葉原駅からなら地下鉄末広町駅方面に向かう。右側のビル1階を見ていれば黒を基調としたシックなキャンディフルーツ オプティカルの看板を発見できるだろう。そして看板には「メイドがお見立てする眼鏡屋」という文字が。これが秋葉原以外にあったとしたら、そうとうに違和感を感じるだろうとか思う。いや、秋葉原にあったとしても、かなりエキセントリックな存在ではあるのだが。

「いらっしゃるお客様のほぼ9割が男性です。インターネットやテレビをご覧になっていらっしゃる方が多いようです。テレビ東京さんの“出没!アド街ック天国”(2010年9月4日放送)が一番反響がありました」

 そう語るのはキャンディフルーツ オプティカルの店長、中沢さん。大変落ち着いた物腰の正しそうな雰囲気なのだが、それもそのはず、中沢さんの服装がいかも「執事」っぽいのだ。実はこれ、メイドが接客するメガネ屋ということでメイド服に合わせたチョイスとか。なるほどどうりで、ていねい感が強いわけだ(勝手に納得)。

確かにメイド、メイドさんだぁ!
何と同じビルの3階には高級メイド服のシヨップ、キャンディフルーツ秋葉原店がある

メガネ店としての実力はお墨付き。数百本購入のヘビーユーザーも

 そもそもこのキャンディフルーツ オプティカル、オープンが2007年というからもう12年続いているのだ。そもそもどうしてメイドさんとメガネ屋さんが融合したかと言うと、これが最高にロックな話なのだ。まず前提条件として知っておいてほしいのが、神奈川県横浜市にある3代続く老舗の山下眼鏡店。その山下眼鏡店の社長とメイドコンテンツを扱うキャンディフルーツの社長がパーティで出会って意気投合、「何か一緒にできたらいいですね」という話に。結果、キャンディフルーツ オプティカルが誕生したのである。

 その証拠といっては何だが、キャンディフルーツ オプティカルの入っているビルの3階には高級メイド服のショップが入っている。

店内にズラリと並ぶメガネ、メガネ、メガネ
ちなみにオプティカルキャンディフルーツのメイドさんは全員メガネ着用。メイドさんにメガネがよく似合うのは世界的常識である(尊い!尊い!)

 つまり、キャンディフルーツ オプティカルは接客やメガネの見立てをメイドさんがしてくれるショップだが、その中身は3代続く老舗メガネ屋さんなのである。技術力もあるし、メガネの品質も最高級、もちろん知識も豊富である。そこにメイドさんパワーをミックスしたハイブリッドなメガネ屋さんというのがその正体なのだ。もう12年続いていることからも分かるとおり常連さんも多く、なかには200本近くのメガネをここで仕立てた人もいるそうだ。メガネが趣味だったり、メガネを着替える感覚で使い分ける人だとは思うが、スゴい。

 ちなみにフレームの品揃えに関して、キャンディフルーツ オプティカルはユニークかつそうとうなものである。そしてまたキャンディフルーツ オプティカルがあるのは秋葉原! なので秋葉原チックなものも多数見られた。たとえばアニメコラボで人気キャラクターをイメージしたもの、某動物(美少女だけど)アニメの人気キャラクターの「模様」をイメージしたものなど。さらにキャンディフルーツ オプティカル限定のフレームも数多く用意されており「ここでしか手に入らないフレーム」をゲットすることも可能だ。

メガネ屋さんだから当たり前。とはいえその豊富な種類には圧倒される

 また興味深かったのが「アンダーリム」のフレームたち。要するにレンズの下だけにフレームがあるタイプで、某軽音部アニメの委員長的サブキャラクターとかが使っているものだ。もともとは老眼鏡をベースにしたもの(中沢さんに教えてもらった)なのだが、アニメの影響で秘かなブームに。かと言って一般のメガネ屋さんではなかなか見付けられず、ネットで検索してキャンディフルーツ オプティカルにたどり着くお客さんも多いとのこと。

憧れのアニメメガネ……もとい、アンダーリムのフレームが大量に!
アンダーリムも含めてファッション系のフレームは意外と手頃な価格
キャンディフルーツ オプティカル限定のデザインが施されたメガネ
ドクロのデザイン……。「できる!」感あふれている
つるの部分にサイバーパンクなデザインを施したメガネ。キャンディフルーツ オプティカル限定だそうだ
トヨタのレクサスとコラボしたFACTORY900のフレーム。高級感がある
変形するヘッドホン使用ゲーマー向け変形メガネ、「GODEYE GE-01 ゴットアイ」
つるの部分が上下に割れる変形。これによりヘッドホン(ゲーム用ヘッドセット)を装着しても耳が痛くならない
これは「メガネのペーパークラフト」でした

メイド姿の最上りんさんと一緒にメガネを選ぶ

早速メイドスタッフの最上りんさんに、お見立てをお願いする。用途や自分の好みをしっかり伝えるのがコツ

 というわけで実際にお客さんが来て、メガネを購入するまでのシミュレーションをメイドスタッフの最上りんさんにお付き合いいただいた(後半、このシミュレーションはある意味で脱線する)。

 ちなみにキャンディフルーツ オプティカルのメイドさんは全員メガネ着用、店長の中沢さんもメガネ着用。唯一非メガネ民であるはずの担当編集まで、どこから持ってきたのかメガネを取り出す始末。

「今日はメガネじゃないとなって。これ、自動車を運転するときだけ着けるメガネなんですよ、デュフフ」

 知らんがな。

 お客さん来店からのメガネ選びはきわめてベーシック。「メガネを作りたいんだけど……」とお客さんが言えば、清楚なメイドさん、今回は最上さんが「お仕事用とプライベート用のどちらのメガネをお探しですか?」と質問する。まずここが分岐点となるわけだ。あとはお客さんの好みに応じてフレームを提案していくことになる。

丸メガネ系が好きと伝えて、選んでもらったもの。確かに丸い

 以後の基本的な流れはメタルフレームか、セル(樹脂製)フレームか、どんな色や形が好きか、といった質問になる。実際にフレームを着けて、メイドさんに第三者としての意見を聞くのもあり。「まあ基本、お客さんが手に取るのって、結構それで決まる可能性が高いんですけど、(レンズの)度数の兼ね合いでどうしてもちょっとその人には不向きとかっていう場合は『それはやめたほうがいいですよ』って別のものを提案させていただく場合もありますね」と中沢さん。第一印象って重要ですからねえ。

どういったタイプのメガネがあるのか、キチンと説明してくれる。メガネに対する知識量はそうとうなものだ
似合ってるかどうか、メイドさんからアドバイスをもらう
赤いセルフレーム、それもアンダーリムというおっさんには着こなしの難しいメガネ

ついその気になって実際にメガネを購入しちゃいました

ここで以前から個人的に気になっていたメガネブランド、PARASITEを発見

 そんな話をしながらふと目に留まったのがメガネフレームのブランド、PARASITE。このPARASITEのモデルに、従来の耳につるをかける方式ではない新しいタイプの装着方法を採用したものがあるのだ(写真参照)。バイクのヘルメットをかぶるときに「これならきっと楽だろうなあ」と以前から思っていたのである。

 というわけで最上さんにフレームを見立ててもらって「シミュレーション」のつもりが、何とリアルお買い物になってしまったのである。

つるが上下に分かれており、なおかつ耳に干渉しない。ヘッドセットとの相性もよいと思うが、私の場合はバイクのヘルメット装着時によいと思っていた。ここでリアル買い物モードに突入。具体的にはPARASITEのRE-NERVEを選んだ

 PARASITEのフレームから気に入った形、色のものを選ぶ。そして視力測定などを行なって、代金を支払うというごく自然な流れだが、そこにもメイドさんのいるメガネ屋さん的なアクセントが。そう、メガネを購入した人には会計手続きなどで待っている間にメイドさんが淹れてくれた紅茶が振る舞われるのである。メイドさんが淹れてくれた紅茶は絶対においしいわけだが、もちろん今回も大変おいしゅうございました。

フレームを決めたら次はレンズ、ということで視力などの測定に入る。この中に気球が見える機械、ネットで調べたら「オートレフケラトメーター」というらしい
視力検査は2階で行なう。測定してくれているのはこの道のベテラン、店長の中沢さん
乱視の度合いも測ってもらう。中沢さんの執事風コスチュームにも注目
これを見ると「メイドさんはいても、ここはやっぱりメガネ屋さんなんだなあ」とか思うわけで
レンズを決めたり代金の支払いを行なうのも2階、そしてアンティークなティーテーブルが
レンズの種類を細かく説明してくれる。価格もピンキリ、しっかり相談して適したものを選ぼう
手続きを待っている間に紅茶のサービスが

アフターフォローも万全。全国のメガネ族は私に続け!

 ちなみにキャンディフルーツ オプティカルにはさまざまなサービスがあって、たとえばお買い物ポイントカードでポイントがたまったら……というのは普通にある。さらにここでは「ご来店ポイントカード」というのもあって、来店時にハンコを押してもらってカードを一杯にすると

「メイドから素敵なプレゼントがございます」

 なんだってぇぇぇぇぇ!行かなきゃ……。さらに公式サイトから予約できる「貸切シンデレラタイム」というサービスもある。詳しくはサイトを見てほしいが、要するに閉店後にメイドさんと1対1でメガネをゆっくり選べるサービスなのだ(メガネ購入者に限るなど諸条件あり)。メイドさんとメガネを選びたいけど、ほかのお客さんの前だとちょっと気恥ずかしい。そんな人にはピッタリのサービスと言える。

メガネを購入すると、見立ててくれたメイドさんとチェキを撮れる。よい思い出になります

 最後にメガネ購入者は、希望すれば担当してくれたメイドさんとチェキで記念撮影ができる。転生小説じゃないが、メガネを買いに行ってメイドさんに接客してもらう、メガネを見立ててもらうのは異世界体験に限りなく近い。そんな非日常を楽しみつつ、できればキャンディフルーツ オプティカルにしかない、限定のユニークなフレームを選んでみてはどうだろうか? ユニークなフレームを着けるというのは、ある意味でコスプレに近いと思うのだ。われわれメガネ族は、もっと大胆にメガネを着替えるべきだと私は確信するものである。

途中で取材からリアルなメガネ購入になってしまったが、何はともあれ最上さん、ありがとうございました
おっさん、大いににやける

【Shop Information】

店名:キャンディフルーツ オプティカル秋葉原店
住所:東京都千代田区外神田3-16-3 KTビル1F
営業時間:11時~20時
定休日:月曜
TEL:03-3252-4902
Webサイト:http://www.canful-megane.com/

書籍化のお知らせ

 いよいよ3月25日(月)、本連載の書籍が発売されます! その名も「特濃!あなたの知らない秋葉原オタクスポットガイド」。書き下ろしを含め、10店舗の秋葉原オタクスポットをご紹介する内容で、3月25日より全国書店および主要電子書籍ストアで発売が開始されます。

 発売日の25日には、PC自作バラエティ「髙橋敏也責任無編集 本ナマ!改造バカ」を生配信。取材時の裏話などを語ります! 発売日にゲットした本書を手にご覧いただくと一層楽しめること間違いなし!

【「特濃!あなたの知らない秋葉原オタクスポットガイド」発売記念 本ナマ!改造バカ特別編】