ノートPC延命計画!

“ソニーのVAIO”をまだ使う!SSD換装で旧型ノートPCを激速化

text by 石川ひさよし

今回の結果。HDD→SSDで使用感は劇的に変化した

 ノートPCの保証期間は無償保証が1年、有償の延長保証が3〜5年といったケースが多い。3〜5年という時間は、パフォーマンスに不満が出てくる頃でもあり、保証切れを機に買い替えを検討しはじめる時期でもある。

 もし、HDD搭載のノートPCを使っているなら、買い替えではなく、SSDへの換装も検討してみて欲しい。最小の追加投資で、OSの起動やファイルを開く・保存するといった操作の速度、アプリケーションの起動速度などが向上し、体感上のパフォーマンスの改善が見込めるのだ。

 ただし、コストは抑えられるものの、ノートPCのストレージ換装には一つ注意点がある。それはストレージへのアクセス方法だ。本体側面や底面などにストレージベイを用意しているものであれば簡単だが、ストレージベイがないものとなると、底面カバー全体を開ける必要が出てくる。

 また、製品によっては、ネジ穴が隠されていたり、シールで「本体を開けないで!」、「開けたら製品保証が切れてしまうよ!」と警告しているものもある。だが、性能に不満がでるような古いPCなら保証が切れた頃だろう。……となればいじり倒すにはむしろ絶好のタイミング!

 といったところで、今回から複数回に渡り、旧PCを延命するための手順や必要となる機器を紹介する「ノートPC延命計画」をお届けする。

 機材などの協力はCrucial。Micronのコンシューマ向けブランドであるCrucialは、Micron製のNANDフラッシュを採用したSSDをローエンドからハイエンドまで多数発売。英語サイトのみではあるが、PCメーカー/モデル別のアップグレードパーツ検索システムも公開しているなど、アップグレード向けの利用を積極的にアピールしているのもポイントだ。

【今回の流れ】
HDDの取り外し→ハードウェアのコピーツールでHDD→SDDにコピー→そしてSSDを取り付けて完成だ


今回の延命ターゲットは2011年に発売された「ソニー時代のVAIO」

今回のターゲット「VAIO F(VPCF24AJ)」
CPUはクアッドコアのCore i7-2670QM、GPUはGeForce GT 540Mを搭載しており、まだまだ現役続行可能だが、HDD搭載モデルだったため、SSDに触れた今、OSやアプリケーションの起動がとにかく遅い。

 初回となる今回は、「まだソニーだった頃」のVAIOを、長く使く使い続けるための延命を掲げてみる。比較的新しいが、2011年発売のVAIO F「VPCF24AJ」(F24)だ。

 これは筆者が普段使用しているノートPCなのだが、注文時に予算をケチって500GBのHDDを搭載している。SSDに換装しようしようと事あるごとに思っていたのだが、結局ここまで引っ張ってしまった。

 VAIO F24は、CPUがSandy Bridge世代のCore i7-2670QM(4C/8T、2.2GHz)で、GPUにはGeForce GT 540Mを搭載しており、ディスプレイもフルHDといった構成なので、まだまだ現役で使い倒せるだけのパフォーマンスがある。

 ストレージ部分の構造は、背面にアクセスパネルを備える「ストレージベイ方式」。2本のネジを外せば、ベイ内のストレージに簡単にアクセス可能だ。内蔵されているの2.5インチSATA HDDはトレイに乗った形で搭載されている。

VAIO F24の底面。中央がメモリアクセスパネル、手前左下がストレージアクセスパネル
ストレージベイから取り外したMK5061GSYN。トレーに対し、HDD底面にあるネジ4本で固定されている。

 トレイは、二つのネジでベイに、四つのネジでHDDを固定している。いずれも小径ネジなので、精密ドライバーを用いて取り外そう。

 ちなみに、搭載されていたHDDは、東芝の「MK5061GSYN」で、主なスペックは回転数7,200rpm、バッファ16MB、インターフェースが3Gbps SATA、容量500GBといったところ。現行の2.5インチHDDよりは低速だが、当時としては中堅以上のクラスの製品だ。厚みは標準的な9.5mm。

 以降の作業のために、ここでHDDを取り外しておこう。


換装用SSDはCrucial BX100の500GBモデル「CT500BX100SSD1」で

Crucial CT500BX100SSD1のパッケージと内容物
2.5型、7mm厚のSerial ATA 3.0対応SSD
スペーサを貼り付ければ、9.5mm厚ドライブと同じ高さになる

 既存のPCのHDDからSSDへと、データを残したまま移行したいという場合は、「もとのHDDと同じか、より大容量のSSDを選ぶ」のが一般的だ。

 SSDはここ数年で低価格化が進んだと言えども、容量単価はHDDと比べるとまだ高い。コストパフォーマンスという点で見ると、ハイエンドにこだわるよりも、メインストリーム向けモデルの方がよいだろう。今回のケースでは、もとのHDDが500GBなので500GB以上のSSDを選びたい。

 こうした理由から、今回は登場間もないCrucialのBX100シリーズの500GBモデル「CT500BX100SSD1」を選択した。実売価格は価格は税込25,000円前後だ。

 BX100は、コストパフォーマンスの高さでその名を知らしめた「MX100」の後継モデル。コントローラチップにSilicon Motion製の「SM2246EN」を採用。ここ数年、コストパフォーマンス重視のモデルに採用例が増えているチップだ。

 NANDチップはMicron製の16nmプロセス製造品を採用。Micronと言えばCrucialやLexarの母体である。つまり、自社製NANDチップを用いているわけで、「MicronによるCrucialSSD」のコストパフォーマンス面での強みはこうしたところにある。

 500GBモデルの公称転送速度は、シーケンシャルリード535MB/s・ライト450MB/s。この値はハイエンドモデルに対しても引けをとらない速度で、お買い得感が強い。

本体側のSATAのバージョンが古い場合は、最新SSD本来のパフォーマンスを引き出すことはできないが、例えそこがボトルネックになったとしてもSSDのHDDに対するアドバンテージ自体はある。

 さて、今回のVAIO F24の場合は6Gbps SATAに対応しているので問題ないが、古い3Gbps SATAインターフェースである場合は、最大転送速度が300MB/s程度に制限されるのには注意。

 ただし、300MB/sまでだとしても一般的なHDDよりはだいぶ速く、512Kや4Kの速度ではSSDに大きな分があるため、3Gbps SATA以前のインターフェイスでもSSDに換装することのメリットはある。

 なお、SATA以前のIDE HDDを搭載しているような、かなり旧型のPCの場合は、さすがにPC本体の買い替えをお勧めしたい。SSDへの換装は可能だが、IDE接続のSSDは希少で高価なため、場合によっては安価なノートPCを購入したほうが安上がりになる場合もある。


HDD→SSDへのコピーは、クローニング機能付きHDDスタンドを使うのが簡単!

玄人志向 KURO-DACHI/CLONE/U3
2台のSerial ATAストレージを接続できるUSB 3.0変換アダプタ。同時に、片方のドライブからもう一方へとデータをクローニングする機能も備えている。

 前置きが長くなったが、移行作業の紹介に移ろう。ストレージの換装の場合、OSから入れなおすクリーンインストールや、完全リフレッシュなどと合わせて行なうこともオススメだが、使用中のHDDのデータを残したままで移行したいという場合もある。

 この、「使用中のHDDからSSDへと、データを移行する方法」というのはいくつかあるが、今回はハードウェアでクローニング(HDDの複製)を行なう方法を用いてみよう。

 今回用いたのは玄人志向の「KURO-DACHI/CLONE/U3」という製品だ。高速なUSB 3.0インターフェースを採用しており、普段は2ベイのHDDスタンドとして、今回のようなイザっ!という場合にはクローニングマシンとして利用できる。

 このように、Serial ATAデバイスを2台以上搭載可能なUSB外付けアダプタの中には、こうしたクローニング機能を備えているものもある。これを用いると、PCとは関係なくアダプタ単体で、それもボタンを押すだけで簡単にクローニングが行なえる。

作業の進捗は前面のLEDで把握できる。4つ全てが点滅したら完了だ。なお、このクローニング手法では、回復パーティションなど、全てのパーティションが複製される。
クローン後のCT500BX100SSD1のパーティション情報

 さて、実際の作業だが、KURO-DACHI/CLONE/U3をクローニングモードで用いる場合、まずACアダプタをつないだまま、USBケーブルは外した状態で、スロット1にもとのHDDを、スロット2に新たなSSDを装着する。

 そしてKURO-DACHI/CLONE/U3の電源をONにした後、HDDのスピンアップが終わった頃合いを見計らって、前面にあるボタンを3秒程度長押しすればクローニング作業が開始する。長押しというのがめんどうだが、これは何かの弾みにクローニング機能が勝手に暴発することがないように、というためのものだ。

 また、クローニング中の進捗は、前面のアクセスインジケータで分かるようになっている。四つあるLEDのうち、常時点灯するものが一つなら25%、二つなら50%完了といった具合で、完了時は四つのLEDすべてが点滅してお知らせしてくれる。完了したら、KURO-DACHI/CLONE/U3の電源を切り、HDDとSSDを取り出せばよい。


クローニング完了後はストレージベイにSSDを収めて動作をチェック

 では、SSDの用意ができたところで、換装の作業を進めよう。

 と言っても、先に軽く紹介したとおりの作業になる。まずはノートPCをシャットダウンし、念のためACアダプタとバッテリも外しておくのがよいだろう。続いて、底面にあるストレージ用アクセスパネルを開けていく。

 すでにクローニングの段階でHDDを取り外しているだろうから、今回はトレイにSSDを装着し、SATAインターフェースに接続、そしてアクセスパネルを閉じるといった手順だ。トレイを用いる方法であるため、SSDに付属の厚みを調整するスペーサも装着する必要がない。

元のHDDと同様に、トレーにネジ4本でSSDを固定する。
トレー式なのでスペーサで厚みを調節する必要はない。
VAIO F24の場合は、まずインターフェースと反対側となる側のネジ穴部分を奥に差し込み、次にインターフェース側を押し倒し、倒した後はスライドさせてSerial ATAインターフェースに接続する
本体奥側のネジ2本はパネルの内側でドライブを固定、手前側のネジ2本はパネルの固定も兼ねて外側から締める。


SSD換装で旧PCが快適に、起動速度は劇的に高速化

 HDDからSSDに換装する作業が完了したところで、パフォーマンスの違いを確認しておこう。

 まずは定番どころのストレージベンチマーク「CrystalDiskMark」だ。

HDD(東芝MK5061GSYN)搭載時のスコア(左)と、SSD(Crucial CT500BX100SSD1)換装後のスコア。すべてにおいてSSDのほうが高速だが、とくに512K以下の速さが格段に違う。

 今回は、筆者が絶賛使い倒し中のシステムドライブであるため、HDD本来のパフォーマンスよりやや低めで、SSD側もこれをコピーしたものなので、やはり本来のパフォーマンスよりは低めだ。

 こうした環境下でも、シーケンシャルリードはHDD 87.5MB/sに対し、SSD 502.4MB/sという値は爆速だ。512Kや4Kのテストはさらに比べ物にならない速度差である。

 続いて、これらの速度が実際の体感として異なってくるのかは、電源ONからOSが起動するまでの速度で比較してみよう。

 OS起動速度の比較は、ストップウォッチを用い、電源ONからデスクトップが表示され、マウスカーソルの砂時計表示が終わった段階までを計測してみた。結果はHDD時が1分18秒前後、SSD時は35秒と、半分以下にまで短縮できた。まあ、常駐ソフトが大量なので遅めの値だが、それでも数秒ではなく数十秒も違うのだ。快適度は劇的と言ってよいほど改善した。

 なお、SSDへの換装はこうした速度面のメリットだけでなく、動作音でも改善があったように感じた。もともとTDP 45WのCPUにGPUも搭載しているため、排気音はすさまじかったのだが、HDDも7,200rpmモデルだったので発熱源として無視できない。

 計器を用いた計測では誤差の範囲だったのでプラセボ効果なのかもしれないが、SSDの低発熱という効果は多少なりあるだろう。Crucial BX100は省電力性がウリのモデルでもあるので、消費電力も少なくなっているはずだ。

 このような具合で、VAIO F24のHDD→SSDへの換装は完了。SSD換装によるパフォーマンス向上も実感できた。VAIO F24のような15.6型の大型ノートPCは、ストレージアクセスパネルが用意されていることも多く、SSDへの換装の手間は少ないため、裏フタをチェックしてみるとよいだろう。

 さて、ノートPCの中には、ストレージアクセスパネルのない製品もあるし、クローニングの方法としてソフトウェアを利用するものもある。次回以降、そうした製品、手法での換装例も紹介していこう。

[協力:Crucial]

(石川 ひさよし)