ノートPC延命計画!

旧型MacBook ProをSSDで高速化、HDD時とは別物の快適さに

SSDでイライラするもたつきを一気に解消 text by 石川ひさよし

 PCはパーツのサイクルが早く、1年もすれば旧式、3年で買い換えと言われるところ。しかし4年以上経ったモデルでも、愛着ある製品はもっともっと使い続けたいものだ。

 そこで、SATA-HDD搭載ノートPCをSSDに換装し、ストレージの速度、レスポンスを向上させて愛機を延命しようというのが当コーナーの趣旨だ。今回はここまで紹介してきたWindows搭載ノートPCを一度離れ、MacBookの延命手法を紹介していこう。

 Macは独自規格のパーツが搭載されている場合もあるが、SATAやDDR3 DIMMなど、標準規格を採用している部分に関しては一般的な自作PCパーツに換装することも可能だ。Mac OS搭載機器でも、基本的なアップグレード方法はWindows搭載機と大きな違いはない。

【今回の流れ】
HDDの取り外し→HDDをSSDに換装+メモリ増設→Trimを有効化しパフォーマンスチェック


今回の延命ターゲットはクリエイター向けのMacBook Pro 15インチ(Early 2011)

2011年リリースの「MacBook Pro」。今回もドスパラ中古通販サイトにご協力いただき用意した。HDD搭載タイプの旧モデルは(税別)80,000〜85,000円前後で購入できる。
クアッドコアCPUのCore i7-2635QMを搭載

 今回のお題は「MacBook Pro (15-inch, Early 2011)」。MacBookシリーズとしてはプロ向けとされるパフォーマンス重視のモデルだ。型番は「MC721J/A」で、2011年の発売時には税込15万8,800円という価格設定だった。高価なだけに、スペック的にもまだまだ現役続行できるポテンシャルがある。

 ではMC721J/Aの仕様を振り返ろう。まずCPUは「Core i7-2635QM」。Sandy Bridge世代の4コア/8スレッドCPUだ。動作周波数は定格2GHz、Turbo Boostで2.9GHzとなる。およそ想像がつくかもしれないが、4年前とはいえクアッドコアCPU搭載モデルとなると、CPUパフォーマンス面ではさほど不満が出ないだろう。

 メモリは4GBのPC3-10600。DDR3-1333であるのでクロックは低いが、現行規格である。ただ、今となっては4GBだと少し少ない印象があるので、前回に引き続きどうせだから増強してみよう。

 HDDはHGST製(当時)の「HTS5450B9A302」で、容量は500GB、回転数は5,400rpm、3Gbps SATA対応。2.5型HDDとしては標準モデルとなるので、およそ不満が出るとしたらココだ。それだけに、SSDへの換装は延命策として有望である。

 そのほか、インターフェースは、ギガビットイーサネット、USB 2.0×2、そしてFireWire 800とThunderbolt。OSのバージョンは、10.6.7(Snow Leopard)だった。

左側面、FireWire 800やThunderboltを備える点が特徴的。
右側面は光学ドライブベイになっている。
天板のAppleマークもMacBookの特徴だ。


換装用SSDにはCrucial MX200を、メモリにはCrucialの4GB×2枚キットを利用

 今回使用するSSDは、Crucialのハイエンドモデル「MX200シリーズ」から、500GBモデルの「CT500MX200SSD1」を選択した。

CrucialのMX200 500GBモデル「CT500MX200SSD1」を使用
MX200は、BX100シリーズの上位にあたるハイエンド向けSSD
インターフェースは最大6GbpsのSerial ATA 3.0。MC721J/AもSerial ATA 3.0に対応しているので、パフォーマンスを引き出すことが可能だ。

 元のHDDが500GBであるので、容量的には十分だ。ハイエンド向けSSDとしたのは、MacBook Proの性格からだ。メインストリーム向けSSDでも高速化は望めるが、できれば最高速を引き出したいという意図である。

 また、今回も合わせてメモリの増強にチャレンジしたい。Macのメモリ交換と言うと、動作確認済みメモリがMac用として販売されているのだが、今回は通常のPC用メモリを使う。

 前回同様、Crucial「CT2KIT51264BF160B」(PC3-12800、4GB×2)だ。もちろん、動作確認がないという点では、不安は残る。ただし、現在のMacは、パーツの構造的に見ればPCと同じだ。よほどクセのあるメモリでなければ大丈夫だろう。

増設用メモリは手持ちの「CT2KIT51264BF160B」(PC3-12800、4GB×2)を使用した。
Crucialのサイトでは、該当PCを選択することで対応メモリをリストアップする機能がある。今回のMacBook Proに正式対応がうたわれたメモリも取り扱われており、8GB×2枚セットなどが入手可能だ。


データの移行はMac OSのユーティリティで丸ごとコピー

SATA - Thunderbolt変換アダプタを介してSSDをMacBook Proに接続
ディスクユーティリティの「復元」機能を用い、現在使用中のHDDのデータを、アダプタ経由のSSDへとコピーした。
画像はMac Book Airのものになるが、TimeMachineを普段から利用しているなら、起動時にOS Xユーティリティを立ち上げ、バックアップストレージ先からデータの復元も可能だ。

 正直に話すと、筆者はMacに触れる機会はあったものの、HDD交換の経験はない。そんな筆者が試行錯誤したなかで、最も無難と思われるHDDからSSDへの換装方法は「HDDのデータを丸ごとSSDにコピーして換装する」手法だ。

 Macのドライブ換装時のデータ移行は、Mac OSのバックアップ機能であるTimeMachineを用いる方法もある。TimeMachine運用環境が整っているならば、TimeMachineで使用している別ドライブからデータを復元するのがスマートだ。より新しいOS Xであれば、インターネットドライブ経由でのレストアも可能。

 ただし、TimeMachineを普段使っていなかったり、TimeMachineに使う外付けドライブが無いといった場合には、丸ごとデータをコピーしてしまう方法が手っ取り早く確実だ。

 MC721J/Aには汎用インターフェースとしてUSB 2.0とThunderbolt、FireWire 800が搭載されている。今回はSATA - Thunderbolt変換アダプタを介してみた。Thunderboltは10GBpsで、USB 2.0の480Mbpsよりも格段に高速だ。

 ただし、SATA - Thunderbolt変換アダプタは、秋葉原でも一時期流通した後はあまり見かけない。筆者の場合は、米国から入手してみた。USB 2.0やFireWire 800にもSATA変換アダプタはあるので、お持ちの方はそちらを利用していただきたい。

 コピーの具体的方法は、「ユーティリティ」から「ディスクユーティリティ」を開き、対象のSSDを選択した後、「復元」タブから「ソース」に元のHDDを、「復元先」に換装するSSDをドラッグして「復元」ボタンを押す。下のほうにプログレスバーが表示されるので、完了まで待てばよい。完了後はシステムを終了させ、ACアダプタを外したうえで、HDDを取り外しSSDに換装すればOKだ。

 なお、BootCampでWindowsを利用していた場合のデータ移行だが、Mac OS + Windows OS環境で利用していた場合、Windows部分のデータ移行はWincloneなどの有償アプリなどを利用するのが最も簡単だ。

 それ以外の方法であれば、Windowsのシステムイメージバックアップ機能を利用し、外付けHDDなどにOSのデータをコピー。Mac OS側の再セットアップを済ませた後にWindows用のパーティションを設定、Windows再インストール時に「イメージでシステムを回復」を選び、バックアップからデータを移行といった手順になる。なお、Macの本体にWindowsしかインストールしていない場合、データの移行方法はこれまで紹介したWindows機と全く変わりない。

 では準備が整ったところでSSD換装作業に移ろう。


MacBook Proの分解は少し大変

 MacBook Proの底面に、メモリやストレージ用のベイパネルなどはない。ツライチの美しいボディをしている。そのため、多少面倒な作業となる。

 まず、底面パネル全体を外すため、周囲に沿って並ぶネジ全てを外していく。なお、ネジは小さく、精密ドライバの#0または#00あたりが必要となる。おそらく、ちょっとしたネジの頭の凹凸ですら目立たせたくないのだろう。

普段気にすることのない底面にもデザインへのこだわりが感じられる
ネジもかなり小さく、精密ドライバーの(+)#0番が必要

 底面パネルを外す際の注意がいくつかある。まず、ドライバーを扱う際、先端がボディに触れないように注意しよう。美しいボディに引っかき傷ができてしまう。

 次にネジ。ネジには長短2種類あり、長いものは規格認証マークを上にした状態で、上方右から3本だ。また、短いネジの一部は斜めにねじ込まれているため、装着の際にナメてしまわないよう注意しよう。

 底面パネルを外すと、手前がバッテリー、中央にメモリスロット、左下にストレージベイ、そして上部は2基のファンなどが確認できる。

 MC721J/Aの発売は4年前。一度もパネルを開けていないのであれば、そろそろホコリが溜まっている頃だろう。まずはエアダスターなどで掃除をしておくとよいだろう。

一部のネジは斜めにねじ込まれている
ネジには長短2種類あるのでここにも注意
底面パネルを外した状態

 ではストレージベイに装着されたHDDを取り外そう。

 まず、ドライブの周囲には黒い4本のネジが装着されているので、これを外すことから始める。次は、HDDに装着されたフィルム状のフラップを持ち、引き上げるかたちでベイからHDDを取り外す。

 Serial ATAのインターフェース部分は薄いフィルム上のケーブルを採用しているので、ムリな力は禁物だ。HDDにはさらに4本の固定具が装着されている。この固定具の取り外しにはT6のヘクスローブドライバが必要になる。

まずはHDD周辺にある4本の黒いネジを取り外す
HDDにはガイドとなるネジが4本装着されている
ガイドのネジはやや特殊と言えるだろうヘクスローブ。第2関門だ

 こうしてHDDを取り外した後は、手順を逆にSSDへと換装していく。ここは難しくはないだろう。

先ほどのガイドネジをSSDに装着していく
黒いネジ4本も装着して戻せば完了だ

 メモリの交換に関しては、MacBook Proのメモリスロットが2段、まったく同じ位置に用意されているため、Windowsノートと比べて取り外しが若干面倒なものの、作業としては同じだ。

 SODIMMを左右から固定するラッチを広げ、モジュールを引き起こして取り外し、新しいモジュールを斜めに挿し込んだら、モジュールを倒してラッチにしっかり固定させる。

通常、2段のメモリスロットは多少前後させることで装着しやすくなっているのだが、MacBook Proのスロットは全く同位置に重ねられている。
とはいえ装着方法自体はPCの際と同じ
スロットに対し斜めに挿し込み、しっかり挿したら倒し込めばよい

 あとは底面パネルを戻せば完了だ。ただ、これまでの換装作業も同様だが、パネルを戻す前に動作確認をしておこう。

 MacBook Proの場合はパネルの再装着に手間がかかるので、何かあった時に再度パネルを外すより、この状態で問題を見つけておくのがよい。無事動作を確認できたら、パネルを再装着して完了だ。

SSD換装で起動時間は半分以下に短縮、Trim機能を有効化してパフォーマンスを引き出そう

 今回のように、HDDからSSDにデータをコピーした場合、SSDのスピードは手に入れられても、実はTrim機能が無効となったままであることがある。

 そこで「Trim Enabler」というフリーウェア(高機能な有償版もあり)によってTrim機能を有効にする。Trim Enablerをダウンロード→インストールし、同ソフトからTrim機能をオンとしたら、一度再起動が必要だったが、Trimの有効化が確認できた。

 Trim機能は、長期運用時のパフォーマンスや寿命に関わってくる機能のため、SSDを使用する際はMac OSでも意識したい。

HDDからコピーした直後のSSD、Trimサポートは「いいえ」になっていた
Trimの有効化にはフリーウェアのTrim Enablerを利用した
Trim EnablerでTrim機能をオンにすると、Trimサポートが「はい」に変わった

 なお、今回のケースでは、Trimを有効化しただけではSSD本来の速度が出なかった。

 Trimが有効化できてもTrimコマンドが即実行されたわけではないようで、いろいろとMac系のサイトを調べた結果、「しばらく放置する」というのがベストという結論に至った。実際、4〜5時間ほど放置した前と後では全くパフォーマンスが異なる結果だった。

 性能が発揮されたあとのパフォーマンスだが、どれだけ高速化されたのかベンチマークと起動時間をSSD換装前と換装後で比較してみた。

 ベンチマークにはQuick Bench 4.0を用い、20〜100MB時のスコアを計測してみた。HDDの際は、リードがおよそ90MB/secあたり、ライトは83MB/secあたりの結果だった。一方でSSDの結果は一目瞭然で、リードが523MB/sec、ライトも480MB/secあたりが出ている。5〜6倍のスピードアップだ。

HDD時の転送速度は概ねリード90MB/sec、ライト83MB/secあたり
SSD時の転送速度は概ねリード523MB/sec、ライト480MB/secあたり

 OS起動速度については、これまでのWindows機とはOSが異なるため、電源オンからデスクトップ表示までを計測した。

2分に迫る時間を要していたHDDに対し、SSD換装後は1分未満でサクッと起動できるようになった

 今回も、HDDからSSDに換装することで、起動に要する時間は半分以上に短縮できた。正直、HDDの際はかなりツラいと感じられるほど起動に待たされていたが、SSD換装後はまずまず速い。まずまずというのは、おそらくOSのバージョンが古いこともあるだろう。どうせなら、ここで最新OSまで引き上げたいところである。

同じMacBook Proとは思えないほど快適に、効果の大きいSSD換装

 このように、HDD世代の製品ならMacであってもSSD化によるレスポンス改善が可能である。

 Macも内部のパーツはPCと同じ。デザイン面での体験を重視するApple製品だけに、一般的なPCと比べると分解に手間取るところはあるが、大きく変わるものではない。特殊なドライバが必要になるため、ここは事前の用意が必要だが、記事中にメモしておいた規格番号を参考に、入手して欲しい。基本的にはホームセンターで入手可能だ。

 さて、OSの起動速度で大幅な改善があったが、アプリケーションの起動もかなりサクサクだ。HDDの際はSafariの起動にも待たされ、ウェブサイトの表示にも待たされた印象だったが、SSDに換装した後は起動もサイト表示の素早く、同じMacBookとは思えないほど「イライラ」が解消された。

 同時に、HDDのスピンアップの音が消え、気持ちパームレストの発熱も抑えられた印象だ。おそらく、若干の軽量化も実現しているし、バッテリーの持続時間も向上するだろう。このように、SSDのメリットは速度だけでなく多岐にわたる。全てを一気に改善したいなら「SSD換装」にチャレンジしてみるとよいだろう。

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[制作協力:Crucial]

(石川 ひさよし)