ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

富士通が発売した最初で最後のMSX規格に則った機種「FM-X」

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは富士通が1983年に発売した「FM-X」です。

 1983年にMSX規格が発表され、同年末には早くもMSXパソコンが店頭に並び始めますが、そのタイミングで登場したのが富士通より発売されたMSXパソコン・FM-Xです。

上部に設けられた斜めのスリットが、デザインのアクセントになっています。キーの形状はFM-7と似せられていますが、テンキーはありません。

 この時期のMSXパソコンには、これまでに紹介したCF-2000やHB-55などがありますが、それらが54,800円という価格をつけていたなか、FM-Xは49,800円という少々安い値付けで市場に投入されました。そのためか、RAM容量は16KBでカートリッジスロット1基と、他機種と比べてスペックは若干抑えられていました。雑誌広告のイメージキャラクターはFM-7などと同じくタモリ氏で、男子学生がFM-7を、女子学生がFM-Xを抱えていたページが記憶に残っています。

本体正面下部には、ジョイスティック端子が2つ設けられています。パッと見では分からない場所にあるので、最初は戸惑うかもしれません。

 そんなFM-X最大の特徴は、なんと言ってもFM-7との連携でしょう。「FM-7 インタフェース」を拡張スロットに挿し込みFM-7と接続することで、さまざまなメリットがありますという形で宣伝されました。広告では「スプライト機能もいっきにターボ感覚(中略)8オクターブ3重和音の立体感あふれるステレオサウンドに。FM-7本体のRAMを使用することにより、FM-Xのユーザエリアが32KBに拡張」と謳うなど、気合いが入っていたのが分かります。とはいえ、FM-7とFM-Xを所有するというのはさまざまな面で難しかったため、恩恵を受けた人はごくわずかだったのではないでしょうか?

当時の広告の一部。「FM-7にFM-Xをつなげば、楽しさも迫力もグレードアップ」とうたわれている。
右側面には、カートリッジスロットが設けられています。ここに、ラベル面を上にしてカートリッジを挿します。

 当時、御三家と言われたNEC・シャープ・富士通の中で、実際に日本でMSXパソコンを発売したのは富士通だけでしたが、どれだけの台数が売れたのかが気になるところです。

背面にあるのは、左から電源スイッチ、リセットスイッチ、音量ボリューム、外部スピーカ出力端子、オーディオカセット端子、RF出力、チャンネル切り替えスイッチ、映像源の内部・外部切り替えスイッチ、RGB入力端子、RGB出力端子となります。