ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

御三家に食い込むことはできなかった技術の結晶「ソニー SMC-777C」

右側に見えるカーソルキーが、ジョイパッドになっているのが目を引きます。その奥には、3.5インチのFDDがあるのが分かります

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのはソニーが1984年に発売した、3.5インチFDD内蔵機種「SMC-777C」です。

 ウォークマンやコンポなどでAVに強い印象があったソニーが、1982年に満を持して発売したマイコン、SONY MICRO COMPUTER SMC-70は82年としては高スペックでしたが、市販ソフトが少なかったことなどもありヒット街道には乗れませんでした。その後、さまざまな部分を改良して1983年にSMC-777を、そしてその翌年の84年に市場へと投入したのが、ここで取り上げたSMC-777Cです。

1982年に登場したSMC-70の広告ですが、1982年当時のハードと考えると、かなりの機能を詰め込んできているのがわかります

 基本的なスペックはSMC-777とほぼ同じですが、SMC-777ではオプションだったパレットボードを搭載したことにより、640×200ドットのモードで「なんと4096色から任意の16色を選び表示することが可能」(広告より)でした。音源に関しても、PSG8オクターブ三重和音を鳴らすことができたほか、価格は3.5インチFDDを1基備えていたにも関わらず168,000円と、今から考えてもかなり戦略的な値付けをしていたのがわかります。

 製品を購入すると、グラフィックディスク「グラフィック・エディター」ミュージックディスク「ラッサピアダー」ゲームディスク「ストリッツb.h.(ベーハー)」オリジナルディスク「777 Original Disk」バックアップ作成用「空ディスク」の5枚のディスクが同梱されていたため、ソフトを用意しなくてもすぐに活用出来る仕様になっていたのもありがたい点でした。なお、SMC-777CはROM BASICを内蔵していないため、BASICを使用したい場合は「777 Original Disk」からの読み込みが必要となります。

SMC-777C広告の、バリエーションの1つです。CGで松田聖子さんを描き、その性能をアピールしていました。右下には、お馴染みの“HiTBiT”の文字も見えます

 広告では、ソニーのパソコンでお馴染みの「人々のヒットビット」のキャッチコピーの元、イメージキャラクターの松田聖子さんと共にハードを掲載して宣伝していました。ソフト面でも、ブローダーバンドの「ロードランナー」や「チョップリフター」を移植してソニーパッケージで発売したり、ソニー・クリエイティブプロダクツが権利を持つキャラクターを使用したゲーム「うちのタマ知りませんか?」「バイキン君のゴキブリ退治」などをリリースするなど、気合いが入っていたのがわかります。

 結果的には、市販作品のバリエーションが少なかったなどの理由もあり、ソニーの一般向け独自ハードはここで終了。この後はMSX市場にて、その存在感を発揮することとなります。

真上から見ても、目立つのはジョイパッドのようなカーソルキーです。テンキーが省かれていますが、当時のハードであれば大きなカーソルキーよりもテンキーを設けた方が良かったのかも、という話も
本体右側面には、ボリュームつまみとジョイスティック端子が2つ、用意されています
背面は左から拡張FDD端子、アース、キーパッド端子、CMT端子、デジタルRGB端子、アナログRGB端子、プリンタポート、I/O拡張端子、リセットとなっています。アナログRGB端子は24ピンなので、今の時代はコネクタを自作する必要があるかもしれません