ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

PC-6000シリーズの頂点、六本木パソコンこと「NEC PC-6601SR」

PC-6000シリーズ初となる、本体とキーボードが分離するレイアウトを採用していました。有線はもちろん、キーボードに電池を入れれば赤外線での接続も可能です

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、NECが1984年に“Mr.PC”の愛称で発売された「PC-6601SR」です。

 年の初めにMacintoshが、その後にはFM-77やS1、SMC-777C、X1turboなど多数の機種がリリースされた1984年。その終わりが見えてくる時期にNECより発売されたのが、“六本木パソコン”のキャッチフレーズと共に登場した“Mr.PC”ことPC-6601SRです。

正面から見ると、キーボードの幅がほぼ本体に合わせてあるのがわかります。専用ディスプレイを本体の上に載せられるよう、本体上面には丸い穴も縁取られています。キーボードの奥側には、赤外線ポートが用意されています。本体カラーはワインレッドとブラックメタリックが用意されていましたが、広告を見る限りでは、ワインレッドを選んでもFDDのカラーはブラックだったようです

 カラーリングはワインレッドとブラックメタリックの2色が用意され、専用ディスプレイとセットで使用すればテレビが操作できたり、スーパーインポーズが使えるなど、NECのハードとしては初となる試みがいくつも盛り込まれていました。広告では「先進のワイヤレスキーボード&テレビパソコン、ミスターPC。」とのキャッチのもと、当初は六本木パソコンを前面に出し、後にはテレビパソコンをプッシュした広告展開を行っています。なお、先に市場デビューしていたX1は“パソコンテレビ”なので、これを混同するとPC-6000ファンとシャープファンからの総ツッコミを喰らう可能性がある点には注意が必要です。

1984年末から85年初頭にかけて使われていた“六本木パソコン”がメインのもののほか、テレビパソコンを打ち出したものやプログラムが掲載されているバージョンなど、バリエーション豊富な広告が用意されていました

 PC-6601からパワーアップしたN66SR-BASICを搭載したほか、広告に書かれたスペックとしてテキスト表示は最大80文字×25行で15色、グラフィック画面は640×200ドットでは15色中4色を、320×200ドットでは15色が扱えるほか、音楽機能としてはFM音源8オクターブ3重和音+PSG8オクターブ3重和音、そして音声合成機能とスーパーインポーズ機能を内蔵するなど、AV機能に関してはかなりの充実した機能を装備していたのが特徴です。

本体正面には、ジョイスティック端子が2つと音量ダイアル、タイマーボタン、リセットボタン、キーボード接続端子、そして電源と赤外線受光部、FDDが1基搭載されています

 これで本体とキーボードを合わせた値段が標準価格155,000円で、専用のディスプレイが標準価格94,800円で用意されていました。両方を揃えると約25万円でしたが、1万円プラスすると翌年85年に発売されたPC-8801mkIISRのModel30が手に入ったため、これを含めてどのパソコンを購入するかで悩んだ人もいたかと思います。

背面には、専用ディスプレイ用サービスコンセント、プリンタポート、RF電源出力端子、RGB出力端子、テレビインタフェース端子、ドライブ数選択スイッチ、カセットインタフェース端子、オーディオ出力端子が並んでいます
右側面には、PC-6001から続く専用カートリッジスロットが用意されています。反対側には、ジョイスティックポートが2つあります

 魅力的なハードだったのは間違いないのですが、PC-6001mkIISRとPC-6601SRをもってPC-6000シリーズは幕引きとなります。ちなみに、NECのSRシリーズは他にPC-8001mkIISR、PC-8801mkIISRとありますが、そのどれもがFM音源を搭載していることから、SR型番はFM音源搭載を意味していたのかもしれません。SRシリーズの中で一番早く市場デビューしたのがPC-6001mkIISRとPC-6601SRだったので、当時その意味を知っていれば自ずと後から発売される新機種のスペックが分かったかも!?