ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

テレビへ電波を飛ばして画面出力、時代の一歩先を行った「カシオ MX-101」

本体は、MX-101よりも先に発売されていたMX-10と変わらないコンパクトさです。ただし、電波を飛ばすためのアンテナを設置すると、一気にスペースを取られます

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、テレビと直接接続しなくても画面を映せるというカシオのMSX、MX-101を取り上げました。

 1983年から発売され始めたMSX規格のパソコンですが、その規格が統一されているため、各社とも創意工夫をして他社との差別化を図り新機種をリリースしてきました。そんななかにあって、価格を最大の武器にしていたのがカシオです。最初に発売したPV-7は、その時期の他機種が5万円以上だったところを29,800円という衝撃的なプライスでデビュー、一気にその知名度を上げます。

 その後、PV-16を経て登場したMX-10では搭載RAM容量16KBとしながらも、PV-7よりも安い19,800円という驚愕の価格で市場に送り込まれました。キーボードはプラスチックからゴム製になったほか、コストカットできるところは徹底的に削られ、Capsキーやかなキーがロックされたことを示すランプすら省かれています。さらには、PV-7と同じくカセットインタフェースも簡略化され、データレコーダを接続するにはFA-32が必要となりました。

真上から見てみると、PV-16よりもデザインがこなれた感じがします。カーソルキーに見えるのは、ジョイスティックの方向キーに対応したキーバッドです。キーパッドではカーソルは動かないので、その上に小さく配置されているカーソルキーを使います。右上には、カートリッジスロットが見えます。

 そんなMX-10をベースに、テレビへのUHF電波をワイヤレスで飛ばす機能を付加したのが、今回紹介したMX-101となります。価格はMX-10と同じ19,800円で、アンテナなどが追加されたにもかかわらず同値段がつけられているのは、今となっては不思議に思えます。他の機能はMX-10とまったく同じで、ジョイスティックの替わりとなるジョイパッドも本体右側に配置されています。

本体右側面には、ジョイスティックポートが2つ用意されています
背面にあるのは、ACアダプタの端子と電源スイッチのみと、かなりシンプルなのがわかります。なお、底面にはドッキングステーションKB-10と接続する為の端子が用意されています
左側面を見ると、MT/IF端子、UHF CHANNELつまみ、RF出力端子、音声出力端子、映像出力端子が並んでいます。UHF CHANNELつまみは奥まったところにあるので、間違えて触ってしまうことはありません

 MX-101最大の特徴である、UHF電波を飛ばして映像を表示させるというのを今の時代に試してみたかったのですが、手元にアナログチューナを内蔵したテレビが用意できなかったため、残念ながら実際にワイヤレスで映るのを確認することは出来ませんでした。しかし、当時は間違いなく動いていたので、リアルタイムで体験した人は近未来を感じ取ることができたのではないでしょうか。今で言うところの遅延が、どの程度あったのかは気になりますが……。

 マニュアルによると、MX-101の送信するUHF電波の周波数は470.25MHz~478.25MHzとのことで、チャンネルを13chまたは14chに合わせ、本体のUHF CHANNELつまみを調整してください、との記載がありました。アンテナは、MX-101のある方向に向けないとダメだそうです。手元にMX-101とアナログチューナ搭載テレビを所持している人で試そうと思った方は、そのあたりに注意して挑戦してみてください。

アンテナを広げてみると、かなりのスペースを取るのが分かります。しかし、電波を飛ばして離れた場所から映すというのを1980年代に実現したというのは、それだけで未来感があったと思います

 ただし、電波を飛ばせるといってもせいぜい数メートル程度なので、それであれば少々長いケーブルを購入し接続した方が、面倒な電波の調整などを行わずに済む分、楽だと思います(笑)。また、まだまだ小さなテレビが多かったご時世を考えると、離れれば離れるほど画面が見づらくなるので、それであれば電波を飛ばさず近づいて直接接続した方が画面も見やすかったのではないかと思われます。いずれにしても、近未来を垣間見せてくれた素晴らしい機種であったことには間違いないでしょう。