ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

見た目はポケコン、肩書きはハンドヘルドコンピュータ「NEC PC-2001」

ポケコンライクな大きさなのですが、それらよりは厚みのあるボディになっています。オレンジ色のRETURNキーやCLRキーは、PC-6001を思い起こさせます

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、NECが1982年に発売したハンドヘルドパーソナルコンピュータ、PC-2001を取り上げます。

 1982年後半は、シャープやカシオはポケコン、エプソンや東芝はハンドヘルドコンピュータを市場へと投入していましたが、そんな時代にNECが発売したのが、ハンドヘルドパーソナルコンピュータのPC-2001です。1982年10月18日に発売された雑誌・月刊I/Oのニュースコーナーに新製品として掲載されているので、市場に流通し始めたのはその近辺かと思われます。本体標準価格は、59,800円でした。

この時期はPC-9801が発売されたこともあり、PC-2001が前面に出てくることはなく、全機種まとめて紹介されるパターンの広告が多かったです

 パッと見、大きなディスプレイとフルキーボードが目立つ外見です。リターンキーやINS/DELキーが最下段だったりスペースキーが短いなどの特徴がありますが、英字キーよりも大きなテンキー部分が存在感を醸し出しています。RAMを8KB、ROMは20KB搭載し、ACアダプタだけでなく単3電池×4本でも駆動するため、移動中でも使用が可能でした。重さは電池を抜いた状態で約600gなので、これなら鞄に入っていても負担のない重量でしょう。

電源をオンにした状態で真上から撮影しました。ディスプレイの左端に“>”が表示されていれば、入力が可能な状態です。撮影に際してはコマンドを入力し、ディスプレイ右側に時計を表示させました
底面にあるネジを外すと、本体内部へとアクセスできます。底面基板の左側には、CPUであるμPD7909の姿が確認出来ます
大きさが分かるように、雑誌I/Oと並べて撮影してみました。見ると分かるように、かなりコンパクトな作りになっています。

 ディスプレイ部分は横40文字×2行ですが、通常は最下段にファンクションキーが表示されているので、実質40文字×1行となります。内蔵しているのはN-BASICなどとある程度の互換性があるN20-BASICで、PC-2001で入力したデータをPC-8001やPC-8801、PC-9801に吸い上げて利用することができました。ちなみに、BEEP命令では1から31までの31音階が用意されていて、PC-8001やPC-8801、PC-9801よりも少しだけ豪華な音が鳴らせます(笑)。

本体右側面には、CMT端子、シリアルI/Oポート、DC12V接続端子、コントラスト調節つまみがあります
本体背面にあるのは、プリンタポートのみです
本体左側面には、拡張スロットが用意されています
本体底面には、リセットスイッチがあります。右に見えるのは拡張スロットで、撮影に際して蓋を外しています

 行番号を付けてBASICプログラムを入力する際には、その行しか見えないため、雑誌に掲載されているプログラムリストを入力する時は少々手こずります。今ならばPC-8001などで入力し、テープに保存したものをPC-2001でロードする、といった方法を取るのが簡単かもしれません。ただし、PC-2001のCMTコネクタはサイズが小さいもののため、今は自作する必要がありますが……。

 市販タイトルがほとんど見あたらないため、現在入手しても使い道としては雑誌掲載プログラムを入力・実行するくらいだと思いますが、小さなボディに詰められた当時の技術者魂を、肌で感じ取ることはできるかもしれません。