ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

ゲームプレイ画面を録画可能! X1シリーズで初めてビデオ出力端子を備えた「X1G」

これまでの横に長い筐体から一変し、ずんぐりむっくりとした雰囲気を漂わせています。本体カラーは、オフィスグレーとブラックの2種類が用意されました

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回はシャープが1986年に発売したX1シリーズの新機種「X1G」を取り上げます。

 1982年に最初のX1が発売されてから4年後となる1986年、シャープはX1シリーズの新機種としてX1Gを登場させました。

 X1シリーズの前モデルとなるX1Fでは、FDDは横にレイアウトされていましたが、X1Gでは縦に2段のレイアウトへと変更されています。他に似たようなデザインを採用したのは、NECのPC-8801MCや後に発売されるX1twinなどがありますが、これまでのX1シリーズがX1Cシリーズを除けば横幅39cmで統一されてたものが、そうではない形状になったことには驚いたものです。

真正面から見ると“SHARP”“X1”以外、文字がすべて斜めに記されているのが分かります。縦置き・横置きどちらも可能ですが、CZ-820Dと組み合わせるのであれば縦置きがしっくりきます。ただし、メーカー名と機種名を鑑みるならば、横置きが良いのかもしれません。左下からキーボード端子、ジョイスティック端子×2、ボリュームつまみ、シンクモード切り替えスイッチ、IPLリセット、NMIリセットボタン、右端に電源スイッチが見えます。電源スイッチはシリーズとしては初の、赤色で細長いボタンが採用されています

 このデザイン変更で、カラーディスプレイテレビCZ-820Dとの組み合わせでは、縦置きすることで高さがピッタリと同じになりました。CZ-820Dとセットで買えば自分専用のテレビが持てるということで、それが購入動機になったという人もいるのではないでしょうか。

 また、X1シリーズとしては初めてとなる、ビデオ出力端子も搭載しています。これにより、ゲームプレイ画面をビデオで録画することなどができるようになり、残したいと思った場面を保存しておくことが可能になりました。ただし、キーボードはX1Fまでのメカニカル方式からメンブレン方式に変更となったことで、ユーザーからはさまざまな評価を呼んだとのことです。

背面は若干凹んだ部分にあります。いくつかのコネクタが正面に移動した都合上、背面は従来機種よりもスッキリしています。左から、デジタルRGB端子、TVコントロール端子、CMT端子、ビデオ出力端子、プリンタポート、音声出力端子となっていて、プリンターポートと音声出力端子の上にI/Oスロットと電源スイッチが配置されています
左側面には、縦置きするときに利用する足があります。ネジを少しだけ緩めて足を広げ、再びネジを締めれば安定します

 X1Gには、ファミリーコンピュータのコントローラと酷似した、X1ロゴ入りの十字キーを採用したジョイカードも同梱されていました。広告にも映っているところをみると、ゲームユーザーへの訴求だったのでしょう。ちょうどこの時期に、ハドソンから『スーパーマリオブラザーズスペシャル』が発売されていて、プレイするにはジョイパッドなどの外部入力装置が必須だったため、X1とセットで買った人もいたかもしれません。

当時のX1Gの広告です。“遊ハンター”“ビデオまで巻き込んだ”というキャッチコピーが目立っています。小さくですが“ジョイカード付き”と書かれているのも特徴でしょう

 用意されたモデルは、高速電磁メカカセットレコーダ内蔵型のModel 10と、FDDを2基搭載したModel 30の2種類です。カラーリングはブラックとオフィスグレーの2色になり、ローズレッドが消えてしまったのが残念なところでした。値段は、Model 10が標準価格69,800円、Model 30でも標準価格118,000円と、初代X1とほぼ同じスペックとはいえ、この時期に御三家が発売したパソコンのなかで一番安価でした。X1シリーズの豊富な資産を有効活用するのであれば、安くて良いマシンだったと言えるのかもしれません。