ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

SHARPのパソコンテレビ「X1」シリーズ 後期モデルと、1980年代後半のソフトハウス「T&E SOFT」編

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編からSHARP「X1シリーズ Part2」編と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から1980年代後半の「T&E SOFT」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。


- 懐かしのマイコンたち!! -SHARP「X1シリーズ Part2」- -


 X1シリーズの上位機種として登場したのが、ここで紹介しているturbo/turboZシリーズだ。

 X1シリーズとの完全上位互換を保ちながらも機能の拡張などが行われたが、X1シリーズの基本性能がもともと高かったこともあり、PC-8801mkIISRがリリースされて以降はほとんどが「PC-8801mkIISR以降対応」となったPC-88シリーズとは違い、X1turbo以降が登場してからもturbo専用ソフトだけでなく、X1シリーズから対応というタイトルも数多く発売されていた。

 なお、turboシリーズ最終機種となるturboIII は、登場1カ月後にAV機能を強化したシリーズ最上位機種turboZが発売されてしまうという、ある意味では悲劇のハードとなってしまった。

X1turboは、1984年10月に発売された。オフィスグレーとローズレッドという2色を用意し、FDDの有無などで3モデルがラインアップされた。後に「究極の8ビットパソコン」と呼ばれた機種の1つ。
X1turboIIにはX1シリーズ発売3周年を記念して、標準のオフィスグレーにくわえ限定モデルとなるブラック仕様が登場。これが好評だったことから、以後はブラックがシリーズの標準色となる。
X1turboIIIは、turboIIの1年後となる85年11月に発売。FDDが、2HDと2Dに対応したモデルになった。2Dモード時はランプが赤く光るが、2HDモード時は緑。正面のデザインも変更されている。

 その後、X1シリーズはturboZシリーズへと集約される。4,096色が同時表示可能になり、サウンドもFM8和音+PSG3和音でステレオ再生できるなど、大きくパワーアップが図られた。turboZシリーズでプレイする日本ファルコムの『ソーサリアン』が、PC-8801mkIISR対応版より1ランク上のBGMを奏でていたことが強く印象に残っている。

 しかし、初代X1シリーズからの魅力を詰め込んだ機種もturboZIIIで最後となり、その魂をX68000へと引き継がせることとなるのだった。

X1turboZはX68000と同時に発表された機種で、turboシリーズから着実に機能強化されている。本体カラーはブラックとオフィスグレーで、当初は専用ディスプレイテレビとしてX68000兼用のものが使われていた。
X1turboZIIは、X1turboZに拡張RAMを追加するなどのマイナーチェンジを施したモデル。NewZ-BASICが同梱されていた。また、カラーがブラック一色のみとなっている。
こちらはX1turboZIII。前モデルに付いていながらも使われることが少なかった外部端子を廃止。これにより価格もX1turboZIIより1万円安くなった、X1から続く各種シリーズの最終機種。

- ボクたちを虜にしたソフトハウス・80年代後半編 -T&E SOFT- -


「ハイドライド」シリーズの始まりと終わりがあった80年代後半

 1984年末に発売された『ハイドライド』は、RPG初心者でも手軽に楽しめるということもあり大ヒットを記録した。その続編として、待望の『ハイドライドII』が85年末に登場する。この頃、市場を賑わせていたのは日本ファルコムの『ザナドゥ』であり、この2タイトルはライバル関係として雑誌に取り上げられることが多かった。

前作『ハイドライド』と比べ、ボリュームが大幅に増えた『ハイドライドII』。しかし、キャッチコピーの“これ以上何を望むのか”に、「PC-6000シリーズ対応版を!」と答えた人がいたとかいないとか。

 T&E SOFTはその後、『ハイドライド』シリーズ以外の路線へと積極的に打って出る。86年に『レイドック』を、翌87年には「ディーヴァ」シリーズを、当時としては異例ともいえる複数機種で一挙にリリース。そして、パソコンゲームユーザーが待ち望んでいた『ハイドライド3』が、満を持して11月に発売されるのだった。

 今作も大人気を博したものの、またも日本ファルコムの作品『ソーサリアン』と発売日が近かったこともあり、年明けにお年玉でどちらを買うか……で悩んだ人も多いと当時は聞いたものだ。

MSX2版『レイドック』では、ハードの機能を活かしたキャッチコピー“魅せてあげよう、1ドットのエクスタシー”が印象的。のちにFM77AVシリーズとMZ-2500シリーズにも移植される。
「DAIVA」は、“PC-8801mkIISR/FM-77AV/X-1/MSX/MSX2/Family Computer/???(広告ママ)”の7機種すべてでパスワードによる完全データ互換をうたっていた。
『イース』『ソーサリアン』と並ぶ名作『ハイドライド3』。難易度はほどほど、ストーリーは1本道だったので深く悩まずに遊べたことや、透明感のある美しく澄んだBGMなどが、その人気の秘密だろう。のちにパワーアップされたバージョンが、16ビット機にも移植された。

 評判のよかった「ハイドライド」シリーズだが、3作目で終了。翌年にはアドベンチャーゲーム『サイオブレード』を発売する。しかし、当時のユーザが待っていたのは、新作RPGだったとの話もあったとか。

 このあとT&E SOFTは『ルーンワース』『遥かなるオーガスタ』などをリリースするが、これはまた別の機会に語ることにしよう。

満を持して発売された『サイオブレード』。雑誌広告で「“ぴしょぶらで”とは読まないで!」と書かれていたことがある。T&E SOFT次の大ヒット作となるのは、1989年も終わりが見えた10月に発売された、3Dゴルフシミュレーションの『遙かなるオーガスタ』だ。
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