ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』

この時期にお馴染みの、コナミの紙パッケージです。中には、プラケースにはめ込まれる形でROMカートリッジが収められています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、MSX版の『グラディウス』です。

アーケード版とは違い「これ全部1Mビットだからできるんだ。」というキャッチコピーで広告が掲載されていました。ゼロス要塞ステージの部分には「FCにはないメカ触手がある(後略)」や、ビックコアの写真には「とにかくデカイ。だからド迫力。」という記述も。

 1985年、ゲームセンターに『グラディウス』が登場すると、その魅力に大勢の人が飲み込まれていきました。その人気は凄まじく、ゲーム機だけでなくパソコンにも移植されることになります。後に登場したPC-8801mkIISR版とX1版は共に、購入者が満面の笑みを浮かべられる完成度だったかは不明ですが、間違いなく非常に高い完成度を誇っていたのが、いち早くMSXに移植された『グラディウス』でした。それまでのMSX用ROMカートリッジでは容量が足りなかったため、当時のコナミは独自開発のチップを搭載し、MSX初となる1Mビットの大容量を実現。『グラディウス』の発売を可能にしています。

 基本的なシステムはアーケード版とほぼ同じですが、オプションが2つしか付かなかったり、シールドが前方から飛んでくるのではなく即座に装着されるようになっていた点が異なります。大きく違うのは、ミサイルとレーザーが2段階にパワーアップする部分と、エクストラステージと呼ばれるボーナスステージが盛り込まれたこと。そして、骸骨ステージが追加された部分でしょう。特にレーザーは、先に発売されていたファミリーコンピュータ版が短かかったのに対して、本作では2段階パワーアップすると長く美しいものになりました。アーケード版ほどの威力はありませんが、それでもレーザーが長いことは『グラディウス』のステータスのようなもので、後発の88SR版、X1版ユーザーの中には悔しがった人も多いと聞きます。

デモ画面では、黙っていたらMSXとは気づかないほどの美しいグラフィックが表示されます。飛び交うレーザーなどがアニメーション表示されているのを分かってもらえればと思い、写真を2枚並べてみました。

 また、ステージ2、3、4、7に仕掛けられた特定の場所へ移動するとエクストラステージへ進むことが可能で、そこでは自機が増える緑カプセルや、連続して回収すれば高得点が得られる黄カプセルなどが出現しました。ステージ構成が若干イジワルで、ダブルを装備していないとハマリに陥りますが、それでも敵が出現しない分、通常ステージよりは楽にクリア出来るという側面もあります。代わりに、操作ミスするとすぐ地形に当たってしまう危険と隣り合わせですが……。

1面最後には、お馴染みの火山が待ち受けています。火山弾が1色なので、“ジャガイモ”と呼ぶ人もいたとか。一定時間が経過すると火山はスクロールで消え、ビックコアとの一騎討ちが始まります。

 追加された骨ステージでは、骨が地面からムクムクと出現し自機めがけて破壊可能弾を大量に撃ってきます。モアイステージの別バージョンとも言えますが、思った以上に攻撃が激しいため装備が整っていないと苦戦するかもしれません。その分、攻略しがいもあるというものです。

2面や3面は縦にはスクロールしませんが、それでも面白さはアーケード版にひけを取りません。ちなみに、ステージ3の写真は、エクストラステージへの入り口になっています。

 一部ステージを除き、最後まで辿りつくとボスのビックコアが出現します。おもちゃのような小さいビックコアが登場する機種もありましたが、MSX版では大きく迫力有るサイズで現れるため、熱く戦うことができました。レーザーを装備していれば簡単に倒せてしまうのも、ある意味アーケード版に忠実といえるかもしれません。

エクストラステージは大量得点と1UPゲットのチャンスですが、ダブルを装備していないと道がなくなってしまうことも……。

 スクリーンショットではあまり見栄えがしないかもしれませんが、実際にプレイすると『グラディウス』らしさを十二分に備えているため、今遊んでも面白い1本です。ちなみに、スロット2に『ツインビー』のROMカートリッジを挿入してゲームを始めると、自機がツインビーになるという仕掛けが用意されています。

こちらが、MSX版オリジナルの骨ステージ。前半は、動物の上半身のような骨が地面から現れて攻撃を仕掛けてきます。後半は爪状の骨が飛び交う中、巧みにかわして先へと進まなければなりません。

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