ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ボクらのマリオ!ハドソンソフトの『マリオブラザーズスペシャル』

絵柄はファミリーコンピュータ版『マリオブラザーズ』のパッケージとほぼ同じですが、背景に放射線状の模様が入ったことと縦長のレイアウトに合わせてトリミングされているのが異なる部分です。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1984年にハドソンソフトから発売されたタイトル『マリオブラザーズスペシャル』を取り上げました。

 ゲームセンターで『マリオブラザーズ』が稼働すると、その面白さを家庭でも味わいたいという要望が自然と出てきます。以前に紹介したPC-8001用『マリオブラザーズ』は、そんなニーズを汲み取り発売されたタイトルですが、ハドソンソフトは違う方向からアプローチした作品を世に送り出しました。そのうちの1本が、今回取り上げた『マリオブラザーズスペシャル』です。

「任天堂とハドソンが手をくんだ!」とキャッチコピーで謳われていた広告です。右側の広告は初期の頃のもので、“ベルトコンベアー マリオ”ステージの画面写真が製品版とは異なるのが分かります。また、左側の商品発売後広告には、任天堂の許諾も入っています。日本の任天堂ではなく、(C)1983 Nintendo of America Inc.となっていました。

 主人公や登場する敵キャラなどはアーケード版とほぼ同じで、ファイアボールも出現します。大きく異なるのは、その基本のシステムでした。アーケード版は床を下から叩き、その上に乗った敵キャラをひっくり返して蹴飛ばせば倒せるルールでしたが、本作では主にトランポリンやベルトコンベアを“ボヨン”と弾ませて、その反動で相手をひっくり返し、画面外に蹴り飛ばせば倒したことになります。ちなみに、このように変更した理由を今から5年ほど前に製作者の元ハドソンソフト・中本氏に聞いたところ「床を凹ませるプログラムが大変だったから、あのようなシステムにした」と答えてくれました。

 アーケード版では2回叩かないとひっくり返らない敵もいましたが、『マリオブラザーズスペシャル』ではどんな敵でも一度弾ませるだけでひっくり返すことが可能となっています。そのため、オリジナル版と比べると難易度はかなり低いですが、その分随所に工夫がなされていました。大きく変わっているのはステージレイアウトで、4種類が設定されています。

 PHASE 4n+1は“スライディング マリオ”と名付けられていて、最上段にあるスイッチに2回ジャンプで接触するとオンになるスイッチを、5つ全て点灯させて左右の出口より出るとクリアです。ここではトランポリンやベルトコンベアーのように跳ねる床がないので、敵をひっくり返させることは出来ません。代わりに、上を飛び越すことで一時的にフィールドから消滅させられるので、その方法を使います。床は常に移動していて穴も開くので、そこにも注意しなければなりません。

PHASE 4n+1は“スライディング マリオ”ステージです。最上段にある各スイッチに2回ジャンプで触れて、すべての電源をオンにして出口に移動すればクリアです。敵は、頭上を飛び越すことでステージから消すことが出来ますが、一定時間が経過すると再び土管から出現します。

 PHASE 4n+2は“トランポリン マリオ”ステージ。すべての床がトランポリンになっているため、ジャンプで乗ると床がポヨンポヨンと跳ねます。その反動を利用して敵をひっくり返し蹴飛ばして全滅させ、最上段に現れた床に乗ればクリアです。慣れないと難しく感じるかもしれませんが、実は一番簡単かもしれません。

PHASE 4n+2は“トランポリン マリオ”ステージとなっています。飛び跳ねるトランポリン状の床を利用して敵をひっくり返して蹴飛ばし、全滅後に最上段に出現する指輪に触ればクリアとなります。

 PHASE 4n+3は“ベルトコンベアー マリオ”ステージとなります。ステージ中段に現れる“$”マークをすべて回収してから、最上段に現れた指輪に触れればクリアです。ステージ中央下段の床は上下に、ステージ上部の床は左右に、それぞれ移動しています。これを上手に利用すれば、クリアするのは難しくないでしょう。

PHASE 4n+3は“ベルトコンベアー マリオ”ステージで、画面中央から下にはベルトコンベアーが、下段中央には上下に移動する床エレベータがあります。これらを利用して画面中央上部に出現する“$”を全部回収し、最上段の指輪に触ればクリアです。ベルトコンベアーとエレベータの使い方が、クリアの鍵を握っています。

 PHASE 4n+4はボーナスステージで、タイムアウトまでに回収できたコインの数でボーナス得点が決まります。すべて回収出来ればさらなる高得点が入るのですが、時間は意外に余裕あるので焦らず確実に取っていくことがコツです。

PHASE 4n+4はボーナスステージ。時間内に回収できたコインの数だけボーナスがゲット出来ます。パーフェクトなら高得点! このステージが終わると、再びスライディング マリオステージへと戻ります。

 ステージ開始時に流れるBGMやキャラクターの動きなどは非常に良く出来ていて、オリジナル版とシステムが違っていても非常に楽しく遊べました。ただし難易度が低いためか、ある程度の腕があれば何十面でもプレイ出来てしまうので、コツを憶えると飽きてしまうというのが惜しい部分です。そんなときは友人との二人同時プレイを試せば、助け合ったりハメたり(!)と、新たな面白さが見えてくるというものです。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧