パワレポ連動企画

ビデオカードの選び方

[最新版、PC自作の基礎知識](4)

DOS/V POWER REPORT 5月号

 自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新特集「最新PC自作の基礎知識」をまるごと掲載する当企画の4回目は、ビデオカードの選び方。

 PCらしい高品質グラフィックのゲームをプレイするため、あるいはマルチディスプレイや4Kディスプレイを使うために使われるビデオカードの選択ポイントやオススメ製品を紹介中だ。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 5月号は既に発売中。50ページにも及ぶ当特集のほか、様々なパーツの詳細レビューや徹底分析、そして「改造バカ一台」などの爆笑記事も掲載している。


- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition -


ビデオカードの選び方

【何のためのパーツ?】

・ディスプレイに映像を出力する
・ゲームなどでCPU内蔵GPUよりも高い3D性能が欲しいときに使う
・マルチディスプレイ環境の構築にも有用

ポイント1GPUの力関係と価格帯を知る

 ビデオカードの性能は基本的に搭載GPUのランクで決まる。GPUの2大ブランド「GeForce」と「Radeon」の布陣は、右の図のとおり。図中での高さが近いものは性能、価格も近いと考えてよい。

 GPUのランクによってどんなゲームを遊べるのかも変わってくる。たとえば「バトルフィールド 4」のような重いゲームをフルHD解像度で快適に遊ぶ(平均フレームレート60fps前後を維持)なら、ハイエンドGPUが必要だ。しかし描画が軽い「コール オブ デューティ ゴースト」であれば、ミドルレンジでも十分。無論ミドルレンジGPUでも画質や解像度を落とせば「バトルフィールド 4」を快適に遊べるため、この指標はあくまで目安だ。なお、ローエンドクラスのGPUはグッと性能が落ちるため、上記のゲームを遊ぶには厳しい。

【自作PCならではの最新フィーチャー】

 GeForceとRadeonはそれぞれアーキテクチャの違い以外に、独自機能にも違いがある。GeForceはゲームプレイを録画する「ShadowPlay」がおもしろい。これまでは別途キャプチャ用機材やソフトウェアが必要だったが、ShadowPlayならお金をかけずに高品質録画ができる。

 一方、Radeonは専用API「Mantle」によるゲームの描画性能向上が興味深い。残念ながら現時点での対応ゲームは「バトルフィールド 4」と「Thief」の2本のみだが、今後に期待がかかるダークホース的な魅力を放っている。

【ゲームプレイの配信に便利な録画機能】
GeForce 600番台のミドルレンジGPU以上で利用できる録画機能「ShadowPlay」。録画中でもほとんどシステムに負担がかからないのがメリット
【まだまだ未知数のMantle】
DirectXより描画負荷が軽いというMantle。GPUのグレードを1ランク上げたような効果が得られるとうたう。しかし対応ゲームはまだ少ない

【ゲームではビデオメモリが多いほうがよい?】

 一般的に画質や解像度の設定を上げるほどビデオメモリの消費量が増える。そこでGeForce GTX 760搭載カードの4GB版と2GB版を用意し、フレームレートを比較してみた。フルHD(1,920×1,080ドット)では、ビデオメモリは2GB程度しか使わないためほとんど同じ性能を示したが、4K(3,840×2,160ドット)では4GB版のほうが高いフレームレートを示した。ビデオメモリ搭載量の効果を実感するには、解像度を極限まで上げるとか、ゲームの高画質化Modを山ほど入れるような、ややマニアックな領域に踏み込む必要がある。

ポイント2画面出力インターフェースの対応解像度

DVIが2基にHDMIとDisplayPortそれぞれ1基というのが定番構成だが、低価格カードではHDMIが2基でDisplayPortなしといった変則的なものも
各コネクタの対応解像度。話題の4Kディスプレイを、リフレッシュレート60Hzで使えるのは現状DisplayPortだけだ

 現在のビデオカードの主な画面出力端子は「DisplayPort」、「HDMI」、「DVI」の3種類だが、出力できる解像度は下表のように微妙に異なる。注目の4Kで出力する場合、DisplayPortが必須なのである。HDMIは1.4a規格であれば4K出力可能だが、リフレッシュレートが30Hzまでなので表示時のカクつきが激しい。ミドルレンジクラス以下のカードではDisplayPortがないモデルもあるので気に留めておこう。

ポイント3PCI Express電源コネクタ

【ミドルレンジカードでも電源不要モデルはある】GeForceGTX 750TiはミドルレンジクラスのGPUながら、補助電源なしの製品がある。小型PCケースと相性がよいGPUだ

 ミドルレンジクラスのビデオカードのほとんどは、6ピンまたは8ピンのPCI Express電源コネクタからの電力供給が必要だ。電源ユニットの出力が小さいと、8ピンが一つだけしかないなんてこともある。ビデオカードと電源ユニット、必ず合わせて必要となるPCIExpress電源を確認しておきたい。

【自作PCならではの最新フィーチャー】

 現行ビデオカードの仕様はメーカーや製品ごとに微妙に違うことが多い。違いが分かりやすいのは、NVIDIAやAMDが定めた仕様どおりに設計した「リファレンスモデル」と、それをもとにビデオカードメーカーが設計をアレンジした「独自設計モデル」だろう。

 独自設計モデルのカードを選ぶメリットは、リファレンスモデルよりGPUやメモリのクロックが高く設定されたOCモデルであることが第一(冷却だけ強化した製品もある)。リファレンスモデルに対する性能差は数%程度と上位ランクのGPUと比較したときのような大差は付かないが、少しでも性能が欲しい場合には見逃せない。

 さらに、独自設計モデルはGPUクーラーも強化されている。OCで発熱量が増えても、強力な独自クーラーにより、リファレンスモデル以上に冷え、それでいて静かという製品もめずらしくない。とくにGeForce系GPUの場合、温度が上がり過ぎるとGPUの自動OC機能「GPU Boost」が働かなくなるので冷却は重要だ(下のグラフを参照)。

 さらに製品によってはリファレンスモデルよりも全長が短い(背が低い)、といった小型PCケースに向いたモデルや、耐久性を重視するといった一風変わった要素を備えたものもある。リファレンスモデルは安価で手に取りやすいというメリットがあるが、トータルで見た場合、独自設計モデルのほうが満足度で上回ることのほうが多いだろう。また、同じGPUを採用する独自設計モデル同士でも仕様が異なる点に気を付けたい。

テーマ別ビデオカード例

驚異的な冷却力と静音性に定評あり
Micro-Star International N760GTX Twin Frozr 4S OC(実売価格:30,000円前後)

コアクロック( ブーストクロック):1.02GHz(1.085GHz)●メモリクロック:6.008GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1

・GeForce GTX 760
・ GDDR5 2GB
・ 8ピン×1、6ピン×1

人気のGTX 760に“静かで冷える”ことで知られるMSI独自設計のクーラー「Twin Frozr 4S」を組み合わせた鉄板モデル。連続した高負荷状態でも安定して高クロックを維持できる設計が高く評価されている。静音ゲーミングPCを組む際には、まずこのカードを検討すべきだ。

クーラーと高信頼性基板が魅力
GIGA-BYTE TECHNOLOGY GV-R927OC-2GD(実売価格:21,000円前後)

コアクロック(ブーストクロック):950MHz(975MHz)●メモリクロック:5.6GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1

・Radeon R9 270
・GDDR5 2GB
・6ピン×2

現行のリファレンス仕様のRadeon系カードは負荷をかけるとファンが轟音を発するため、非常に使いにくい。そこで独自設計の大型クーラーで快適さを追求したのがこの製品。銅板入りの基板など、GIGA-BYTEマザーではおなじみの耐久性重視の設計も盛り込まれている。

Mini-ITX自作にうれしい短い基板
エルザ ジャパン GeForce GTX 750 Ti 2GB S.A.C(実売価格:22,000円前後)

コアクロック(ブーストクロック):1.04GHz(非公開)●メモリクロック:5.4GHz●インターフェース:Mini HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1

・GeForce GTX 750 Ti
・GDDR5 2GB

全長145mmの基板に、PCI Express補助電源不要で動くと話題のミドルレンジGPU「GeForce GTX 750Ti」を搭載。基板は小さいがビデオメモリが2GBと多めで、さらに若干OCされているのもうれしい。同社自慢の高性能クーラー「S.A.C」を搭載し、高負荷状態でも静か。

コストパフォーマンス重視ならコレだ
玄人志向 RD-R7-260X-E2GB(実売価格:15,000円前後)

コアクロック(ブーストクロック):1.160GHz(非公開)●メモリクロック:6.6GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1

・Radeon R7 260X
・GDDR5 2GB
・6ピン×1

安価なRadeon R7系の中でも性能と価格のバランスが良好な「Radeon R7 260X」のOCモデル。オーディオ用DSPを搭載し、CPUに代わり音響効果をGPUで処理するという「TrueAudio」にも対応する。もちろん、Mantleもサポートしている。


- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition 目次-

1回目:PC自作はいつだって楽しい! ~改造バカ、かく語りき~
2回目:理想のマシンを自分で作ろう ~自作PC作例集6選~
3回目:CPUの選び方、マザーボードの選び方
4回目:ビデオカードの選び方
5回目:ストレージの選び方、メモリの選び方
6回目:PCケースの選び方
7回目:電源ユニットの選び方、CPUクーラーの選び方
8回目:パーツ選びが終わったら、ここを確認!
9回目:PC組み立て徹底解説、パーツ取り付けからインストールまで ~10万円のパーツで組んでみた~
10回目:小型PCを自作する場合の注意点
11回目:トラブル発生時の原因特定方法


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(AKIBA PC Hotline!編集部)