パワレポ連動企画

SSD使いこなし術 ~専用ユーティリティソフト編~

【SSDの買い方指南(7)】

DOS/V POWER REPORT 10月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌10月号の特集記事「損しないSSDの買い方」をほぼまるごと掲載する。

 第七回目の今回は、SSDメーカーから提供されている専用ユーティリティソフトを紹介する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 10月号は絶賛発売中。10月号では今回の特集のほか、売れ筋電源12モデルを比較・検証する「電源オールスターバトル」や、ドライブベイ用お役立ちアイテム 20選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、最新&定番のビデオカードを掲載した「最新&定番ビデオカード 140」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年10月号 Special Edition -


メンテらくらく、DRAMキャッシュで爆速化!
SSD専用ユーティリティをあなどるな!

 多くのSSDメーカーは、便利な機能を備えたユーティリティを配布している。これらのデキは運用時のメンテナンス性や使い勝手を大きく左右する。SSD選びの際は、ぜひユーティリティにも注目してもらいたい。

メンテナンス機能だけでなく高速化など独自の付加価値を提供

【ユーティリティは無料でダウンロードできる】
ユーティリティは各社のWebサイトから無料でダウンロードできる。CDなどが製品に付属する場合も、Webで最新版をダウンロードして利用したほうがよいだろう。基本的に自社製SSDのみが対象で、他社製SSDでは使えないことが多い(写真はIntelのツール)

 SSDを快適に使うには、メンテナンスが重要だ。コントローラのファームウェアは不具合の解消や性能向上のためにしばしば更新されるし、NAND型フラッシュメモリの特性上、性能を保つのにTrimは必須、時にはSecure Eraseでデータを完全消去し、性能を初期状態へ戻すことが必要な場合もあるだろう。各メーカーはそれらの作業をWindows上から簡単にできるように、専用ユーティリティを用意している。

 下の表に各社のユーティリティの機能をまとめたが、機能はそれぞれ差がある。なお、「TxBENCH」はテクシムが無料配布しているベンチマークプログラムだが、さまざまな機能を備えているので、各社のユーティリティをフォローする汎用ツールとして加えている。とくに、USB接続のSSDに対してもSecure Eraseができるのは便利だ。SSDに不要データの通知を行なうTrimコマンドについては、Windows 8以降ならドライブのプロパティからいつでも送信できるが、Windows 7以前ではユーザーが任意のタイミングで送信することはできない。Windows 7以前の環境ならあったほうが便利だが、これもTxBENCHでフォローできる。

各社のSSD専用ユーティリティ機能のまとめ

 OS最適化というのは、スーパーフェッチやインデックス作成などSSDには不要な機能を無効にしたり、仮想メモリの容量を適切に調整したりする内容で、これらを自分で設定できる上級者以外にはありがたい。このほか、データ移行に便利なクローン機能、予備領域を増やすオーバープロビジョニングや、キャッシュを活用した高速化機能など、独自に付加価値を持たせた製品もある。

【専用ユーティリティのあるSSDを選ぶとおトク!】

1.SSDの情報やステータスがすぐに分かる
2.Trim実行、ファームウェア更新などメンテナンス作業が楽にできる
3.高速化機能やデータ移行に便利なクローン機能を備えるものも

専用ユーティリティソフト紹介

Intel Solid-State Drive Toolbox
必要十分な機能をコンパクトに提供

【主な機能】

Trim送信機能・Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断・OS最適化
ダウンロード先https://downloadcenter.intel.com/Detail_Desc.aspx?DwnldID=18455

 Intelは早くからユーティリティを提供しており、その機能と利便性には定評がある。グラフィックスを効果的に使ったシンプルなインターフェースも使いやすく、左に並ぶタブで機能を切り換えて操作する。ファームウェア更新、Secure Eraseのほか、Trimコマンドを任意送信できる「SSD Optimizer」、エラー診断を行なう「診断スキャン」、OS設定をSSD向けに最適化する「System Tuner」といった機能がある。また、別途SSDクローンツール「Intel Data Migration Software」も無料配布しており、古いSSD/HDDからのデータ移行も簡単に行なえる。

Solid-State Drive Toolboxのホーム画面
Trimコマンドの送信「SSD Optimizer」やデータ消去機能「Secure Erase」、OS設定を最適化できる「System Tuner」、データエラーをチェックする「診断用クイックスキャン」などの機能が利用できる

Samsung Electronics Magician
高速化、予備領域拡張など機能満載の多機能ツール

【主な機能】

Trim送信機能・Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断・OS最適化・高速化
ダウンロード先http://www.samsung.com/global/business/semiconductor/minisite/SSD/jp/html/support/downloads.html

 各メーカーが配布している専用ユーティリティの中でもっとも多機能なのが、Samsung Electronicsの「Magician」だ。ファームウェア更新やTrimコマンド送信などのメンテナンス機能はもちろん、予備領域を拡張するオーバープロビジョニング、メインメモリをキャッシュとして活用する高速化など、独自機能を備える。また、OS最適化機能も、性能、容量、信頼性と目的別に三つのプリセットを用意するなど踏み込んだ内容だ。なお、これとは別に、データ移行に特化したクローンツール「Samsung Data Migration」も無料配布している。

Magicianのホーム画面
予備領域を拡張する「オーバープロビジョニング」やストレージ高速化機能「RAPIDモード」、暗号化機能、目的別にOS設定を最適化できる機能などが利用できる

メモリバッファで高速化する「RAPID」

「RAPID」モードは、メインメモリの一部をバッファとして利用することで、システム性能を向上させる機能だ。利用頻度の高いデータをメモリに先読みするほか、ライトキューを最大までためるなど、SSDの構造に最適化したアルゴリズムになっていると言う。CrystalDiskMarkのスコアは下記のとおり。これはキャッシュ効果が最大化された結果であり理想値と見るべきだろうが、合理的な仕組からして体感できる場面も少なくないだろう。

RAPIDモードを利用した結果、速度が向上

ADATA Technology SSD ToolBox
カラフルな色使いがクール

【主な機能】

Trim送信機能・Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断・OS最適化
ダウンロード先http://jp.adata.com/index.php?action=ss_main&page=ss_software_6

 ADATAらしいカラフルな画面が印象的。機能的にはIntelのツールとほぼ同等で、エラー診断機能なども備えている。OS最適化機能は「基本」と「高度」と2種類の設定が選べる。

SSD ToolBoxのホーム画面

OCZ Storage Solutions OCZ Toolbox
メンテナンス機能に特化

【主な機能】

Trim送信機能・Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断
ダウンロード先http://ocz.com/consumer/download/firmware

 シンプルなデザインで他社に比べるとやや素っ気ない印象があるが、ファームウェア更新、SecureErase、Trimコマンド送信など、最低限必要なメンテナンス関連の機能はしっかり装備している。

OCZ Toolboxのホーム画面

Philips & Lite-On Digital Solutions Plextool
メモリキャッシュでM6 Proをブースト

【主な機能】

Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断・高速化
ダウンロード先http://www.goplextor.com/jp/index.php/download?task=viewcategory&catid=175

 ドライブ情報、ファームウェア更新、Secure Eraseなど、一通りの機能を備えている。対象が最新モデルのM6 Proシリーズに限られるが、高速化や長寿命化機能も搭載している。

Plextoolのホーム画面

SanDisk SSD Dashboard
洗練された画面デザイン

【主な機能】

Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断
ダウンロード先http://kb-jp.sandisk.com/app/answers/detail/a_id/10251/

 SanDiskらしい上品なデザインが印象的。SSDの使用状況をリアルタイムで監視するパフォーマンスモニタ機能を持つが、他社に比べると機能は少ない。なお、表示はすべて英語だ。

Dashboardのホーム画面

Transcend Information SSD Scope
データ移行に便利なクローン機能を搭載

【主な機能】

Secure Erase・ファームウェア更新・寿命診断・OS最適化
ダウンロード先http://jp.transcend-info.com/Support/Software-10/

 各種メンテナンス機能に加え、データ移行に便利なドライブクローン機能も搭載している。使い方を豊富な画面でていねいに解説した日本語マニュアルが用意されているのも好印象だ。

SSD Scopeのホーム画面

テクシム TxBENCH
便利な汎用多機能ツール

【主な機能】

Trim送信機能・Secure Erase・寿命診断
ダウンロード先http://www.texim.jp/download.html

 本来はベンチマークプログラムだが、SSDの詳細な情報表示機能やS.M.A.R.T.診断機能に加え、Trimコマンド送信、Secure Eraseなど、運用に便利な機能を多数備えている。

SSD TxBENCHのホーム画面

[Text by 鈴木雅暢]



DOS/V POWER REPORT 10月号は8月29日(金)発売】

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★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「最新&定番ビデオカード 140」付き

★ 電子版は割安な税別926円
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(AKIBA PC Hotline!編集部)