パワレポ連動企画

PCパーツ100選 2015(2)

~マザーボード部門~

DOS/V POWER REPORT 2015年2月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌2015年2月号の特集記事「PCパーツ100選 2015」をほぼまるごと掲載する。

 特集記事では、2014年を代表するPCパーツを集め、「CPU」、「マザーボード」、「ビデオカード」、「ストレージ」、「PCケース」、「電源」、「CPUクーラー」、「そのほか」の8ジャンルの主要製品をランク付けし解説する。

 第2回目の今回は「マザーボード」編。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年2月号は、絶賛発売中。2月号では今回の特集のほか、USB/LAN/クラウドを活用したファイルバックアップ術や、スマートフォンやタブレットの充電に便利なUSB電源タップ 28製品の紹介、髙橋敏也氏による改造バカ一代など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 PC自作スタートブック 2015」と「PC自作手帳 2015」が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2015年2月号 Special Edition -
辛口格付け&怒濤のレビューで最高のCPUパーツが全て分かる PCパーツ100選 2015


新テクノロジの登場で久々に大きな変化が!
-マザーボード部門-

 マザーボードのこの1年のトピックは、高速ストレージインターフェースのM.2やSATA Express、高速メモリのDDR4などの新テクノロジをサポートする製品が登場したことだ。製品の傾向としては、スタンダードなものが減り、ゲーミングモデルや省電力モデルなどのなんらかの機能に特化したものが増えたことが挙げられる。

Z97、H97チップセットとX99チップセットが登場

2014年の主な出来事

 2014年のマザーボード関連の大きな動きとしては、Haswell Refreshの発売に合わせて5月にZ97チップセットとH97チップセットを搭載した製品が登場したことと、9月にHaswell-Eの発売に合わせてX99チップセット搭載マザーボードが登場したことが挙げられる。

 Z97、H97チップセットは、新たにPCI Express接続のストレージをサポートし、これを利用した高速ストレージインターフェース「M.2」を使えることがトピックであった。Z97、H97チップセット搭載マザーボードでは、もう一つのPCI Express接続ストレージインターフェースである「SATA Express」をサポートする製品も数多く登場し、高速ストレージ環境の土台は整った。また、Z97、H97チップセットは、PCI Express接続ストレージをサポートした以外、機能的には前世代のものと大差ないため、マザーボードメーカー各社とも旧世代製品との差別化を図って、UEFIやユーティリティの使い勝手を向上させているなど、従来製品よりも完成度が高い傾向にある。

 X99チップセットは、前世代のX79チップセットと比べると、USB 3.0に対応し、Serial ATA 3.0ポートのサポート数が増えるなどチップセット自体の機能も進化したものの、搭載マザーボードのトピックは、やはりDDR4メモリに対応している点であろう。Haswell-Eは、サポートするPCI Express 3.0のレーン数が多いため、PCI Express 3.0 x4接続(最大32Gbps)の高速M.2スロットを搭載する製品も多く、まさに新世代と呼ぶにふさわしい仕様の製品が多く揃っている。

[Text by 滝 伸次]

【注目すべきポイントはココだ!】

・高速ストレージインターフェースの登場

今年最大のトピックと言えば、PCI Express接続の高速インターフェースであるM.2とSATA Expressが登場したことだ。SATA Expressの最大転送速度は10Gbps(PCI Express 2.0 x2接続)だが、M.2は接続先によってその最大転送速度が変わる。Z97/H97マザーボードではPCI Expressのレーン数の関係からPCI Express 2.0 x2接続(最大10Gbps)が主流であり、PCI Express 3.0のレーン数に余裕のあるHaswell-E対応のX99マザーボードではPCI Express 3.0 x4接続(最大32Gbps)が主流だ。

M.2
SATA Express
M.2は、マザーボードによって最大転送速度、使用できるデバイスの種類やサイズが変わってくるので注意が必要だ
SATA ExpressはSerial ATA 3.0ポートと互換性があり、2基のSerial ATA 3.0ポートとしても使用することができる

・機能特化型モデルの台頭

ここ最近の傾向としては、ミドルレンジの製品でもサウンドやLANを強化したゲーミングモデルや省電力機能をウリにしたエコモデルなど機能特化型モデルが増えてきていることが挙げられる。

ゲーミングモデル
エコモデル
現在ではH97やB85などのチップセットを搭載したゲーミングマザーが多く揃う
性能を落とさずに省電力化できるエコマザーが登場している

PCパーツ100選 2015 マザーボード部門 製品解説

ASRock Z97 Extreme6(実売価格:24,000円前後)
【LGA1150マザーでは数少ない高速M.2スロット搭載モデル】

用途を選ばない万能型モデル
LGA1150 Intel Z97 ATX
※ 初出時、掲載画像に誤りがございました。お詫びして訂正致します。
I/Oパネル部
※ 初出時、掲載画像に誤りがございました。お詫びして訂正致します。

 各社のスタンダードシリーズのZ97搭載ATXマザーボードの中で、もっとも費用対効果が高いのがこのZ97 Extreme6だ。実売価格が2万4,000円前後と比較的低価格ながら最高クラスの機能を搭載している。

 とくに、CPU側のPCI Express 3.0に直結することで最大32Gbpsの転送レートを実現したUltraM.2スロットは、現状、ほかのZ97搭載ATXマザーボードにはない機能で、本機の価値をひときわ高めている。高速ストレージインターフェースは、Ultra M.2以外にも、10GbpsのM.2、SATA Expressをサポート。Serial ATA 3.0やUSB 3.0などのインターフェースも充実している。

 Premium Alloy Choke、NexFET Power MOSFETなどの高性能部品を採用した12フェーズ構成のデジタル電源回路を採用するなど、高品質仕様であることも本機の魅力。全体的にまさに隙がないと言うにふさわしい万能型の1枚だ。

【DOS/V POWER REPORT編集長のひとこと】

・“変態ではない”王道を狙った独自機能

ASRockは、“変態”と呼ばれるほどマニアックなアプローチが多いことが特徴でした。しかし、Ultra M.2は今後も高速化が続くであろうSSD市場の流れを的確にとらえており、すべての人に刺さる非常に魅力的な機能と言えます。マザーボードの差別化点が分かりづらくなっている昨今、これだけで買いたくなる明確なメリットを生み出すことに成功しています。

最大32Gbpsの高速M.2スロットを装備

Ultra M.2スロット
接続先が違うだけでスロット形状は一般的なSocket 3が採用されている

CPUのPCI Express 3.0インターフェースにx4接続することで最大32Gbpsの転送が可能なUltra M.2スロットを搭載することが本機の最大の特徴。下のテスト結果のとおり、x4接続のSSDを使用した場合は、PCI Express 2.0 x2接続のM.2スロット搭載時と比べ、リード、ライト性能ともに大きく向上する。

CrystalDiskMark 3.0.3の結果
多くのLGA1150マザーボードに搭載されているM.2スロットはチップセットのPCI Express 2.0インターフェースにx2接続されているが、Ultra M.2スロットはCPUのPCIExpress 3.0インターフェースにx4接続されている

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron、Xeon●メモリスロット:PC3-25600 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×2(x16/-、x8/x8で動作)、PCI-E 2.0 x2(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×2、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 3.0 x4接続)×1、M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×8、eSATA(SATA 3.0)×1、USB 3.0×10、USB 2.0×5● LAN:1000BASE-T×2

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-4590(3.3GHz)、マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)、メモリ:Micron Technology Crucial Ballistix Tactical LP BLT2K8G3D1608ET3LX0(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)、SSD:Samsung XP941 MZHPU512HCGL(M.2/PCI Express 3.0 x4接続、MLC、512GB)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版

ASUSTeK Computer Z97I-PLUS(実売価格:18,000円前後)
【完成度の高いMini-ITXマザーボード】

使い勝手も機能も文句なし
LGA1150 Intel Z97 Mini-ITX
I/Oパネル部

 本機の魅力は、Mini-ITXマザーボードとして完成度が高い点にある。

 まず注目したいのがレイアウトだ。CPUソケットを中央に配置することで大型のCPUクーラーの搭載を可能にしており、電源コネクタなどもケーブルの取り回しを十分に考慮した配置である。Mini-ITXマザーボードでは、このレイアウトが使い勝手のよしあしに大きく影響をおよぼすので、この点がまず本機の大きな魅力だ。
 最新高速ストレージインターフェースのM.2や高速無線LAN(IEEE802.11ac)に対応するなど機能が充実している点も見逃せない。とくにMini-ITXマザーボードでM.2に対応する製品は少ないので、M.2 SSDを使いたい人は要注目と言える。

 品質面ももちろん心配ない。オーバークロックをも考慮して6フェーズ構成のデジタル電源回路を搭載。ATXモデル同様、安定性、耐久性を確保する独自の5X Protection機能も搭載されている。

【DOS/V POWER REPORT編集長のひとこと】

・普通じゃないスタンダードモデル

2015年1月号で掲載した、マザーボード座談会に参加した志向の異なる3名の執筆者が、この製品を購入しました。Z97世代で各社のMini-ITマザーボードが一気に完成度を上げてきた中で、この結果です。一見「普通のMini-ITXマザー」ですが、ほかと比較するほどによく考えられたものであることが分かります。ASUSTeKの仕様決めのセンスと実装技術が光る1枚と言えます。

主な特徴
最大10GbpsのM.2をサポート
実装面積の小ささから、M.2スロット(Socket 3、Type 2260/2280)は裏面に搭載する。PCI Express 2.0 x2接続で最大10Gbpsの転送に対応、SATA3.0接続のM.2 SSDも使用することができる
VRMはデジタル6フェーズ構成
VRMはASUSTeKマザーではおなじみのDIGI+EPUチップを採用したデジタル制御の6フェーズ構成。しっかりとしたヒートシンクが装備されており、冷却対策も万全だ
高速無線LANとBluetoothをサポート
無線LAN(IEEE802.11a/ac/b/g/n)とBluetooth v4.0に対応するカードを搭載。アンテナケーブルはバックパネルに固定することができる

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-25600 DDR3 SDRAM×2(最大16GB)●ディスプレイ:DisplayPort ×1、HDMI ×1、DVI-D ×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCIE 2.0 x2接続)×1、SATA 3.0×4、USB 3.0×6、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1、IEEE 802.11a/ac/b/g/n● そのほか:Bluetooth v4.0

ASUSTeK Computer RAMPAGE V EXTREME(実売価格:60,000円前後)
【OC耐性抜群のROGシリーズ最上位モデル】

最上位モデルにふさわしい仕上がり
LGA2011-v3 Intel X99 ExtendedATX
I/Oパネル部

 本機は、ASUSTeKのオーバークロッカー/ゲーマー向けブランドであるROGシリーズの最上位モデルだ。何代も改良を重ねてきた高い性能と安定性を誇るハードウェアは、記録を競い合うオーバークロッカーから高い信頼を得ている。

 オーバークロック向けの機能ももちろん充実、OC設定などを手元で行なえる「OC Panel」が付属するなどROGならではの機能を多数備える。注目は、OC性能を向上させるという独自のCPUソケット「OC Socket」だ。ASUSTeKによると、通常のLGA2011-v3ソケットよりもピン数が多くなっており、より高い電圧を正確に安定して供給できるなど、電源まわりが強化されていると言う。このOC SocketはASUSTeKのすべてのX99マザーボードに搭載されているが、その真価を発揮できるのはやはりROGシリーズの本機であろう。

【選定理由】

・妥協のないハードウェア構成
・OC性能が向上するOC Socketを装備

専用設計の高性能電源回路を搭載
OCに役立つギミックを満載
OCを前提に設計された高性能電源回路を搭載するのが本機最大の特徴。部品にもPowIRstageなどの選び抜かれた高性能品が採用されている
過度のOCでPCが起動不能になった場合にUEFIの設定を自動で戻してPCを再起動できるSafeボタンなど、OCに役立つ機能を満載している

多機能OC Panelが付属

本機には、リモートで各種OC設定やハードウェアモニタリングを行なえる外付けコントローラ「OC Panel」が付属している。OC Panelのすごいところは、Slowモード、Subzero Sense、VGA Hotwireなど高度な機能も備えており、まさにオーバークロッカーのためのツールに仕上げられている点だ。

設定を確認しやすい
2.6型ディスプレイを装備
5インチベイに収納することも可能
各種設定時に数値が確認しやすい2.6型ディスプレイを装備。CPUのベースクロック、倍率、温度やファンの回転数などをリアルタイムに表示させることもできる
5インチベイマウンタが付属しており、PCケース内に収納することもできる

【Specification】

対応CPU:Core i7●メモリスロット:PC4-26400 DDR4 SDRAM×8(最大64GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCIE 3.0 x16×4※(x16/x16/- /-、x16/x8/x8/x8などで動作)、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 3.0 x4接続)×1、SATA Express ×2、SATA 3.0×8、USB 3.0×14、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1、IEEE 802.11a/ac/b/g/n● そのほか:Bluetooth v4.0

GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-Z97X-UD3H-BK(rev. 1.0)(実売価格:19,000円前後)
【168時間の耐久テストをクリアした長期保証モデル】

長きにわたって付き合える1枚
LGA1150 Intel Z97 ATX
I/Oパネル部

 GIGA-BYTEは現在、出荷前に168時間の耐久テストを行ない、そのテストをクリアした製品のみが出荷されるというBLACK EDITIONモデルをZ97マザーで3機種発売しており、本機もその一つ。製品名末尾の「BK」がBLACK EDITIONであることを示している。

 耐久テストをクリアして出荷された製品ゆえ、きわめて初期不良率が低い点が特徴だ。また、BKの付かない通常モデルが1年保証のところ、本機は5年保証されている。通常モデルと比べると3,000円ほど価格は高いが、多少高価でもトラブルの可能性をできるだけ排除したいという人などにとっては何物にも代え難い魅力と言ってよいだろう。

 ボード自体は、ハデなオーバークロック向け機能などはないが、GIGA-BYTEならではの堅実な作りで安心して長期間使用できそうだ。

【選定理由】

・長期保証と品質が魅力
・品質、機能、価格のバランスがよい

証明書が付属
BLACK EDITIONモデルには、168時間の耐久テストをクリアしたことを証明する、製造部門責任者のサインが入った証明書が付属する
最新高速ストレージにも対応
M.2とSATA Expressの両方をサポートする。ただし、PCI Expressのレーンを共有しており、両者を同時に使用することはできない
他社製高耐久モデルと比較
ASUSTeKのSABERTOOTH Z97 MARK 1は高級な高性能部品を採用しており、冷却や防塵機能を持つThermal Armor with Flow Valveを搭載するなどハイエンド装備となっているのが特徴。そのため、価格は本機より9,000円ほど高い。しかし、表のとおり基本的な機能にはあまり差はない。初期不良がほぼなく、保証も長いことが重要という人には本機はお買い得と言える

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-24800 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×2(x16/-、x8/x8で動作)、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×3、PCI ×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2接続)×1、SATA Express ×1、SATA 3.0×4、USB 3.0×6、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×1

ASUSTeK Computer MAXIMUS VI GENE(実売価格:28,000円前後)
【microATXでハイエンドを実現できる鉄板モデル】

ハードウェア、付属ユーティリティとも充実
LGA1150 Intel Z97 microATX
I/Oパネル部

 microATXでハイエンドマシンを作成したい人に高い評価を得ているROGのGENEシリーズ。Z97チップセット搭載モデルである本機もその評価を損なわない出来だ。

 電源回路はATXモデルと同様の8フェーズ構成で、通電電流60Aのチョークコイルなど、部品も高性能なものが採用されている。マルチGPUへの対応も万全、PCI Express 3.0 x16スロットを2本装備しており、x8/x8のSLIおよびCrossFireXに対応する。

 拡張機能も充実しており、最新高速ストレージインターフェースのM.2も搭載する。通常のキーボードをマクロ機能付きゲーマー向けキーボードのように使える「KeyBot」やさまざまな音源エフェクトに対応する「Sonic Studio」など独自のユーティリティも充実。ハードだけでなくソフト面の充実も魅力を高めている。

【選定理由】

・常用OCもできる高耐久設計
・独自機能、付加機能が充実している

ROGシリーズならではの
高性能電源回路
こだわりのサウンド機能は
ドーターカードで提供
安定性、耐久性に優れる専用設計の電源回路を搭載していることがROGシリーズマザーボードの特徴だ。本機もmicro ATXだからと言ってスポイルされておらずATXモデルと同等の8+2フェーズ構成の電源回路が搭載されている
Sonic Studio、Sonic SoundStageなどの音響効果に対応したサウンド機能はドーターカードの形で提供される
他社製ハイエンドmicroATXマザーと比較
Z97のハイエンドmicroATXマザーの代表格と言えば、本機とASRockのZ97M OC Formula。本機がOC機能とゲーマー向け機能が充実しているのに対し、Z97M OC Formulaは純粋にOC向けといった性格を持つ

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-26400 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI ×1●拡張スロット:PCIE 3.0 x16×2(x16/ -、x8/x8で動作)、PCI-E 2.0 x4×1、PCI-E Mini Card( ハーフ)×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2接続)×1、SATA 3.0×8、USB 3.0×6、USB 2.0×7● LAN:1000BASE-T×1

ASUSTeK Computer H97-PRO GAMER(実売価格:14,000円前後)
【手軽にゲーミングPCが作れるH97マザー】

高品質H97マザーが欲しい人も
要注目
LGA1150 Intel H97 ATX
I/Oパネル部

 チップセットにH97を採用し、シンプルにゲーマー向け機能のみを充実させたモデル。ゲーミング向けマザーボードが欲しいけれど過剰なオーバークロック機能は不要という人に最適な1枚だ。

 H97マザーの中では価格は高めだがZ97マザーと比べると低価格なので、少しでもビデオカードに予算を回したいと考えている人にはうれしい選択肢と言える。サウンドやLANなどゲーミング向け機能が充実しているのは言うにおよばないが、M.2、SATA Expressなどの最新高速ストレージインターフェースをサポートするなど拡張機能も充実している。

 なお、Z97マザーと違いオーバークロック機能が重視されていないとはいえ、8フェーズ構成のデジタル回路が搭載されており、長時間のゲームプレイに耐えられるようにハードウェアはH97マザーボードとしては豪華な仕様となっている。

 ゲーマーでなくて高耐久の安定したH97マザーボードが欲しい人も要注目だ。

【選定理由】

・サウンド、LANなどゲーマー向け機能が充実
・H97を採用することで価格を抑えている

高速ストレージもきっちりサポート
M.2スロット(PCI Express 2.0 x2接続)とSATA Expressポートを搭載しており最新高速ストレージにも対応する
オンラインゲームを
快適にプレイできる
ゲームを楽しむための高音質仕様
データ通信の優先度を上げネットワークゲームの快適性を高めることができるユーティリティ「Game FirstII」が付属。バックグラウンドでダウンロードをしている際などに効果を発揮する
サウンドコーデックにはS/N 115dB対応のSupremeFXを搭載。EMIシールドカバー、エルナー製プレミアムオーディオコンデンサの搭載など、高音質化のための工夫が満載されている

倍率変更によるOCも可能

UEFIセットアップの「CPU Ratio Unlock」という設定項目をEnabledにすると、倍率変更によるOCが可能となる。本機はZ97マザー並みのVRMを持つので、この機能を活用するのに向いている。ちなみにPentium G3258(3.2GHz)で試したところ、付属のCPUクーラーで4.4GHz(100MHz×44)にOCすることができた。

「CPU Ratio Unlock」の設定は、Advanced ModeのAI Tweakerメニューに用意されている
ベンチマーク結果

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E3.0 x16×1、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×2、PCI ×3●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0x2接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×4、USB 3.0×6、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×1

Micro-Star International H97M ECO(実売価格:11,000円前後)
【性能を落とさずに省電力を実現できる】

付属ユーティリティの使い勝手も良好
LGA1150 Intel H97 microATX
I/Oパネル部

 部品の選択、配線パターンなど、設計段階から省電力化のための工夫がなされており、性能を落とすことなく省電力化を図れることが本機の最大の特徴だ。

 通常のマザーボードでは、省電力機能を有効にすると性能が落ちたり動作が不安定になったりするが、本機は通常動作のまま、消費電力のみを落とすことができる。

 省電力設定は基板上のECOボタンおよび付属のユーティリティ「ECO CENTER PRO」で行なうことができ、「ECO mode」、「Lounge mode」、「Server mode」の三つのプリセットモードを選べるほか、手動で、各種ファンやUSBポートなどへの電力供給を一つ一つ切ることもできる。

 H97マザーとしては標準的な仕様で、ここがダメという点はない。メーカーは省電力モードでの24時間の安定稼働をうたっており、常時起動させておくファイルサーバー用にもよい。

【選定理由】

・性能を落とさずに省電力化を図れる
・使い勝手のよい省電力ユーティリティが付属

UEFIセットアップもエコカラー
UEFIセットアップもグリーンを基調としたエコロジーをイメージさせるカラーリング。通常モデルとはメニュー構成が異なりECOメニューがある

ECO CENTER PROでムダな電力をカット!

省電力ユーティリティ「ECO CENTER PRO」では、手動でPCIスロット、USBポートなどといった細部への給電をカットすることもできる

ECOシリーズのモデルには、独自の省電力ユーティリティ「ECO CENTER PRO」が付属している。ベーシックな省電力モードの「ECO mode」、マルチメディア利用向けモードの「Lounge mode」、小規模サーバー向けモードの「Server mode」の三つのプリセットが用意されており、いずれかを選択することで用途に応じた省電力を手軽に実行することができる。下の表は各モードの省電力効果をテストしたものだが、ベーシックな「ECO mode」でもその効果ははっきり現われている。

モード別消費電力

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI ×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E 2.0 x1×2、PCI×1●主なインターフェース:SATA 3.0×6、USB 3.0×4、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×1

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB ×4 ※2枚のみ使用)、内蔵グラフィックス機能:Intel Core i7-4770K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:Micron Technology Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:PCMark 7全項目実行時の最大値、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

ASRock Fatal1ty X99M Killer(実売価格:36,000円前後)

microATXで高性能の
ゲーミングマシンを作成できる
LGA2011-v3 Intel X99 microATX
I/Oパネル部

 サウンド機能、ネットワーク機能、ゲーマー向けユーティリティなどが充実したゲーミングマザー。12フェーズの高性能電源回路を搭載、x16/x16のマルチGPUに対応するなど、microATXながら隙がない。

【選定理由】

・上位モデルと同じ充実した電源回路を搭載
・拡張機能とインターフェースが充実

【Specification】

対応CPU:Core i7、Xeon●メモリスロット:PC4-24000 DDR4 SDRAM×4(最大64GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×2※、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 3.0 x4接続)×1、SATA 3.0×10、eSATA(SATA 3.0)×1、USB 3.0×6、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×2

Micro-Star International X99S SLI PLUS(実売価格:27,000円前後)

マルチGPU機能を
重視する人にオススメ
LGA2011-v3 Intel X99 ATX
I/Oパネル部

 上位モデルと比べるとOC関連の機能は弱いが、X99マザーとしてほかに不足する点はない。x16/x16のマルチGPUに対応するなど機能が充実している点こそX99マザーの魅力と考えている人にはお買い得感のある1枚だ。

【選定理由】

・低価格ながら十分な品質と機能を装備
・独自機能も充実している

【Specification】

対応CPU:Core i7、Xeon●メモリスロット:PC4-26600 DDR4 SDRAM×8(最大128GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×4※(x16/x16/ - /x8などで動作)、PCIE 2.0 x1×2●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 3.0 x4接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×8、USB 3.0×12、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1

ASRock Z97 Extreme4(実売価格:18,000円前後)

コストパフォーマンスの高いZ97マザー
LGA1150 Intel Z97 ATX
I/Oパネル部

 品質、機能ともに充実していながら、実売で1万8,000円前後と比較的低価格な点が魅力。M.2、SATA Expressといった最新の高速ストレージインターフェースもサポート。幅広い用途に使える万能型モデルだ。

【選定理由】

・拡張機能が充実
・機能のわりに低価格

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron、Xeon●メモリスロット:PC3-25600 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×3(x16/ - / -、x8/x8/ -、x8/x4/x4で動作)、PCI-E 2.0 x1×3●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×6、USB 3.0×8、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1

ASUSTeK Computer MAXIMUS VII FORMULA(実売価格:45,000円前後)

基板のたわみも考慮した
ハイエンドゲーミングマザー
LGA1150 Intel Z97 ATX
I/Oパネル部

 ASUSTeKのZ97搭載ゲーミングマザーの最上位モデル。ビデオカードの熱から基板を守り、基板のそりも防ぐROG Armorの装備、専用設計の電源回路の搭載など、特別仕様の上、最高クラスの機能を装備している。

【選定理由】

・専用設計による高耐久仕様
・ハードウェアに加えソフトウェアも充実

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-26400 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×2(x16/-、x8/x8で動作)、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×3、PCI-E Mini Card×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCIE 2.0 x2接続)×1、SATA Express×2、SATA 3.0×6、USB 3.0×8、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1、IEEE802.11a/ac/b/g/n●そのほか:Bluetooth v4.0

GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-Z97N-WIFI(rev. 1.0)(実売価格:14,000円前後)

M.2が必要なければ
お買い得感のある1枚
LGA1150 Intel Z97 Mini-ITX
I/Oパネル部

 Mini-ITXながらSerial ATA 3.0ポートを6基装備するなど拡張性が高く、高速無線LANカードを装備するなど機能も充実。それでいてZ97搭載Mini-ITXマザーとしては低価格な点が魅力。コストパフォーマンスの高い1枚だ。

【選定理由】

・低価格なわりに機能が充実
・高速無線LANにも対応

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-24800 DDR3 SDRAM×2(最大16GB)●ディスプレイ:HDMI×2、DVI-I×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCIE Mini Card(ハーフ)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:SATA 3.0×6、USB 3.0×6、USB 2.0×4● LAN:1000BASE-T×2、IEEE802.11a/ac/b/g/n ●そのほか:Bluetooth v4.0

ASRock H97M-ITX/ac(実売価格:13,000円前後)

手堅い仕様の
Mini-ITXマザー
LGA1150 Intel H97 Mini-ITX
I/Oパネル部

 品質は、H97搭載のMini-ITXマザーボードとしては十分。機能も、M.2などの最新の高速ストレージインターフェースには対応しないが、Mini-ITXマザーボードとしては充実している。クセがなく安心して選択できる1枚だ。

【選定理由】

・要所を押さえたバランスのよい仕様
・高速無線LANに対応

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron、Xeon●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×2(最大16GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1(無線LAN/Bluetoothカード搭載済み)●主なインターフェース:SATA 3.0×5、USB 3.0×6、USB 2.0×4● LAN:1000BASE-T×1、IEEE 802.11a/ac/b/g/n●そのほか:Bluetooth v4.0

ASUSTeK Computer B85M-E(実売価格:9,000円前後)

低価格機ながら
拡張性が高く機能も充実
LGA1150 Intel B85 microATX
I/Oパネル部

 メモリスロットを4本備え、PCI-E x16スロットを2本(うち1本は2.0 x4動作)搭載するなど、低価格マザーボードとしては拡張性が高い点が魅力。DisplayPortを装備するなど、インターフェースも充実している。

【選定理由】

・低価格機ながら拡張機能が充実
・このクラスではめずらしくDisplayPortを装備

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×1、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×1、PCI×1●主なインターフェース:SATA 3.0×4、SATA 2.5×2、USB 3.0×4、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×1

Micro-Star International H81M ECO(実売価格:8,000円前後)

省電力マシンの
作成に最適
LGA1150 Intel H81 microATX
I/Oパネル部

 性能を落とさずに省電力化を図れるMSIのECOシリーズのH81搭載モデル。省電力ユーティリティ「ECO CENTER PRO」が付属しており、ファンやサウンド、USBへの給電を止めるなどの設定を細かく行なうことができる。

【選定理由】

・省電力を想定した設計と仕様
・性能を落とさずに省電力化を図ることができる

【Specification】

対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×2(最大16GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCIE 2.0 x16×1、PCI-E 2.0 x1×2、PCI×1●主なインターフェース:SATA 3.0×2、SATA 2.5×2、USB 3.0×4、USB 2.0×8● LAN:1000BASE-T×1



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(AKIBA PC Hotline!編集部)