パワレポ連動企画

トレンド先取りのスタンダードプラン
~Windows 10の自作プラン その1~

【即効! Windows 10×PC自作(14)】

DOS/V POWER REPORT 2015年9月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年9月号」の第一特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」を掲載する。

 第十四回目からは、実際にオススメのパーツ構成で組んだ自作プランを紹介していく。まず最初はUSB 3.1とBroadwellを搭載したスタンダード構成のPCだ。

 なお、本記事が掲載された「DOS/V POWER REPORT」は7月29日発売であったため、8月5日に登場した「Skylake」コアの第六世代Coreプロセッサ「Core i7-6700K」、「Core i5-6600K」および「Z170チップセット」搭載マザーボードについては触れられていない。本構成例は残念ながら現時点において最新ではなくなってしまったが、パフォーマンス的には長く使える構成と言えるだろう。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年9月号は全国書店、ネット通販にて7月29日(水)に発売。ついに発売されるWindows 10を解説した第一特集のほか、頻繁に買い換えるものではない電源ユニット、カタログや口コミだけでは分からない部分を徹底解析する第二特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 2年後に後悔しない電源」、二次元世界の嫁の写真(イラスト)もきれいに拡大!「“最新ハードによる”waifu2x活用講座」、容量も重要だけど、やっぱり品質にも気を遣いたい「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション2015」、MVNOのお供に選べるスマホ「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は高音質、ハイレゾ対応、デザイン性、コストパフォーマンス、多彩なニーズに応えます!「サウンドデバイス大全2015」だ。


-トレンド先取りのスタンダードプラン ~Windows 10の自作プラン その1~-


USB 3.1と最新CPUで長く使えるスタンダードプラン

■このプランのこだわり
 高機能かつ省電力のBroadwell-Cを搭載
 Type-CコネクタのUSB 3.1ポートを先取り装備

 これからのデジタルライフをになうWindows 10がテーマということで、スタンダードでもある程度将来のトレンドを先取りしたPCを作りたいと考えた。やはりCPUには、最新のBroadwell-Cを使いたい。Haswellの約2倍の高い描画性能を持つことに加えて、新しいディスプレイドライバモデルではBroadwellからサポートしたCPU/GPUの仮想メモリ空間の共有も有利に働くと言うから、それも楽しみだ。

 もう一つ、Windows 10時代のトレンドとして加えたかったのが、USB 3.1、そしてType-Cコネクタだ。スマートホンやタブレットがホストにもデバイスにもなれる「Dual Role」など、Windows 10もUSB 3.1およびType-Cコネクタを積極的にサポートしており、Type-Cコネクタの先取りは必須と考えた。さらに、スタンダードという性格を考えてコストを意識しながら拡張性と汎用性を確保しつつ、Broadwellの省電力性を活かし、高レベルの静音性という要素も意識して構成した。

【使用したパーツ】
カテゴリー製品名実売価格
CPUIntel Core i5-5675C(3.1GHz)38,000円前後
マザーボードMSI Z97A GAMING 6(Intel Z97)22,000円前後
メモリNovax UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)8,000円前後
SSDSamsung 850 EVO MZ-75E250B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)13,000円前後
HDDWestern Digital WD Red WD40EFRX(Serial ATA 3.0、5,400rpm、4TB)20,000円前後
PCケースCorsair Carbide 100R Silent (ATX)8,000円前後
電源ユニットCorsair CX Series Modular CX500M(500W、80PLUS Bronze)8,000円前後
CPUクーラーRAIJINTEK EREBOSS(サイドフロー、14cm 角ファン)5,000円前後
合計 122,000円前後

【検証環境】

PCMark 8:PCMark 8 v2.4.304-Home Accelerated のスコア
3DMark:3DMark v1.5.884- Fire Strike のスコア
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 Power Supplyテストを10分稼働させたときの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

Windows 10と組み合わせるならこのパーツ

マザーボードMicro-Star International Z97A GAMING 6

Type-C標準搭載のゲーミングマザー

 マザーボードは「USB 3.1 Type-Cポートをバックパネルに標準装備するLGA1150マザー」という点を条件に選んだ。現行製品でこれを満たす製品はほとんどなく、自動的にこの製品が浮上した。

 フロント/リア両方の出力にヘッドホンアンプを搭載した高音質オンボードサウンド回路を搭載するなどほかの装備も魅力。ATXだけあって拡張性も十分だ。

現行製品でUSB 3.1 Type-Cポートをバックパネルに搭載している製品はめずらしい。できればType-AのUSB 3.1ポートも欲しかったが、それは贅沢というものだろうか
SLIに対応した2本のPCI Express 3.0 x16スロットのほか、高音質オンボードサウンド回路、M.2スロットなど、Z97マザーボードとして十分な機能を持つ

【Specification】
●対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-26400 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×3(x16/- /-、x8/x8/ -、x8/x4/x4で動作)、PCI-E 2.0 x1×4●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2またはSATA 3.0接続)×1、SATA Express×1、SATA 3.0×4、USB 3.1(Type-C)×1、USB 3.0×6、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1
※PCI-E= PCI Express、SATA = Serial ATA、USB のポート数はピンヘッダ含む

CPUIntel Core i5-5675C

最新設計の高性能GPUが魅力

 CPUはBroadwell-Cの中でもコストパフォーマンスを重視してCore i5-5675Cを選んだ。上位のCore i7-5775Cと同様に内蔵GPUが大幅に強化されており、Haswell世代の2倍近い描画性能を持つため、ちょっとしたゲームを楽しむことを含めても日常使うPCとして不満が出にくいだろう。

 Windows 10では、Broadwell-CのCPUとGPUの仮想メモリ空間共有をサポートした最新設計を活かせる、新しいドライバモデルWDDM 2.0を採用しているのも選択の大きな理由だ。

【Specification】
対応CPUソケット:LGA1150●コア数/スレッド数:4/8●動作周波数(Turbo Boost 時最大):3.1GHz(3.6GHz)●3次キャッシュ:4MB●内蔵GPU:Iris Pro Graphic 6200●内蔵GPU最大動作周波数:1,100MHz● TDP:65W

そのほかの注目パーツ

CPUクーラーRAIJINTEK EREBOSS

本格サイドフロー

 今回はCPUクーラーのファンを省くことも視野に入れ、大型のヒートシンクを搭載した製品を選んだ。

 EREBOSSは、高さ150mmとギリギリ入る大きさのサイドフローで、ヒートパイプも6本利用している。赤と白のコントラストが印象的な14cm径ファンも薄型で干渉の心配が少ない。

 比較的リーズナブルな価格で入手できるのも選択の理由だ。

SSDSamsung Electronics 850 EVO MZ-75E250B/IT

コストと性能のバランスに優れる

 ストレージはSSDとHDDのデュアル構成を採用する。

 SSDはSamsungの850 EVOを使う。書き込み性能や耐久性の面でメリットが大きい3次元構造の「3D V-NAND」を採用しており、バリュークラスの枠を超えた性能と信頼性を備えている。保証期間も5年と長く、安心して使えるだろう。

 HDDも信頼性を重視し、NAS用のWD Redを選んだ。

PCケースCorsair Components Carbide 100R Silent

コスパに優れた静音特化型モデル

 静音志向の密閉型スタイルを採りつつ、拡張や冷却の自由度はある程度割り切ったシンプルな構造にすることによりコストを抑えたPCケース。

 密閉構造に加えて、前面と天板、両側板に遮音材を貼っており、内部の音を外に漏らさない。大型ラジエータの搭載などは想定していないため最近のATXケースとしてはコンパクトなサイズで扱いやすい。

増えつつあるUSB 3.1/Type-Cデバイス

 USB 3.1やType-Cコネクタに対応した周辺機器も徐々に登場しているが、まだ過渡期という状況で注意事項が満載だ。

 まず気を付けたいのは「USB 3.1対応」と言いながら、速度的には「Gen1」(信号速度5Gbps)、つまり実質USB 3.0対応でしかない製品があること。Type-C対応製品はほとんどがこれだ。確かに間違いではないが、これをやられるとすべての「~対応」は信用できなくなる。このような紛らわしい表記は、USB 2.0時代に一度駆逐されたが、今回はいち早くType-Cポートを導入したAppleが純正の変換アダプタにこの表記を使っているので、周辺機器メーカーばかりも責められない。

 Type-Cコネクタについては、海外製の安価な変換アダプタなどは工作精度の問題(すぐ抜けてしまうなど)も出ているようだ。本来の意味での「USB 3.1対応」つまり「SuperSpeed Plus」(信号速度10Gbps)転送に対応したデバイスはHDD/SSDケースなどがあるが、これらは従来のType-Aコネクタを採用している。

 今回のZ97A GAMING 6は、Type-CしかUSB 3.1ポートがないので、これは使えない。時代を先取りしてしまった形で、時代が追い付くまでには少し時間がかかりそうだ。

センチュリー シンプルBOX2.5 USB3.1 CSS25U31BK

 USB 3.1に本当の意味(Gen 2/SuperSpeed Plus、信号速度10Gbps)で対応した2.5インチHDD/SSD用の外付けケース。PCとの接続にはType-Aコネクタを利用する。

 USB 3.1の速度を活かすためにも、HDDではなくデータ転送速度が500MB/sを超える高速タイプのSSDを組み込んで使いたい。

SanDisk デュアル USBドライブ Type-C

 Type-CとType-A、両方のコネクタを備えたUSBメモリ。USB 3.1ではなくUSB 3.0対応だが、こういう製品は速度よりもどちらのポートでも使えるという利便性に価値がある。

 USB 3.1の速度を持たないものの、コネクタの向きがどちらでも挿さるType-Cの利便性を利用できるのが大きなメリットだ。

エレコム U3HC-A412BBK

 USB 3.1(Gen 1)対応のUSBハブ。つまり実質USB 3.0対応だ。Type-Cしか持たないPCでさまざまな周辺機器を接続するには便利。コネクタはType-CとType-Aが2基ずつある。

 最大転送速度は5Gbpsだが、USB 3.1の外付けHDDやType-Cのデバイスを手軽に接続できる。供給電流は、最大3,000mA。

UEFI設定で高速化

「Windows 8/8.1/10 Feature」をEnabledにすると、「Fast Boot」が「Enabled」になり、GOP(Graphic Output Protocol)情報やSecure Bootの設定などが現われる。アグレッシブに高速化する「MSI Fast Boot」を有効にすると起動時にはキー入力も受け付けなくなるため、UEFIセットアップには、Windows上から入る必要がある。Windows上で動作する「MSI Fast Boot」ユーティリティも用意されている

 UEFIセットアップには、「Windows 8/8.1/10 Feature」として、UEFIのFast Bootを利用した高速化設定が用意されている。それぞれ設定を行ない、起動時間を計測した。

 通常の「Fast Boot」ではノーマルより5秒ほど短縮したが、よりアグレッシブに高速化を行なう「MSI Fast Boot」ではさらに7秒ほど短縮した。この設定だとWindows 10のデスクトップが表示されるまでは10秒ほど。UEFIから高速にようこそ画面、デスクトップへと切り換わる。Windows 8をスキップしたユーザーには新鮮だろう。

 なお、「MSI Fast Boot」設定にすると起動時にキーボードからの入力を受け付けなくなるため、UEFIセットアップにはWindows上から入る。

OS起動時間:電源ボタンを押してからWindows 10が起動し、スタートアップに登録したユーティリティ(MSI Fast Boot)が起動するまでの時間

ベストの静音化方法を模索する

Carbide 100R Silentは、背面にファンコントローラを搭載しており、ファンの速度を3段階に切り換えられる。ファンは三つまで接続でき、すべてに同じ設定が反映される。なお、ファンのコネクタは3ピンのため、マザーボードのファンコントローラではうまく制御できなかった

 今回の構成なら普通に組んだだけでもかなり静音だが、Broadwell-Cのポテンシャルを探るためにも少し詰めてみたい。

 まず基本形は、CPUファンはマザーボードのファンコントローラの自動設定(回転数可変)、ケースファンはケースのファンコン(LOW、回転数固定)を利用している。この状態からごく基本的な省電力設定(C1E、C6ステート有効化など)を行なっただけでも省電力化されたが、さらに静音化するため、CPUクーラーのファンを省略した状態での温度を見てみた。すると高負荷時でも耳を近付けなければ分からないくらいまで静音化はできたものの、ケースファンがLOW設定のままではCPUクーラーのファンなしでの常用は若干不安が残る結果となった。ケースファンをMID設定にすると許容範囲の温度には収まるが、ケースファンは固定回転のためアイドル時の動作音がファンがあるときよりも大きくなる。ケースファンLOW固定は必須で、そこでどれだけ温度を下げられるかがポイントだ。

今回行なったUEFI設定

 こういうときにcTDP機能があれば便利だが、MSIマザーにその設定はなく、あったとしてもcTDPでは性能も下がる。そこで、ここではCPUの低電圧駆動を試してみたところ、期待どおりに高負荷時の温度が低下し、低電圧駆動すれば、CPUクーラーのファンはなしでもいけそうだ。

 だが、こうした低電圧駆動は、OCと同じメーカー想定外の負荷をかける行為だ。もっともバランスのよいCPUファンありで基本的な省電力設定のみ行なった状態を標準構成としたい。

室温:28℃、暗騒音:31dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark- Fire Strikeを動作させたときの最大値、CPU温度:HWMonitor 1.27のCPU Temperatures のPackageの値、動作音測定距離:ケース正面から5cm

マザーボードのユーティリティは動く?

OC/ファンコントロールツールの「COMMAND CENTER」、UEFI /ドライバアップデートツールの「LIVE UPDATE 6」、電力をカットできる「ECO CENTER」などがあるがいずれもWindows 10環境で動作した

 MSIは原稿執筆時点でWindows 10向けのドライバは公開していなかったが、OC /ファンコントロールツールの「COMMAND CENTER」、UEFI /ドライバアップデートツールの「LIVE UPDATE 6」など、主要なユーティリティはどれもインストールでき、動作した。COMMAND CENTERでのOCも試してみたところ、電圧操作をしない状態で40倍(4GHz)でCINEBENCH R15を完走することができた。

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
Micro-Star International:web-jp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/ http://jp.msi.com/
Novax Technologies:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.umax.net/
Samsung Electronics:ssd.sjc@samsung.com(サムスン電子ジャパン)/ http://www.samsung.com/jp/
Western Digital:0120-994-120 / http://www.wdc.com/jp/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/ http://www.corsair.com/
RAIJINTEK:info@itc-web.jp(アイティーシー)/ http://www.raijintek.com/jp/
センチュリー:03-5818-7045 / http://www.century.co.jp/
SanDisk:0120-89-3009(サンディスク)/ http://www.sandisk.co.jp/
エレコム:0570-084-465 / http://www.elecom.co.jp/


[Text by 鈴木雅暢]


DOS/V POWER REPORT 2015年9月号は2015年7月29日(水)発売】

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★ 特別付録小冊子「サウンドデバイス大全2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
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http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-07-22-0000.php

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(AKIBA PC Hotline!編集部)