パワレポ連動企画

Skylake Kで作るオススメ自作プラン その1
~次世代ゲーミングPC~

【ド本命登場!Skylake K(11)】

DOS/V POWER REPORT 2015年10月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年10月号」の第一特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」を掲載する。

 今回はSkylake Kを使った自作プランを紹介する。第一弾はCore i7-6700KとGeForce GTX 980 Tiを使った高性能ゲーミングPCだ。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(土)に発売。大本命の新CPUを解説した第一特集のほか、HDDを飲み込む勢いの最新デバイスを紹介する第二特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」、新世代メモリを採用した高性能ビデオカード「Radeon R9 Fury X&Furyの実力に迫る!」、興味はあるけど、どうすればいいのか分からないというあなたに実際の乗り換え手順をご紹介!「安くて!速くて!自由に選べる!初めての格安SIM」、光る!回る!!ただのファンでも製品ごとに結構違う「個性いろいろ、選ぶ楽しみ 特選ケースファンギャラリー22」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「最新ビデオカードカタログ 2015」 AMD Radeon&NVIDIA GeForce搭載の現行製品が勢揃い!


-Skylake Kで作るオススメ自作プラン その1 ~次世代ゲーミングPC~-


オススメ自作プランその1
Core i7-6700Kで作る
CPUパワーを活かした次世代ゲーミングPC

■このマシンのコンセプト
・処理効率の高いCore i7-6700KでGTX 980 Tiの性能を限界まで引き出す
・高い性能を確保しつつも見た目でインパクトを与えるパーツで固める

 今ハイパフォーマンスゲーミングPCを組むなら、既存のCPUより少々高かろうとSkylake Kは絶対に外せない。最近の重量級ゲームはリアリティ追求のためにCPU負荷が高めになっている上に、DirectX 12対応ゲームが出ればCPUの並列処理能力も重要になる。少々値段は張っても長く使えるスペックを重視。見た目のインパクトも追求したい。

 コンセプトが決まればパーツ選びは簡単。パワー優先なのでCPUはCore i7-6700K、メモリはすでに割安感のあるDDR4-2400を、ビデオカードはワットパフォーマンスが高く、VRAM搭載量が多いGeForce GTX 980Ti(高画質プレイには4GBでは足りない)。

 ただマザーについては今回入手可能なマザーが限られていたため、お買い得感の高いものを選んだ。ひとまずメインストリームマザーを使いオンボードデバイス(とくにUSB 3.1やOC関連)の熟成を見守り、機を見てより上位のマザーに乗り換えようという戦略だ。

【使用したパーツ】
カテゴリー製品名実売価格
CPUIntel Core i7-6700K(4GHz)50,000円前後
マザーボードASUSTeK Z170 PRO GAMING(Intel Z170)26,000円前後
メモリMicron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)19,000円前後
ビデオカードASUSTeK STRIX-GTX980TI-DC3OC-6GD5-GAMING(NVIDIA GeForce GTX 980 Ti)120,000円前後
SSDKingston HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480G(PCI Express 3.0 x4、MLC、480GB)60,000円前後
PCケースCooler Master CM Storm Stryker SGC-5000W-KWN1-JP(ATX)24,000円前後
電源ユニット玄人志向 KRPW-GT700W/90+(700W、80PLUS Gold)14,000円前後
CPUクーラーCRYORIG R1 ULTIMATE(サイドフロー、14cm角ファン×2)13,000円前後
合計 326,000円前後

【検証環境】

Windows 10 Pro 64bit 版
PCMark 8:PCMark 8 v2.4.304- Home Accelerated のスコア
3DMark:3DMark v1.5.915- Fire Strikeのスコア
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 Power Supplyテストを10分稼働させたときの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

このパーツを選んだ理由

マザーボード
ASUSTeK Computer Z170 PRO GAMING

Z170としては手頃ながら機能充実でOCにも期待

 ゲーミングPCを組むのなら、ゲーマー向けのZ170マザーを選ぶべき。

 今回はASUSTeKのR.O.G.シリーズが誇る高音質サウンドの要素を取り入れたZ170マザーを選択した。ほぼ同価格の「Z170-A」も入手できたが、PCIスロットはゲームには不要のため、見た目のハデなこちらを選択。

 Z170マザーのM.2スロットはPCI Express 3.0 x4(32Gbps)接続。

 一般的なZ97マザーのM.2(10Gbps)とは段違いの帯域幅を備え、ビデオカードの帯域を制限せずにこの広帯域が使えるのがZ170マザーの素晴らしいところだ。

ビデオカード
ASUSTeK Computer STRIX-GTX980TI-DC3OC-6GD5-GAMING

新型高性能クーラーの実力やいかに?

 今回はパワー重視の構成なので背伸びをしてGTX 980 Tiを選択。

 高リフレッシュレート液晶でもフレームレートが出るようGTX 980 Tiの中でも高めにOC設定されたモデルを選び出した。ASUSTeK自慢の全機械製造によるハイクオリティな基板製造技術もこの製品の見どころの一つ。

 大型ビデオカードは自重で歪む宿命を持っているが、この製品はカード裏の鉄板とカード上部のフレームで長期使用時の歪みを抑える。

 基板は縦にも長いが、これは独自設計の14フェーズ電源を実装するためのものだ。

PCケース
Cooler Master Technology CM Storm Stryker SGC-5000W-KWN1-JP

実用的な装備と拡張性の高さが決め手

 2.5インチのホットスワップベイやファンコンといった実用的装備のほか、大型カード収容や90゚回転可能な吸気ファンなどハイパワーパーツに対する備えや冷却能力を高く評価。

 発売されたばかりのCPUとマザーを長く使うために、静音性よりも拡張性を重視している。

 中央上部には巨大な電源スイッチ、その下には6段階で速度調整が可能なファンコンを装備。

 マザーのファンコンでも十分機能するが、このケースは大柄なのでファンコンに任せたほうが配線をスッキリとまとめられる。

SSD
Kingston Technology Hyper X Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480G

PCI-E x4の威力を見たい

 性能と見た目でPCI Express拡張カードタイプを選択。

 PCI Express 3.0 x4接続、内部的にはAHCIでやり取りする。NVMe対応ではないがかなりの性能が期待できる。

CPUクーラー
CRYORIG R1 ULTIMATE

OCを見据えた冷却力重視の選択

 Strykerに対抗できるメカっぽさと、高い冷却力を備えたCPUクーラーとして選定。

 ツインタワー式のヒートシンクを2基のファンで冷やすため、OC時にも活躍しそうだ。

CPU温度やOC設定をチェック

AI Suite Ⅲでお手軽OC
Z170マザーではBCLKを1MHz未満で細かく刻める製品が多いが、OCの基本は倍率上げ+電圧アップであることは変わらない。UEFIを使うのもよいがAI Suite Ⅲでお手軽に試すのも悪くない

 せっかくCore i7-6700Kに投資したのだから、オーバークロック(OC)にも挑戦してみよう。OCの基本はSkylake K以前となんら変わらない。倍率とコア電圧を調整し、必要に応じてBCLKを調整する。

 とくにこの作例で使用した「Z170 PRO GAMING」には、OC関連の制御を行なうチップ(TPU/EPU)と連係し、その幅を広げるASUSTeK独自の支援チップ兼クロックジェネレータである「PRO Clock」が新たに投入された。

 PRO ClockはOCシステムに統合されているため、特別な設定は必要ない。これまでと同じくUEFIまたは同梱のツール「AI SuiteⅢ」を使い、手動または自動認識でOCを行なう。CPUの当たり外れや冷却の条件などで成功率は変わるが、今回のパーツでは1、2コア動作時4.4GHz、3、4コア動作時4.3GHzと、Core i7-4790Kと同等以上の設定を見付け出し「OCCT 4.4.1」での高負荷テスト(1時間)も完遂。CRYORIGの高性能クーラー「R1 ULTIMATE」を組み込んだためCPUの冷却も十分確保できている。ゲーム中ならOC時でもCPUは70℃未満なので、CPUの発熱を気にせずプレイできる。

CINEBENCH R15で定格時と4.3GHz(最大4.4GHz)へOC時の性能を比較した。わずか400MHzのお手軽OCだがシングルコア性能もしっかり伸びた
マザーの発光機能を設定する
Z170 PRO GAMINGが備えるオンボードLEDは消灯/点灯/ゆっくり点滅の3種類(サウンド回路部は4種類)から選択できる。AI Suite Ⅲを導入しておけば、Windows上から随時変更可能だ

 また、最近対応製品が増加しているマザーの発光機能はZ170 PRO GAMINGにも搭載されている。

 CPUとビデオカード下などのLEDの発光パターンをUEFIやAI Suite Ⅲ上から設定可能だ。

DDR4-2400メモリの効果は?

XMP設定も持っているが……
Z170 PRO GAMINGの最新BIOSでは、装着するだけでDDR4-2400として認識。今回使ったメモリはDDR4-2400用のXMP設定も持っているが、特別なOC用プロファイルではないようだ

 今回のプランではMicronのDDR4-2400メモリを使用した。だがDDR4-2133でなく2400を選ぶことで性能は変化するのか気になるところ。あえてメモリをダウンクロックし「PCMark 8」で比較すると、スコアは3%も変化しない。ゲーム(ウイッチャー3)にいたっては誤差程度の差しか出なかった。

 しかし前述のとおりDDR4-2133と2400がほぼ同額、場合によっては2400のほうが安価なこともある。CPUの定格という点にこだわらないのであれば、今DDR4-2133を選ぶメリットはないと言えるだろう。

【検証環境】

室温:28℃
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 Power Supplyテストを10分稼働させたときの最大値
CPU温度:HWMonitor 1.27のCPU Temperatures のPackageの値
そのほかは前述と同じ

旧世代CPUではGPUパワーを活かし切れない

 ゲームの快適度はほぼビデオカードの性能で決まるが、CPUの性能が低くてもビデオカードの性能を十分に引き出せない。ゲーミングPCではPentiumやCeleronといった廉価版CPUが選ばれないのはこのためだが、旧世代のハイエンドCPUでも同じだ。Sandy Bridge世代のCore i7-2600Kマシンと、今回のSkylake Kマシンでは重量級ゲームの挙動にどの程度違いがあるか比較してみたい。

 CPUの負荷が高い「ウイッチャー3」を使い比較すると、i7-2600Kでのフレームレートは6700Kに対し常に3~4fps低くなる。4年落ちのCore i7では処理性能が低いため、GTX 980 Tiの性能をフルに引き出せないのだ。今後しばらく上位製品が出ないCore i7-6700Kにしておけば、来年早々に登場予定のNVIDIAの次世代GPU「Pascal」(開発コードネーム)への備えも完璧と言える。

CPU負荷にも微妙な違いが出る
「ウイッチャー3 ワイルドハント」でのCPU占有率の違いを比較。Core i7-2600KのほうがCPUパワーに余裕がない分、占有率も6700Kに対し20ポイント前後高くなっている

【Core i7-2600K マシンの検証環境】

CPU:Intel Core i7-2600K(3.4GHz)
マザーボード:ASUSTeK P8Z68-M PRO(Intel Z68)
メモリ:Patriot Memory PSD38G1600KH(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX980TI-DC3OC-6GD5-GAMING(NVIDIA GeForce GTX 980 Ti)
SSD:Micron Crucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)
Windows 10 Pro 64bit版

PCI Express x4対応SSDの実力を見る

今回使った「SHPM2280P2H/480G」は、M.2スロットに装着して使うこともできる。Z170 PROGAMINGではPCI Express 3.0 x4接続なので数値的にはNVMe SSDも接続可能なスペックを備えている

 Z170 PRO GAMINGでは、CPUから一番遠いスロットとM.2スロットはPCI Express 3.0 x4接続。PCI Express接続のSSDを接続するには最適だ。しかしチップセットを経由する分微妙にレイテンシが増える。逆に2番目のx16スロットはCPUに直結しているが、その場合ビデオカードの接続がx16からx8に減る。

 描画性能の低下は実感できるほどのものではないが、SSDのレイテンシを取るか、微妙な描画性能を取るか、よく考えて装着しよう。

M.2スロット接続
チップセット側x16スロット接続
CPU側x16スロット接続
左からM.2、チップセット側x16スロット、CPU側x16スロットにSSDを装着したときの読み書き性能。シーケンシャルのQ=32、T=1の数値に大差はないが、4K Q=32、T=1ではチップセット側x16スロットとM.2が遅い。チップセットを経由した分のレイテンシは確かに存在するのだ

将来的なマザーの乗り換えも視野に

 CPUやビデオカードは最初から決め打ちだったが、悩んだのがマザーの選択。Skylake K発売に間に合わなかったモデルも多く、初物自作ならではの混乱があった。

 OC機能やUSB 3.1関連で今後トレンドが変わる可能性があるため、今のマザーは足掛かり。半年?1年程度かけて次に乗り換えることも検討したい。

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
Micron Technology:-/http://jp.crucialproducts.com/
Kingston Technology:00531-88-0018 /http://www.kingston.com/jp/
Cooler Master Technology:info@aiuto-jp.co.jp(アユート)/http://www.coolermaster.co.jp/
玄人志向:-/http://www.kuroutoshikou.com/
CRYORIG:03-5298-3880(ディラック)/http://www.cryorig.com/


[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2015年10月号は2015年8月29日(土)発売】

★第1特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」
★第2特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」
★特別企画「新世代メモリ“HBM”採用で次のステージへ Radeon R9 Fury X&Furyの実力に迫る!」「安くて!速くて!自由に選べる!初めての格安SIM」「個性いろいろ、選ぶ楽しみ 特選ケースファンギャラリー22」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
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★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)