パワレポ連動企画

新旧3世代が混在する最新のCPU事情

【2015秋 自作PCパーツ超コレクション400(1)】

DOS/V POWER REPORT 2015年11月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年11月号」の総力特集「2015秋 自作PCパーツ 超コレクション400」を掲載する。なお、11月号は9月29日(火)発売予定だが、今回は一足早くお届けする。

 Windows 10やSkylakeが登場したことで、年末に向けて賑やかになってきたPCパーツ界隈。今回の特集はこれから自作PCを組み立てようという方必見、最新パーツを一挙に400点紹介する。まずは、Skylakeこと第6世代Coreシリーズが登場したことでラインナップも充実してきたCPUの解説からスタートだ。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年11月号は全国書店、ネット通販にて9月29日(火)に発売。ぜひともオススメしたいアイテムを一挙掲載する総力特集のほか、フリーOSと余ったパーツで簡単運用「無償のFreeNASで構築するファイルサーバー:ファーストステップ」、ゲーム実況もお手軽に「特選HDMIキャプチャカード&ユニット19」、そろそろ手に届く4Kや5K、ゲーム特化からお手軽フルHDまで紹介する「最新液晶ディスプレイ大集合!!」、GIGABYTEのZ170マザーボードでPC自作の手順をバッチリ解説「GIGABYTEマザーで作るSkylakeマシン組み立て講座」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は豪華二本立て!「完全保存版CPU&チップセットデータベース2004-2015」と「定番&新顔フリーソフト集」だ。


-最新CPU 解説編 ~CPUの世代の違いは性能にどう影響するのか~-


Skylake世代のラインナップが拡充
CPU編

2015秋のトレンド
・第6世代Coreプロセッサが登場
・市場には新旧3世代が混在する状態
・マザー、メモリも考慮した選択が必要

Skylake-Sのラインナップがほぼ出揃うも3世代が混在

 Intelが開発コードネーム「Skylake-S」こと第6世代Coreプロセッサのラインナップを一挙に発表。ハイエンドからローエンドまで、ほぼフルラインナップが出揃った。

 ただ、発表はされたものの流通時期が未定というモデルも多くあり、これまでの第4世代Coreプロセッサを一気にリプレース……という段階までは来ていない。6月に追加された第5世代の2モデルとともに、メインストリームクラスでは3世代が混在する状況となっている。

新旧Coreプロセッサの外観
サイズは同じ37.5×37.5mmだ。LGA1151では基板が薄くなったが、ヒートスプレッダ(表面の金属板)の背が高くなったためトータルの高さは共通だ
CPUソケットはLGA1151に移行
従来の第4/第5世代で使われていたLGA1150とは互換性がない。ただし、CPUクーラーは共通のものが引き続き使用できる

 第6世代では、CPU/GPUコア、キャッシュを含めた全体にわたって構造がリニューアルされており、クロックあたりの性能が向上し、TDPもKモデル以外は第4世代よりも低く設定されているように、とくに高負荷時の電力効率は高い。さらに、DDR4メモリへの対応、システムバス/チップセット内蔵インターフェースの広帯域化など、プラットフォーム自体も進化しているため、将来性、拡張性でもメリットが大きい。

 ただ、第6世代のCPUを導入する際は、マザーボードに加えて、多くの場合はメモリの買い換えも必要になるためコスト負担が大きい側面もある。その辺りを考慮すると、マザーボード、メモリとも共通で使える第4世代/第5世代の選択肢も浮上してくる。

 とくに、第5世代の2モデルは大規模なGPUコアを搭載しており、GPUのコア機能面でも第4世代からの強化点が多く、純粋な描画性能だけでなく、GPUによる支援機能が利用できるアプリケーションなどにも強みを見せる。

H.265(HEVC)にも対応
〇は専用回路によるハードウェアエンコード/デコード対応。*付きの〇はGPU(EU)演算による高速化に対応していることを示す

 第6世代ではGPUコアも内部構造が進化し、H.265のハードウェアデコード/エンコードに対応するなど機能も強化しているが、大規模GPUコアを搭載するモデルはなく、描画性能は第5世代におよばない。内蔵GPUシステムが前提であるならば、あえて第5世代を選ぶ手もある。

 このように選択肢が多く残されている状況は、ユーザーにとっては分かりにくい面もあるかもしれないが、メリットでもあるだろう。

Intel Coreプロセッサ現行3世代のブロック構成の比較

Haswell
Broadwell
Skylake

 第6世代のSkylakeでは、CPUコア内部のマイクロアーキテクチャが大きく改良され、命令を効率よく実行できるようになっているが、第2世代のSandyBridge以来、CPUコアとほかのブロックを接続するリングバス構造も大きく変更され、LLC(3次キャッシュ)の性能も大幅に高速化している。

 第5世代のBroadwellは、GPUコアに多数のトランジスタを使ったGPUコア強化モデルで、eDRAMと呼ばれる128KBの外部キャッシュ(CPU基板に実装)も搭載する

第6世代ラインナップの注目モデル

Core i7-6700K
Core i5-6600
末尾Kの倍率ロックフリーモデルは8月から先行販売。Core i7-6700K、Core i5-6600Kの2モデルで、TDPは95Wと表示されているが、実際は91W
第6世代Coreプロセッサは、第5世代Coreと同様に14nmプロセスルールを採用。Core i7/Core i5通常モデルのTDPは第4世代の84Wから65Wに下がった
Core i5-6600T
Pentium G4400
Core i7からPentiumまで、それぞれ省電力モデルも発表されている。TDPは35Wで、通常モデルより定格動作周波数が低い
Skylake-SベースのPentiumも発表されている。CPU-Zの情報対応がまだ完全ではないため、CPU名がCore i5-6600と表示されている

現行3世代の実力をベンチマークで一斉比較!

 新旧3世代の主力を含め、現行CPUの主要モデルの性能をベンチマークテストで比較した。なお、今回、Core i7-6700Tが入手できなかったが、OEM向けのCore i7-6700TEを入手できたので参考までに加えている。

 さて、PCの総合性能を見るPCMark 8(Home)は、外部ビデオカード環境と内蔵GPU環境両方で実行した。ビデオカード環境でのトップはCore i7-4790Kだが、次は何とCore i3-6320。さらにCore i7-6700K、Core i5-6600K、Core i5-4690Kなどもほぼ横並びで続いた。少し意外な序列だが、最大周波数の高いモデルという点は共通している。比較的負荷が軽い内容のためか、コア/スレッド数、世代の影響は見られない。

 内蔵GPU環境では、力関係が大きく変わる。第5世代の2モデルが上位を占め、次にCore i7-6700K、Core i5-6600K、Core i3-6320、Core i5-6600の第6世代、第4世代はその後にようやく最上位のi7-4790Kが顔を出す。内蔵GPUの性能、機能面に優れた第5世代以降の優位が目立つ結果だ。

 CINEBENCH R15は、CPUテストではCore i7-5960Xが突出したスコアをマークし、8コア16スレッドならではのマルチスレッド性能の高さを見せている。次いで、Core i7-6700K、Core i7-4790K、Core i7-5775Cと続き、コア/スレッド数が多いモデルが上位を占めるが、第6世代の優位も感じられる。CPU(シングルコア)では周波数の高いモデルが上位を形成するが、ここでも第6世代は第4世代に対してはっきり優位という傾向が現れている。

 内蔵GPU環境での3DMark(Sky Diver)では、第5世代の2モデルがワンツーを決めた。48基のEUとeDRAMを搭載するGPUコア「Iris Pro Graphics 6200」の強さがはっきり現われたためだ。これらと同じく内蔵GPU重視の設計を採るAMDのA10-7870Kがそれに次いでいる。そのほかはこの三つのCPUとは大きく差があるが、第6世代と第4世代では前者のほうが明らかによいスコアをマークしており、世代の進化により内蔵GPUの描画性能の底上げが進んでいることが見て取れる。

主要モデルの消費電力を検証する

 ビデオカード搭載時と内蔵GPU利用時それぞれの環境でシステム全体の消費電力を比較した。高負荷時の条件が両者で違うので注意してほしい。世代間の比較に注目すると、ビデオカード環境ではCore i7-6700Kは、Core i7-4790Kより9.9%減、Core i5-6600KはCore i5-4690Kから約7.2%減とはっきり下がっている。内蔵GPU環境も同様に、性能が向上しているにもかかわらず、消費電力はCore i7、Core i5ともに10%弱減っている。

 一方、アイドル時は、とくにビデオカード環境で第6世代のほうが高い傾向がある。第6世代ではFIVR(CPU内蔵電圧レギュレータ)を廃止する一方、より細かい単位で電力管理を行なうことで補うが、ビデオカード環境ではGPUがその管理範囲外となるため効果が低下するのだろう。もっとも、ここまで細かい差が内蔵GPUシステム以外で問題になることは少なく、気にする必要もないかもしれない。

【検証環境】

●マザーボード:ASUSTeK X99-A(Intel X99)、ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)、ASUSTeK Z97-A(Intel Z97)、ASUSTeK A88X-GAMER(AMD A88X)
●メモリ:Micron Crucial CT4K4G4DFS8213(PC4-17000 DIMM 4GB×4)、サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DIMM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、AMD Radeon R9 Gamer Series 8GB R938G2130UK(PC3-17000 DDR3 SDRAM 4GB ×2)
●ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
●SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
●電源:Sea Sonic Xseries XP2 SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)
●CPUクーラー:サイズ 虎徹
●OS:Windows 10 Pro 64bit版
●電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
アイドル時:CINEBENCH R15実行終了後放置し5分経過後の値、高負荷時(ビデオカード搭載環境):CINEBENCH R15(CPU)実行中の最大値、高負荷時(内蔵GPU環境):3DMark(Sky Diver)実行中の最大値


[Text by 鈴木雅暢]


DOS/V POWER REPORT 2015年11月号は2015年9月29日(火)発売】

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★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

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(AKIBA PC Hotline!編集部)