Skylakeの可能性を引き出す拡張性抜群の小型PC～省スペース型～

DOS/V POWER REPORT 2015年12月号

　こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年12月号」の総力特集「25年目のPC自作スタンダード」を掲載する。

　第19回目はSkylakeを搭載した拡張性抜群の小型PCをベースに、さらなる小型化を目指し、ケース自体を交換した省スペース型を紹介する。

　本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年12月号は全国書店、ネット通販にて10月29日(金)に発売。PC自作の面白さを再検証する総力特集のほか、最新ゲームを楽しむにはどのくらいのビデオカードが必要？「秋の夜長はこの装備で楽しむ！ 最新＆定番ゲーム快適プレイ環境はコレだ!!」、11acももはや標準？ お手頃製品を紹介「5,000円から買える便利アイテム IEEE802.11ac＋1000BASE-T対応無線LANルーター」、そろそろ活躍の季節「大型液晶、無線にNFC……ますます便利に 最新インクジェットプリンタ31選」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY＋の本編「わがままDIY」も掲載だ。

　今号の特別付録は「“CPU進化の系譜”ポスター」。印刷可能なPDF版のダウンロードコードも付属しているので、ラミネートすればお風呂場でもCPUの系譜を堪能できるぞ！

-25年目のPC自作スタンダード-
“PC/AT互換機”の最先端はここにある！

Skylakeの可能性を引き出す
拡張性抜群の小型PC　～省スペース型～

■静音性追求型

Mini-ITXらしいサイズの小型PCに仕立てる

　Enthoo EVOLV ITX Chassisは、拡張性や組み込みのしやすさに優れるPCケースだが、サイズはmicroATX対応のミニタワーケースに近い。机の上に置いて使うには少々厳しいサイズである。

　Mini-ITXプラットフォームなら、もうちょっと小さいPCケースにしたいと考えるユーザーもいるだろう。そこでここでは、基本構成で利用しているパーツをすべて組み込める上に、さらに小型でMini-ITXらしいPCケースに組み換える作例を紹介する。

ディラック
Qbee 03

縦長のコンパクトなキューブタイプケースだ。電源やストレージは下部、マザーボードなどメインパーツは上部に組み込む二段構造を採用。組み込みやすさと拡張性に優れる

　選択したのは、ディラックの「Qbee 03」だ。Mini-ITXらしいコンパクトなサイズながら、高さ18cmまでのCPUクーラーや長さ21cmまでのビデオカードに対応する。基本構成のCPUクーラーは高さ15cmの「Macho 120 Rev.A」、ビデオカードは長さ17cmの「GTX970-DCMOC-4GD5」であり、問題なく組み込める。

　また組み込み作業が非常に簡単なことも、Qbee 03の特徴である。前面パネルは、天板と一体化しており、前面方向に大きく開く構造を採用する。側板も左右に引っ張るだけで取り外せるようになっており、前面を開放するとマザーボード周辺には、支柱や構造物がまったくない状態になる。

背面に12cm角ファンを装備

Mini-ITXらしい小型サイズ

背面に排気方向の12cm角ファンを装備する。構造的に両側面のメッシュから外気を取り込むことになるので、ビデオカードの冷却にも効果的だ

左がEnthoo EVOLV ITX Chassis、右がQbee 03。幅はほぼ同じだが、奥行きは15.5cm、高さは4.7cm、Qbee 03のほうが小さい

　まるでベンチ台のような感覚で組み込めるので、組み込み作業は苦労することなく行なえた。また側板は外気を取り込みやすいメッシュ構造になっている。背面の12cm角ファンやその近くにあるCPUクーラーのファンは排気方向に設置されているため、メッシュからたっぷりと外気を取り込み、CPUやビデオカードを冷却できる。実際、CPU温度やGPU温度は、Enthoo EVOLV ITX Chassisに組み込んだときよりも低くなった。

電源ケーブルは下部で整理

右側面から内部を見た写真だ。余った電源ケーブルは、下部の空いたエリアで整理しよう。上部は空きスペースが少ないので、ケーブルを放置しないようにしたい。背面ファンとCPUファンの距離は近いが、干渉はない

前方に大きく開くボディ

側板を外し、天板と一体化した前面を開いた状態だ。一目で分かるように、マザーボードベースの周辺には何もない状態であり、各パーツの組み込みは非常に楽だった

【さらに小型のMini-ITX対応PCケースや、小型パーツにも注目】

　スタンダードなキューブタイプスタイルを採用するMini-ITX対応PCケースでは、もっと小型のモデルもある。たとえばSilverStoneの「Sugo SG13 SST-SG13」シリーズでは、ATX対応電源ユニットや26.6cmまでのビデオカードに対応する。SHARKOON Technologiesの「SHARK ZONE C10 SHA-C10」でも、長さ31.5cmまでのビデオカードが組み込める。

　ただしこういったケースはCPUクーラーの自由度が低く、複雑な内部構造の採用により組み込みにくいことも多い。組み込み難易度が跳ね上がり、パーツの自由度も狭まるので自作に慣れてから挑戦しよう。

　こうした小型PCケースに組み込む電源ユニットは、セミプラグインで奥行きが短めのタイプがジャマになりにくく、オススメだ。

■SilverStone Technology　Sugo SG13 SST-SG13B-Q

実売価格：7,000円前後

　幅22.2cm、奥行き28.5c m、高さ18.1cmのコンパクトなMini-ITX対応PCケース。

　26.6cmまでのビデオカードに対応するが、CPUクーラーは高さ6.1cmまでだ。

■SHARKOON Technologies　SHARK ZONE C10 SHA-C10

実売価格：7,000円前後

　幅22.5cm、奥行き37cm、高さ18cmのスタンダードなキューブタイプケース。31.5cmまでのビデオカードや、高さ15cmまでのCPUクーラーに対応する。

　最近ではめずらしく5インチベイを装備する。

■サイズ　剛力短2プラグインSPGT2-500P/A

実売価格：9,500円前後

　セミプラグインで、なおかつ奥行きが12.3cmと短いATX対応電源ユニットだ。

　Mini-ITX対応PCケースとの相性は抜群。

[Text by 竹内亮介]