パワレポ連動企画

【PCパーツ100選 2016(17)】PCケース部門 その1

〜この部門の注目点とレコメンド発表発表〜

DOS/V POWER REPORT 2016年2月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年2月号」の総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」を掲載する。

 第17回目ではPCケース部門の解説と、リコメンド受賞製品を紹介する。ほとんどのユーザーにとって、PCケースは一度パーツを組み込んでしまえば、何度も開ける機会は無いと思われるが、他のパーツと比べ頻繁に買い換えるものでも無いため慎重に選びたいところだ。今回紹介する受賞製品はどれも使い勝手に優れたケースばかり。デザインや予算が許せば是非選択肢に入れていただきたい。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年2月号は全国書店、ネット通販にて2015年12月26日(土)に発売。様々な分野のオススメパーツを決定する総力特集をはじめ、ラジエータを置くスペースが必要だけど、かわりにCPUソケット周辺はすっきりする簡易水冷の新製品を紹介!「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」、ゲームで差が付くかもしれない高機能モデルが豊富!「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」、すぐ隣だから30cmあれば十分なあなたや、上の階とつなげるので30mは欲しいというあなたに捧げる「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」など、特別企画も満載。人気の連載記事、橋敏也氏による「橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の付録は豪華二本立て! あの素晴らしいパーツをもう一度「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」と、これから自作を始める方には是非読んでいただきたい「パーツの役割や組み立て手順が分かる!保存版PC自作スタートブック2016」だ。


-PCパーツ100選 2016-
執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!?


構造を工夫してパーツの選択肢をさらに増やす
PCケース部門

 ATX対応PCケースの人気モデルは、昨年に引き続きさまざまな用途に1台で対応できるバランス型だ。さらに今年は、内部構造をある程度自由に変更できる製品が増えた。

 Mini-ITX対応の小型PCケースでは、大型パーツを組み込めるタイプが主流になっている。

バランス型がさらに増加 内部構造の自由化もトレンド

 密閉性の高い構造を採用して基本は静音性重視、しかし各所に搭載するファンマウンタにファンを増設すれば冷却重視型にもできるカメレオンのような「バランス型」は、すっかり市場に定着した。各社ともにバランス型を投入し、価格比較サイトでも常に上位にランクインしている。

 2014年頃から、各種ベイなど内部の構造物をユニット化し、取り外したり、通常とは別の場所に取り付けたりできるようにした製品に注目が集まっている。Fractal Designの「Define R5」やThermaltakeの「Core」シリーズ、Cooler Masterの「MasterCase 5」シリーズがそれにあたる。

 こうした製品では、水冷ラジエータやビデオカードが組み込みやすく、高性能なPCを作りやすい。

 Mini-ITX対応の小型PCケースでも、こうした大型パーツへの対応が進んでいる。それに伴い筐体の大型化も目立つようになり、Mini-ITXらしい超小型ケースは見かけなくなった。microATX対応ケースはMini-ITXのこうした波に飲み込まれたか、注目すべき新製品は少なくなっている。

topic 1 バランス型は定着、そして進化

 前面扉や防音材を貼り付けた側板で内部からの音漏れを防ぐバランス型は、さまざまな用途に対応できることもあって、多くのユーザーから高い支持を受けている。

 また搭載ファンのサイズは14cm角〜 20cm径の大型タイプが主流となり、静音性重視の構成のままでも十分な冷却性能を実現できる製品が登場している。たとえばバランス型の代表例である「Define R5」と、冷却重視型のPCケースでCPU温度やGPU温度を比較しても、それほど大きな違いはない。

音漏れを防ぐ前面扉や側板
内部からの音漏れを防ぐ前面扉や防音加工が施された側板は、バランス型PCケースの標準装備と言ってよい
Define R5と、NZXT の「Noctis 450」と装備がよく似た冷却重視の「H440」で比較してみると、CPU温度やGPU温度にそれほど大きな違いはなかった

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK H97-PRO(Intel H97)
メモリ:CFD 販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:MSI GTX 970 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Intel SSD 335 SSDSC2CT240A4K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
電源:サイズ エナジアプラチナ550W(550W、80PLUS Platinum)
CPUクーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 8.1 Pro 64bit 版
室温:21.9℃
暗騒音:32.4dB
高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLY テストを10分間動作させたときの最大値
各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.26でCPUはCPU TemperaturesのPackage、GPUはGPU Temperaturesの値
動作音測定距離:ケース正面から約20cm、Fan Xpert 3は標準設定

topic 2 内部構造の自由化が進む

 3.5/2.5インチシャドーベイを着脱可能にして、ビデオカード用のスペースを広げられるPCケースは、以前から存在している。最近では、さらに5インチベイも外せるようにして、前面に大型の水冷ラジエータを組み込めるようにしたPCケースが増えた。

 また、外したシャドーベイをある程度自由に再配置できるのも、こうした製品の特徴だ。

各種ベイが取り外せる
3.5/2.5インチシャドーベイだけでなく、5インチベイも取り外せるPCケースが登場している。組み込みたいパーツに合わせて、内部の構造を変更できる

topic 3 大型パーツの対応を強化

 Mini-ITX対応の小型ケースで目立つのは、大型のビデオカードや水冷ラジエータを搭載できるようにした拡張性の高い製品だ。マザーボードの高機能化もあり、Mini-ITX対応プラットフォームでもATXに迫る高性能なPCを組めるようになっている。

 その分筐体サイズは大型化しているが、逆に大型ケースは内部が広いので組み込みがしやすく、作業を手助けしてくれる便利な機構を備える製品も多いので、初心者でもチャレンジしやすくなった。

大型ビデオカードなどもOK
ケーブル接続をラクに行なえる
NCASEの「M1」では、スリムな筐体ながらも30.5cmもの長いビデオカードや、24cmクラスの水冷ラジエータを組み込める
ディラックの「Qbee 03」では、マザーボードベースのまわりがスッキリとした構造を採用しており、パーツの組み込みを簡単に行なえる

PCケース部門の投票結果

 執筆陣の票がもっとも集まった「MasterCase 5」は典型的な冷却重視型で、はやりのバランス型ではない。しかし着脱可能な各種ベイや、最近ではめずらしく専用オプションを多数用意し、機能を拡張できるという点で、今期のトレンドである「自由度の高さ」を象徴する存在と言える。

 Mini-ITX対応PCケースでもっとも得票数が多かったのは「Qbee 03」。ロングセラーとして小型ケースの頂点に君臨した「PC-Q33」のカラバリモデルに近く、使いやすさは同じという点が評価されたのだろう。

 Web投票では「P100 White」や「Define R5」など、定番のロングセラーが強いが、前述のMasterCase 5やどハデな「Core P5」など、先進性や華のある製品も評価されている。

・石川ひさよしはこう見た!
 定番モデルの進化型が多く、動きがやや鈍く感じられる中、NCASEのような新興ブランドの登場は期待できる。

・鈴木雅暢はこう見た!
 5インチベイがないモデルの増加に危機感。光学ドライブはまだしも、カードリーダーなどが使えないのはどうか。

PCケース部門 レコメンド受賞製品

Cooler Master Technology
MasterCase 5

実売価格:17,000円前後
各部品を着脱して最適なレイアウトを構築できる

ATX / 冷却重視 / 裏面配線
シャドーベイは移動可能
5インチベイも取り外し可能
天板も外せる構造
前面近くに多数のネジ穴が設けてあり、取り外した3.5/2.5インチシャドーベイを自由な位置に再配置できる
3.5/2.5インチシャドーベイだけでなく、5インチベイも取り外せるようになっており、前面に28cmクラスの大型ラジエータを装備できる。こうした内部構造の自由度が、MasterCase 5シリーズの最大の魅力
天板は上部からネジ止めされており、これも取り外しが可能だ。天板へのファンの増設はこの取り外した天板に対して行なう
仕切り板で2ブロックに分かれる
電源ユニットを組み込み、各種ケーブルを整理する下部スペースと、マザーボードなどメインパーツを組み込む上部スペースで内部が仕切られている。ビデオカードの長さは最大で41.2cm

 パーツを組み込みやすくするために内部構造を工夫する、という考えをさらに一歩推し進め、PCケースのレイアウト自体を自由にユーザーがデザインできるようにするという「FreeFormモジュラーシステム」を採用する新発想のPCケースだ。

 従来のPCケースだと、各種ベイは基本的に固定配置で、取り外したりはできない。しかしMasterCase 5では、3.5/2.5インチシャドーベイのほか、5インチベイも取り外せる。これらのベイを取り外すと、前面は広く空いたスペースになる。大型の水冷ラジエータを組み込んだり、前面ファンを追加してエアフローを強化したりできるようになる。もちろん大型のビデオカードを組み込むためのスペースとして使ってもよい。ファンを固定する位置の自由度も高く、最適なエアフローを構築したいコダワリのユーザーにも向いている。

 もう一つおもしろいのが、専用の3.5/2.5インチシャドーベイユニットや、天板に水冷ラジエータを組み込むためのオプションパーツなどを用意しており、PCケースの機能自体を拡張できることだ。標準状態でもかなりの拡張性があるのだが、こうしたオプションパーツの存在は、長く使い続けていく際の安心感にもつながる。

Specification
●カラー:メタリックダークグレイ●付属電源:なし●ベイ:5インチ×2、3.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×4●標準搭載ファン:14cm角×1(前面)、14cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×2(前面)、12cm角×1(前面、14cm角×1と排他)、12cm角×1(背面、14cm角×1と排他)、14/12cm角×2(天板)●本体サイズ(W×D×H):235×548×512mm●重量:約10.6kg

【編集長から】

 Cooler Masterはバランス型では出遅れましたが、今期のトレンド「構成の自由度」では一躍リーダーとなりました。たくさん組み込む、冷やす、見せる、など、何でもできるだけにユーザーの技量も問われます。

 所有するだけで終わってほしくないパーツです。


ディラック
Qbee 03

実売価格:14,000円前後
まるでテスト台のような感覚で簡単に組み込める

Mini-ITX / 冷却重視 / −
マザーボードベースまわりはスッキリ
側板はメッシュ構造
前面にファンを搭載可能
天板と前面パネルが一体化しており、前面側に大きく開く構造を採用する。マザーボードベースのまわりには何も構造物がないため、各種ケーブル接続が非常に簡単に行なえる
両側板はメッシュ構造になっている。背面に排気方向で12cm角ファンを搭載する
前面の固定穴には、3.5インチのHDDや2.5インチSSDのほか、12cm角ファンを増設できる
上下2段に分かれた構造
電源ユニットやストレージを組み込む下部と、マザーボードやビデオカードを組み込む上部が、マザーボードベースで仕切られた2段構造を採用する

 一般的なMini-ITX対応PCケースは小型で置き場所に困らないが、内部が狭く、組み込み作業の難易度が高いという難点を抱える。しかしこのQbee 03では非常にユニークな機構により、こうした難点を解消する。

 Qbee 03では前面と天板が一体化しており、前面方向に大きく開く構造を採用する。開いた状態だと、マザーボードベースのまわりは支柱やフレームがない状態になっており、まるでテスト台のような感覚で組み込み作業が行なえる。

 大型のCPUクーラーを組み込んだままでもマザーボードを簡単に取り付けられるし、ケーブル接続や整理なども容易だ。数あるMini-ITX対応PCケースの中でも、屈指の組みやすさを誇る。こうした構造は、メンテナンスのしやすさにも影響する。

 背面には12cm角の排気ファンを搭載し、メッシュ構造の両側板から取り込んだ外気でビデオカードやCPUを冷却できる。シンプルな構造ながらも、冷却性能は、よりサイズの大きなファンを搭載する大型のATX対応PCケースに勝るとも劣らない。

 組みやすさと冷却性能に優れ、欠点らしい欠点が見当たらない、Mini-ITX対応PCケースの決定版とも言える製品である。

Specification
●カラー:ホワイト、ナイトブラック、ミントブルー●付属電源:なし●ベイ:3.5インチシャドー×1、3.5/2.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×1●標準搭載ファン:12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:12cm角×1(前面、3.5/2.5インチシャドー×1と排他)●本体サイズ(W× D × H):229×240×328mm●重量:2.5kg

【編集長から】

 PC-Q33との違いは、本製品では冷却強化のために前部側面にスリットを設けたことと、12cm角の前面ファンを搭載可能としたことです。

 高性能CPU、ビデオカードとの相性がよくなっており、PC-Q33がリードした高性能小型PC自作をさらに推し進めています。


Fractal Design
Define R5

実売価格:15,000円前後
あらゆる用途に対応、内部構成の自由度も高い

ATX / 静音性重視 / 裏面配線

 前面扉や防音シート付きの側板など基本は静音性重視だが、各所にファンを増設すれば冷却重視型にも変更できる「バランス型」の頂点に立つ優れたPCケースだ。2014年に発売されたモデルだが、いまだ人気に衰えは見られず、価格比較サイトでも常に上位にランクしている。

 最近は5インチベイやシャドーベイが取り外し可能で、大型の水冷ラジエータを組み込める自由度を高めた製品が増えているが、こうした自由度の高い内部構造を採用したのも、ミドルタワーではDefine R5が初めてだ。

Specification
●カラー:ブラック、ホワイト、チタニウム●付属電源:なし●ベイ:5インチ×2、3.5/2.5インチシャドー×8、2.5インチシャドー×2●標準搭載ファン:14cm角×1(前面)、14cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×1( 前面)、12cm角×1( 前面、14cm角×1と排他)、12cm角×1( 背面、14cm角×1と排他)、14/12cm角×3(天板)、14/12cm角×2(底面)、14/12cm角×1(側面)●本体サイズ(W×D×H):232×531×462mm●重量:11.2kg

【選定のポイント】

●静音PC向けのケースでは定番中の定番
●本格水冷を導入したくなっても大丈夫


Phanteks
Enthoo EVOLV ITX Chassis

実売価格:15,000円前後
20cm径ファン搭載、大型パーツも収納できる

Mini-ITX / 冷却重視 / 裏面配線

 20cm径の超大型ファンを前面に搭載するPCケースだ。サイズはミニタワークラスだが、その分パーツの収容能力は高い。

 CPUクーラーは高さ20cmまで、ビデオカードは長さ33cmまでのものを搭載できる。天板には28cmクラスの水冷ラジエータを装備可能な着脱式のプレートを用意しており、めんどうな水冷ユニットの組み込み作業をPCケースの外で行なえる。マザーボード裏面のケーブル配線は、最初から面ファスナーである程度まとめ済みであることなど、組み込みをしやすくするさまざまな配慮も魅力の一つだ。

Specification
●カラー:ブラック+ウィンドウ、ブラック、ホワイト、レッド●付属電源:なし●ベイ:3.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×1●標準搭載ファン:20cm径×1(前面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×2(前面、20cm径×1と排他)、14/12cm角×1(背面)、14/12cm角×2(天板)●本体サイズ(W× D× H):230×395×375mm●重量:5.4kg

【選定のポイント】

●小型だが強力なゲームPCを作りやすい
●パーツの組みやすさに細かな配慮


【問い合わせ先】

Cooler Master Technology:03-5215-5650(アスク)/ http://www.coolermaster.co.jp/
ディラック:03-5298-3880 /http://www.dirac.co.jp/
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/ http://www.fractal-design.jp/
Phanteks:info@itc-web.jp(アイティーシー)/ http://www.phanteks.com/


[Text by 竹内亮介]


DOS/V POWER REPORT 2016年2月号は2015年12月26日(土)発売】

★総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」
★特別企画「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆ 「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」「パーツの役割や組み立て手順が分かる! 保存版PC 自作スタートブック 2016」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)