パワレポ連動企画

組み立て時のトラブルと対策

[小型PC徹底紹介(16)]

DOS/V POWER REPORT 6月号

 自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新6月号の特集記事、「小型PCの正解はどっち? Mini-ITX vs microATX」をまるごと掲載する当企画の16回目は、小型PCを組み立てる際のトラブルと対策を紹介。

 Mini-ITXなどの小型ケースでPCを組むときに遭遇しやすいトラブルと、解決方法をまとめる。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 6月号は現在発売中。40ページにもわたる今特集に加え、「Windows XPからの正しい引っ越し手順」の特集などが組まれているほか、Windows 8.1対応ストアアプリ対応辞典が特別付録小冊子として用意されている。


- DOS/V POWER REPORT 2014年6月号 Special Edition -


組み立て時にありがちなトラブルと対策

 Mini-ITXなどの小型ケースでPCを組むときに遭遇しやすいトラブルと、解決方法をまとめてみた。ケースの構造と、ケーブル整理の重要性を理解すれば、小型PC自作のトラブルは解決しやすい。

途中で組み込み作業が進められなくなった!

ムリに進めずケースの構造を再チェック
組み込み途中のパーツやケースの各部品をすべて外した上で、ケース内部の構造をよくチェックしてみよう。この部分にこのパーツを組み込むとココが隠れる、というように、構造を理解すれば組み立て作業で迷うことも少なくなる

 小型PCの組み立ては、途中で作業がどうやっても進められなくなることがある。Mini-ITXなどの小型ケースはコンパクトだが内部が狭く、パーツの取り付け順を間違えるとケーブルを挿すためのコネクタなどに手が届かなくなってしまう。こういったトラブルは、パーツの取り付け順が厳密ではないタワー型ATXケースではあまり発生しないものであり、小型PCの自作が難しいとされるゆえんの一つでもある。

 そんなときは、各パーツをケースから全部取り外し、さらにケース自体も極力分解してから作業をやり直そう。中途半端に手順を戻して狭い場所にむりやり手を突っ込むと、細いピンが折れたり、手をケガしたりすることもあるからだ。

パーツの組み込み手順を確認する
 右のチャートは、一般的な構造のキューブタイプにおける、パーツの組み立て手順を整理したもの。電源やドライブベイ位置の違いはあるが、基本構造が同じなら、ほかのケースでも参考になるだろう。また、マニュアルに詳細な組み立て順序が記載されていることも多いので、最初に目を通しておくとよい。

 また、ケースを完全にバラすことにより、内部構造もよく見えてくる。キューブタイプケースでは、マザーボードと電源ユニット、光学ドライブなどが縦に積み重なるような構造が多い。この場合、上のパーツを先に組み込むと、下のパーツは見えなくなってしまい、冒頭に述べたような「先に進めなくなるトラブル」が発生してしまう。そのため、下に配置されることが多いマザーボードへの結線は、電源ユニットや光学ドライブを取り付ける前に行なうなど、構造に合わせた手順でパーツの組み込み作業を行なう必要がある。

ケーブルが届かない、コネクタが足りない!

【届かないときは延長ケーブルの出番】
アイネックス EPS12V用電源延長ケーブル PX-004
実売価格:1,000円前後
PCケースにマザーボードを組み込む前に、延長ケーブルをマザーボードのATX/EPS 12Vコネクタに挿しておく
【作業しやすい場所で楽々接続】
延長ケーブルでコネクタを広い場所に引っ張り出しておけば、電源ユニットからのATX/EPS12Vコネクタの接続を楽に行なえる

 Mini-ITXなどの小型PCでは、各種スロットやコネクタが密集しており、大型CPUクーラーなど、使うパーツによってはコネクタに手が届かなくなってしまうことがる。これを解決するには、延長ケーブルを使おう。

 とくにCPUソケット付近に配置されているATX/EPS12Vコネクタは、隠れやすいコネクタの一つなので、延長ケーブルを用意しておくと組み立てが楽になる。

足りないなら増やして解決
アイネックス ファン用二股電源ケーブル WA-084A
実売価格:500円前後
これはケースファン用の3ピンコネクタを二つに分岐するケーブルだ。二つのファンをマザーボードから制御できる
タイムリー FAN用電源変換ケーブル(4分岐)GN-PW013F
実売価格:500円前後
これはペリフェラルコネクタをファン用コネクタに変換するケーブル。多数のファンを接続するなら、こちらがオススメだ

 また、小型のマザーボードは、ファン用電源コネクタの数が少ない。そのため複数のケースファンを装備するケースを使う場合、ファン用電源コネクタが足りなくなることがあるので、分岐ケーブルや変換ケーブルを用意して問題を解決しよう。とくに3基以上のファンを接続するなら、ペリフェラル4ピンかSerial ATA電源コネクタをファン用に変換するタイプを使うのが望ましい。

短いケーブルを使ったりケーブルの数を減らしたり
アイネックス シリアルATAラウンドケーブル(30cm)SATR-3003BK
実売価格:800円前後
マザー付属のSerialATAケーブルの長さは約50cm。市販のケーブルは10~30cmと短く、取り回しがしやすい製品もある
SilverStone SFX SST-ST45SF-G
実売価格:11,000円前後
プラグインタイプの電源を使えばケーブル自体を減らすことができる

 ケーブルが長過ぎたり、多過ぎたりするのもトラブルの要因だ。Serial ATAケーブルは、あらかじめ短めのタイプを用意しておくと便利だ。また、電源ユニットは必要なケーブルを選択できるプラグインタイプがオススメ。さらに各種電源コネクタに対応する延長ケーブルや変換ケーブルを使い、電源ユニットから引き出すケーブルの本数を少なくするのも有効なテクニックだ。

組み立てに便利な変換・延長ケーブル

 上に紹介したもののほかにも、あると便利な変換・分岐ケーブルは多い。HDDが多い構成やファンコントローラの電源供給用など、地味に役に立つ。

アイネックス 電源変換ケーブル SA-047 実売価格:500円前後
Serial ATA電源コネクタを、ファンコントローラ向けにペリフェラルコネクタに変換するアダプタ
アイネックス コネクタ簡単脱着ケーブル EX-004 実売価格:500円前後
ピンヘッダコネクタをまとめて脱着できる延長ケーブル。役割はASUSTeK製マザー付属のQ-connectorに近い
アイネックス SATA用電源3分岐ケーブル S3-1504SAL 実売価格:1,000円前後
3台のSerial ATAドライブに対応した電源分岐ケーブル。コネクタ間のケーブルの遊びが短いのでジャマになりにくい

電源をONにしたら何かがこすれているような音が!

ファンのまわりを確認しよう

 組み立て作業は終了したが、CPUファンやケースファンの周囲のケーブル類をしっかり整理しなかったために、ケーブルがケースファンやCPUファンと接触し、ひどい音が発せられたというのも、ありがちなトラブルだ。内部が狭くて裏面配線に対応せず、必要のないケーブルを空きスペースに逃がせない小型ケースではめずらしいことではない。このトラブルには「特効薬」はないので、地道にケーブルを整理していくしかない。

ケーブルをフレームにまとめる、隠す

 ケーブル整理に使うのは、ケーブルタイと余った部分を切り落とすためのニッパー。ケーブルをまとめるための支えは、ケースのフレームを活用するとよい。フレーム側にケーブルを寄せて整理することで、ケーブルの束を、CPUファンやケースファンから離すことができる。最近ではフレームにケーブルタイを通す穴を設けたケースも多い。

 また、小型ケースではケーブル整理をATXケースのように、最後にまとめてやるというのはオススメできない。組み込み途中で適宜行なうようにしよう。と言うのも、ケースによって「ここは必ずまとめておきたい」というポイントがあるのだが、シャドーベイなどの部品を装着すると、そうした重要ポイントが見えなくなったり、手が届かなくなったりしてしまうことがあるからだ。

SFX電源やACアダプタ電源を使えば組み込み難易度が下がる

 狭い小型PCケース内では、ATX電源ユニットはかなりの容積を占める。そこで、もっと小型の電源ユニットを使えば、各部に手が届きやすくなり、ケーブル整理や組み込み作業もしやすくなる。とくにオススメなのが、ATX対応電源ユニットの代わりに、ACアダプタ電源を組み込むプランだ。

 下の写真を見ても分かるように、電源がPCケース内部に占める容積は劇的に少なくなり、余裕を持って組み込み作業が行なえるようになるわけだ。

 Mini-ITXマザーのレイアウトには、大きく分けると、「ATXマザーボード準拠のもの」、「ATXマザーボード準拠だがCPUソケットが右寄りに搭載されているもの」、「チップセット、Serial ATAポートをCPUソケットの右側に搭載するもの」、「メモリスロットが拡張スロットの反対側に平行に搭載されているもの」の4種類がある。

【ATX電源】
Elite 110 CubeにATX電源を組み込んだ写真だ。体感的には内部スペースの半分以上が電源ユニットで占められているような印象だ
【SFX電源】
SFX電源を使うと、かなり空間に余裕が生まれ、作業性が大幅にアップ。エアフローの向上による冷却性能アップも期待できる
【ACアダプタ電源】
ACアダプタ電源にすると、驚くほど内部に余裕ができた。CPUクーラー用のスペースも広がり、大型クーラーの導入も視野に入る
【電源を外付けに】
センチュリーの「ATX電源活して外付け」を使えば、電源ユニット自体を外付けにできるため、さらに余裕が生まれる。実売価格は3,000円前後

[Text by 竹内亮介]



DOS/V POWER REPORT 6月号発売中】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)