買ってみたらこうだった!

純正以外では唯一のSocket AM1用CPUクーラー「MeOrb II」をテスト

MeOrb II(CL-P004-AL08BL)

 どーも、千葉県の瀬文茶です。さて、今回は、Socket AM1に対応する初のサードパーティー製CPUクーラーとして発売前から注目を集めていた、Thermaltake MeOrb II を買ってみました。購入金額は税込3,218円。

実は日本向けモデルのみがSocket AM1対応の特別仕様

記事執筆時点で、Socket AM1をサポートする唯一のサードパーティー製CPUクーラー。
Socket AM1用のリテンションキットとマニュアルは別包装で用意されています。

 Thermaltake MeOrb IIは、放熱フィンを放射状に配置した円形状のレイアウトが特徴的な小型CPUクーラーです。

 全高35mmのローハイト設計で、TDP 65WまでのCPUに対応するMeOrb IIは、典型的な小型トップフローCPUクーラーなのですが、前述のとおり、AMDがデスクトップ向けKabiniのために用意した新ソケット、Socket AM1に対応するという、記事執筆時点で他の製品には無い特徴を有しています。

 ちなみに、このSocket AM1への対応は、日本市場向けに出荷されるMeOrb II限定の仕様。実際、Thermaltakeのグローバルサイトでは、MeOrb IIの対応ソケット一覧にSocket AM1の文字は見当たりません。

めっき処理により色が統一され、上品に仕上がったヒートシンク。中央部の80mmファンは1500〜2500rpm動作のPWM制御対応ファン。
ベースユニット。ヒートパイプダイレクトタッチ方式を採用しており、ヒートパイプが直接CPUに接地して受熱します。
ヒートパイプは円形状に加工されており、その両端がベースユニットでCPUに接触する仕様となっています。
Socket AM1用の純正クーラー。50mm角ファンを搭載し、固定方法にはプッシュピンを採用。
純正クーラーとMeOrb IIの比較。リテンション部を除くと55mm四方の純正クーラーと比べると、92mm×84mmのMeOrb IIが大きく見えます。
純正クーラーとの高さ比較。純正クーラーはファン込みで39.6mm(実測)なので、MeOrb IIの方が4.6mmほど全高が低いことになります。
マザーボードに取り付けたMeOrb II。この方向以外ではメモリスロットと接触するため取り付け不可。
 MeOrb IIのSocket AM1用のリテンションは、基板裏面からナットで固定する方式。取り付けにはマイナスドライバーが必要。

 MeOrb IIのヒートシンクは、1本の6mm系ヒートパイプを円形状に加工し、その両端をベースユニットに配置してCPUの熱を受け取る設計を採用。ベースユニットは所謂ヒートパイプダイレクトタッチ仕様となっており、ヒートパイプが直接受け取ったCPUの熱を、円形状のヒートパイプに沿って配置された放熱フィンへ伝え、ヒートシンク中央に配置された80mm径ファンによって放熱するという構造になっています。


純正ファンよりローハイトなMeOrb IIの実力は?

 さて、それでは実際にSocket AM1にMeOrb IIを搭載した場合の冷却能力について紹介します。今回、MeOrb IIのテストを行うにあたり、Socket AM1向けAPUの最上位モデル「Athlon 5350」(2.05GHz、TDP 25W)と、ASUS製マザーボード「AM1I-A」を用意しました。

Socket AM1向けAPUの最上位モデル「Athlon 5350」。TDPは25W。
テスト環境。マザーボードにはASUSのMini-ITXマザーボード「AM1I-A」を利用。
ファン制御ソフト「Fan Xpert」。制御設定を0%にすると、MeOrb IIのファンを完全に停止させることが可能でした。※なお、ファンの自動調整を実行すると、ファンの回転を止める調整ができなくなるので要注意。

 各CPUクーラーの結果をグラフにまとめたものが以下のグラフです。室温28.0±0.5℃の環境下で、負荷テストを20分連続実行した際のCPU温度をロード時、負荷テスト停止後10分間放置した際のCPU温度をアイドル時とし、純正クーラーとMeOrb IIのパフォーマンスを比較しています。

 なお、グラフ中でCPU温度が室温(28.0±0.5℃)を大きく下回っているものがありますが、通常の空冷クーラーは放熱器であるため、気温より低い温度に冷却することはできません。これはソフトウェア読みのズレであるとお考えください。今回のSocket AM1環境は極端に実温度からズレていますが、どの環境においても、モニタリングソフトが表示する温度が実際の温度と同じであるという保証はありません。あくまで相対的にAよりBがどの程度冷えているという程度のスコア的なものに過ぎないことをご理解いただければと思います。

・テスト環境
APU AMD Athlon 5350 マザーボード ASUS AM1I-A メモリ DDR3-1600 4GB×2枚 ※ケース無し
温度測定 HWMonitor 1.25(CPU Package) 負荷テスト Prime 95 28.5 (Small FFTs) 室温 28.0±0.5℃

 MeOrb IIは、設定可能だった回転数の下限である700rpm動作時で既に純正クーラーと並ぶパフォーマンスを発揮し、回転数を上げるとさらに冷えるというTDP 65W対応クーラーらしく余裕のある冷却能力を示しています。なお、ファンを停止させた際の結果については、CPU温度が65℃に達した際、熱保護機能によるCPUのクロック低下が確認されたため、記録はNGとしてあります。

 動作音は、MeOrb IIのスペック上での回転数下限である1,500rpm付近までは静かと言って差し支えないのですが、さらに回転数を上げてしまうと風切り音が大きくなってしまいます。Socket AM1向けのCPUクーラーとしては、冷却性能にかなりの余裕があるので、可能な限り回転数を落とす方向で運用したいところです。


「CPUクーラーにこだわりたいSocket AM1ユーザー」にお勧めの逸品

 3,200円前後で買えるMeOrb IIですが、大変安価にパーツが揃うSocket AM1プラットフォームにおいて、MeOrb IIが全体のコストに占める割合はかなり大きなものになります。実のところ、Socket AM1の純正クーラーは、TDP 25WのKabiniを十分静かに冷却できるだけのパフォーマンスを持っているので、MeOrb IIを購入するなら、コストに見合う純正クーラー以上の何かを期待することになります。

 「純正クーラー以上の何か」として思い当たることと言えば、純正クーラーより5mm弱低いローハイト仕様と、純正クーラーのプッシュピンより取り付けやすいリテンションキット。そして、無骨な純正クーラーより上品なルックスと言ったところでしょう。マザーボードのファン制御ソフトが充実していれば、TDP 65W対応の冷却能力の余力を生かしたセミファンレス動作を狙ってみても面白いかもしれません。

 全てのSocket AM1ユーザーにお勧めできる逸品……とまでは行かないMeOrb IIですが、ヒートシンクにこだわりのあるSocket AM1ユーザー諸氏には、ぜひ使っていただきたい一品です。

(瀬文茶)