買ってみたらこうだった!
Core i7-4770SのOC機能を検証、Kモデル以外でもOCは可能?
(2013/10/1 15:00)
ちょっと試してみたいことがあったので、「Intel Core i7-4770S」を購入しました。
今年6月に発売されたHaswellこと第4世代Intel Core プロセッサーの上位製品で、モデルナンバーに「S」のサフィックスを付与された、TDP 65Wの4コア8スレッドCPUです。購入時の価格は33,800円でした。
Haswell世代のCPUは“K無しモデル”でもオーバークロックができるのか?
さて、Intel Core i7-4770Sを買って試したかった事というのは、Haswell発売の前から噂されていた「Haswell世代のCPUでは、ベースクロックのオーバークロック(OC)が可能になる」と言う情報についての検証です。
Sandy Bridge以降のメインストリーム向けCPUは、ベースクロックが上げ難い仕様となっているため、CPU倍率の上方変更が可能なKモデル以外でのオーバークロックが困難になっていました。
それがもし、Haswellでベースクロックのオーバークロックが可能になったのであれば、Kモデル以外でのオーバークロックが期待できます。
そこで今回は、購入したIntel Core i7-4770Sと、GIGABYTE製のIntel Z87 Expressチップセット搭載マザーボード「GA-Z87X-OC」を使って、Haswell世代のCPUでベースクロックがオーバークロックできるようになったのか、それはK無しモデルでも可能なのかをチェックしてみたいと思います。
アンロックモデル「Intel Core i7-4770K」の設定項目をチェック
Intel Core i7-4770Sを試す前に、”アンロック”モデルである「Intel Core i7-4770K」では、どのようにベースクロックを設定できるのか、BIOS項目をチェックしてみました。
右の画像が、Intel Core i7-4770Kを搭載した「GA-Z87X-OC」のBIOS画面なのですが、ベースクロックの設定項目である「CPU Base Clock」の下に、
・「Host/PCIe Clock Frequency」
・「Processor Base Clock(Gear Ratio)」
・「Host Clock Value」
という項目が用意されています。
このうち、「Processor Base Clock(Gear Ratio)」こそが、Haswell世代のCPUでベースクロックをオーバークロックするにあたって最も重要な項目で、Intel Core i7-4770Kには3つの倍率(1.25倍、1.66倍、2.50倍)が用意されています。
「Processor Base Clock(Gear Ratio)」は、ベースクロックを設定すると最適な倍率が反映される仕様となっており、ベースクロックを125MHz、167MHz、250MHzに設定すると、通常はベースクロックと連動している「Host/PCIe Clock Frequency」を約100MHzに抑えることができます。
ベースクロックに倍率を掛けて引き上げる機能と考えれば理解しやすい「Processor Base Clock(Gear Ratio)」ですが、動作の実態としては、ベースクロックをオーバークロックする際に足枷となるPCI Expressなどを、定格相当のクロックに引き下げるための機能と言った方が適切なようです。
この機能があるからと言って、ベースクロックを166MHzや250MHzにOCして動作できるという訳ではありませんが、Ivy BridgeやSandy Bridgeよりも高いベースクロックでの動作が可能となっています。
Intel Core i7-4770SのベースクロックOCは…
さて、それでは非アンロックモデルであるIntel Core i7-4770Sの設定項目をチェックしてみます。
Intel Core i7-4770Kで、ベースクロックを125MHzに引き上げても動作が可能だったことから、期待に胸を膨らませつつCPUを交換してみたのですが…
右の画像の通り、Intel Core i7-4770K搭載時のBIOS上では、「Host/PCIe Clock Frequency」と「Processor Base Clock(Gear Ratio)」が表示されていません。
試しにベースクロックを125MHzに設定してみましたが、起動に失敗してしまいました。どうやら、Intel Core i7-4770Sでは「Processor Base Clock(Gear Ratio)」が機能していないようです。
Intel Core i7-4770Sが、ベースクロックを全く上げられない訳では無いのですが、手持ちの個体ですんなり動作するのは104MHzまででした。
「Processor Base Clock(Gear Ratio)」が利用できないHaswellは、Ivy BridgeやSandy Bridgeと同じように、ベースクロックのオーバークロックが困難なCPUのようです。
HaswellでもK無しモデルのオーバークロックは難しいまま
発売前の噂通り、確かにHaswellではベースクロックをオーバークロックするための手段は用意されています。ただし、現状でそれを利用できるのはKモデルに限られているようです。
なお、Intel Core i7-4770Sでは、Turbo Boost時の倍率にいついても、スペック以上の数値を設定は不可能となっています。「Turbo Boost倍率+4倍」の設定が可能だったIvy Bridge世代のCPUより、むしろ制限が厳しくなっています。
ベースクロックのオーバークロックに期待した方には残念な結果かもしれませんが、Haswell世代のCPUをオーバークロックしたいのであれば、Kモデルを選ぶ他無さそうです。