借りてみたらこうだった!
DDR4だけで21種類、力入れまくりのG.SKILLによる
超レアメモリ「DDR4-3200」を借りてみた
2014年12月3日 12:05
今回のミニレビューでお借りしたのは、G.SKILLのDDR4メモリ。
同社はDDR4メモリに力を入れているそうで、Haswell-Eの標準であるDDR4-2133だけでもOC版/バリュー版の2種類を用意しているほか、「ちょっとOC」のDDR4-2400、「そこそこOC」のDDR4-2666や2800、「もの凄くOC」のDDR4-3000、そして「超レア」といえるDDR4-3200と多数のOCモデルを用意。OCモデルについてはブラック/レッド/ブルーのカラーを選べるという凝りよう。
容量的にも4GB×4=16GBセットや8GB×4の32GBセットがあり、国内で売られているだけでも21種類もの製品種類が存在。まさに「上から下まで」という表現がぴったりだ。
さて、そんな同社からお借りしたのは「DDR4-3200」品、つまり現在の国内最速モデルにあたる。型番は“F4-3200C16Q-16GRK”で、OC向けヒートシンクを標準装備、さらにメモリクーラーまで付属する「超」ハイエンド製品だ。
フルラインナップを誇る同社製品の使用感を、今回の製品を通じて探っていきたい。
ちなみに、こういったウルトラハイエンド製品のテストというのは、個人的にもかなり心が躍る。「超レア」クラスのDDR4-3200は、生産数も少なく、貴重な製品だが、壊さない程度にそのパフォーマンスをチェックしてみたい。
「DDR4-3200」という爆速スペックのハイエンドOCメモリ
まずは、“F4-3200C16Q-16GRK”の基本的なスペックをチェックしてみよう。
本製品は、DDR4-3200(PC4-25600)対応のクアッドチャンネルキットで、レイテンシはCL16-16-16-36。動作電圧は1.35Vとなっている。ちなみに、DDR4の定格クロックはDDR4-2133で、これまでの高速なOCメモリはDDR4-2666~3000クラスの製品が多かった。これまでの最速品のクロックを200MHzも上回ってきたのだから、かなりインパクトがある製品だ。
本体にはブラックのヒートスプレッダが装着されている。端子の下端からヒートスプレッダの上端までの長さは39mm。若干高さがあるので、大型の空冷クーラーを取り付けると干渉する場合があるかもしれない。
それでは早速開封してみよう。
XMP設定での動作確認から、軽いOCまでテスト
まずは、XMP設定をロードして動作チェックを行った。
こうしたハイクロック品では、実は「XMP設定で起動できない」という、トラブルがありがちなのだが、そうしたこともなく、DDR4-3200で起動した。「当たり前」といえばそうなのだが、ピーキーなチューニングをしたくなる製品だけに「当たり前」が普通に動くことは重要だ。
【検証環境】 |
---|
CPU:Intel Core i7-5960X(3GHz) |
マザーボード:ASUSTeK RAMPAGE Ⅴ EXTREME(Intel X99) |
CPUクーラー:CORSAIR H90(簡易水冷、14cm角ファン×1) |
電源:Cooler Master V1200 Platinum(1200W、80PLUS Platinum) |
OS:Windows 7 Ultimate SP1 64bit |
また、メモリの「オーバークロックのしやすさ」は発熱の少なさと連動していることが多い。DDR3のハイエンドOCメモリでは、定格でも熱くなる個体があったため、今回の製品ではどうなのか、3DMark Fire StrikeのPhysics Test(CPU Test)を実行して負荷を掛けてみた。10回連続で実行した後に、メモリ本体を指で触ってみたが、発熱はほとんどなく、ひと肌よりも冷たいくらいだった。
OCメモリ=熱いというイメージがあるが、DDR4のOCメモリは動作電圧が1.25V~1.35Vと低いため、DDR3のOCメモリよりも発熱が少ない印象だ。
さて、XMP設定は、(OC設定とはいえ)かなり余裕を持たせた「安定性重視」のアクセスタイミング設定になっているので、手動設定でさらなるパフォーマンスを引き出してみた。
ちなみに今回、「パフォーマンスを引き出す」のにメモリクロックを上げることはしなかった。というのも、筆者の得ている情報では、現在のDDR4メモリチップで総合的な高速性を引き出せるレンジが、DDR4-3000~3200の間のようだからだ。このレンジを超えてしまうと、アクセスタイミングをかなりルーズに設定しないと動作しなくなるので、逆にベンチマークなどのパフォーマンスは低下してしまうのだ。
今回試したアクセスタイミングはCL12-14-15-15で、メモリ電圧は1.65Vまで昇圧している。この設定をDDR4-3000~3200の間でクリアできることが、筆者の考える「良いメモリ」の条件だ。そして、DDR4-3200に近ければ近いほど、より「良いメモリ」と判断している。
DDR4メモリは、OC設定が原因で不安定になり、起動が遅くなることが多々あるのだが、そういったトラブルもなくスムーズにOS起動に成功。そのまま、3DMark Fire StrikeのPhysics Testもクリアできた。動作が安定しているので、限界はまだまだ先にあるようだ。
最後に、XMP設定と手動設定でパフォーマンス差がどれ程出るのかを比較してみた。使用したベンチマークは、3DMark Fire StrikeのPhysics Test。メモリの実力がより活かせるよう、CPUとリングバスのクロックを4.5GHzにOCしてテストしている。
ちなみに、メモリ以外の設定に関してだが、Haswell-Eは、CPUとリングバスのクロックが定格のままだと、タイトなメモリOCの設定が通りやすいという性質がある。そのため、CPUとリングバスのクロックを4.5GHzにOCして、メモリに厳しい状態でテストを行った。
結果の方は、XMP設定時のスコアが21,183ポイントだったのに対し、アクセスタイミングがタイトな手動設定は21,403ポイントを記録。違いは220ポイントで、概ね1%の性能向上だ。「たった1%」ととる向きもあると思うが、その「たった1%」が勝負を分ける場合もあるので、ベンチマーカーとしては決して無視できない変化だ。DDR4-3200 CL16という現行最速クラスのスペックを誇りながら、チューニングによる性能向上の余地がまだ残されているのだから、色々と夢の広がる製品だと思う。
素直で扱いやすいハイエンドOCメモリ
今回テストした“F4-3200C16Q-16GRK”は、非常に高い安定性とOC耐性を持っていた。
高クロックなハイエンドメモリは、定格通りに動作させるのが難しいピーキーな製品が多いのだが、本製品はXMPを利用すれば簡単に動作させられる。OC耐性の高さも素晴らしく、上級者にとっては設定調整のやり甲斐がある製品だと思う。ただ、ここまでの高クロックを低電圧で達成できるICが少ないからか、生産数が少なく、入手に関しては困難が多そうだ。
ちなみに、オーバークロッカーとしての個人的な思いで言えば、「ここまで高性能なOCメモリのパフォーマンスは、常用環境でフルに使い切るのは難しいのではないか……」とさえ感じたのが今回の製品だ。今回は短時間でのテストだったが、調整に調整を重ねるほど味が出る印象で、しかも、記録を出すためのピーキーな設定にもついてきそう。ベンチマークでスコアを競う場合にはアドバンテージになることがあるので、1ポイントを競い合っているオーバークロッカーからしたら、喉から手が出る程に欲しいメモリだと思う。ちなみに筆者もその一人なのだけど(笑)
また、そうした意味からも同社製品がフルラインナップ揃っているのは興味深い。DDR4-2133~DDR4-3000クラスであれば入手性も問題ないため、求める性能や自分のスキル、そして予算にあわせて適切なメモリを購入できる、というのがポイントになるだろう。
バックナンバー
- 借りてみたらこうだった!バックナンバー
- http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/mreview/rental/