借りてみたらこうだった!
Skylake対応のベアボーンキット「Shuttle SH170R6」を試す
省電力性にも優れたしっかり冷える自作キット text by 瀬文茶
2015年10月12日 00:00
今回は、Skylake世代に対応したShuttleのキューブ型ベアボーンキット「Shuttle SH170R6」をお借りしました。
H170チップセットを搭載したモデルで、Shuttle製ベアボーンキットのLGA1151対応モデルとしてはこれが一製品目になります。
Skylake対応のShuttle製キューブ型ベアボーンキット、H170チップセット搭載
Shuttle SH170R6は、横幅219mm×奥行332mm×高さ198mmというサイズのキューブ型ベアボーンキット。
同社のH97チップセット搭載モデル「SH97R6」の筐体を継承しつつ、H170チップセットを搭載することで、Skylake世代のCPUが利用できるようになったほか、ストレージ用のインターフェースとして普及しつつあるM.2スロットを新たにサポートしています。
SH170R6をPCとして完成させるために必要な要素は、LGA1151対応CPU、DDR4メモリ、ストレージ、OSの4つ。フロントパネルにカバー付きの5インチベイと3.5インチベイを備えている他、PCI Expressスロットを2本(x16レーン + x4レーン)備えているので、必要に応じて光学ドライブや拡張カードの追加も可能です。
なお、SH170R6のシャーシがサポートしているドライブベイは「5インチ×1 + 3.5インチ×2」となっており、2.5インチドライブベイは用意されていません。SSDなどの2.5インチドライブを固定する場合、2.5→3.5インチ変換アダプタなどを利用する必要があります。
パーツの組み込み、CPUクーラーの取り付けも簡単
SH170R6は天板と側板が一体となっており、これを取り外すことでケース内部へのアクセスが可能となります。
SH170R6に採用されたマザーボードは、ケース形状に合わせた195mm×274mmの専用設計を採用。これにより、筐体サイズをMini-ITX専用のキューブ型PCケース並みに抑えながら、2本の拡張スロットと、64GB(16GBモジュール×4枚)までのメモリを搭載できる4本のDDR4メモリスロットを備えています。
小型のキューブ型PCでありながら、さまざまな用途に柔軟に対応できるSH170R6の拡張性の高さは、専用設計のマザーボードを採用したからこその魅力と言えるでしょう。
CPUクーラーにはShuttleオリジナルの「Integrated Cooling Engine 2」が標準で用意されています。
ヒートパイプ3本でベースユニットからケース背面の排気孔までCPUの熱を運び、専用の冷却ファンユニットを使ってケース内の換気と同時にCPUの熱を放出する設計を採用。ベースユニットの固定にプッシュピン、ファンユニットの固定には手回しねじが採用されており、取り付けは簡単でした。
Core i5-6600を搭載して性能と冷却能力をチェック、省電力性の高さもポイント
ベアボーンキットであるSH170R6の性能は、搭載するCPUの性能に大きく左右されます。
今回、参考データとして、DS170R6に4コア4スレッドCPUのCore i5-6600(3.3GHz、ターボ時最大3.9GHz)と、DDR4-2133動作のメモリを16GB(8GB×2枚)搭載し、いくつかのベンチマークテストでスコアを取得してみました。
Skylake世代の4コア4スレッドCPUだけあって、CINEBENCH R15のCPUスコアは流石に優秀ですね。Core i5-6600が内蔵するGPUコア「Intel HD Graphics 530」のパフォーマンスも、3Dベンチマークテストをそれなりに動かせるだけのパフォーマンスは持っています。より3D性能を高めたいのであれば、ビデオカードを増設するという選択肢がSH170R6には用意されています。
以下のグラフは、3Dベンチマークテスト中に測定した最大CPU温度と、SH170R6全体の消費電力をまとめたものです。温度の測定には「HWMonitor 1.28(CPU Core Package)」、消費電力の測定には「ワットチェッカー(TAP-TST5)」を利用しました。
CPU温度については、最も高い数値を記録したCINEBENCH R15実行中で52℃。このとき、冷却ファンの回転数は1,200rpmを下回る程度で、静かな動作音でCPUを十分に冷却できていました。室温27℃という環境下での測定結果ですが、システムとしてTDP 95Wに対応するというだけあって、TDP 65WのCore i5-6600の冷却は余裕と言ったところなのでしょう。
一方、消費電力については、アイドル時に13W、最大値を記録したCINEBENCH R15実行時で67Wという結果に。最小構成に近い今回のパーツ構成とはいえ、アイドル時の消費電力を10W前半に抑えられるほど、SH170R6は電力消費のムダを省いていることが伺えます。
テスト環境機材
CPU IntelCore i5-6600
メモリ ClucialCT2K8G4DFD8213(DDR4-2133、8GB×2)
SSD OCZVTR-180-25SATA3-480G
OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)
組み立ての手軽さが魅力のSkylake対応ベアボーンキット
Shuttle SH170R6を使ってみての印象は、組み立てやすいベアボーンキットというものでした。必要なパーツを簡単に組み込めるので、自作PC経験のない方でも組み立ては容易でしょう。
また、キューブ型ならではの拡張性もSH170R6の魅力のひとつ。メインPCとして使うなら搭載しておきたい光学ドライブに対応する5インチベイに、カードリーダーの組み込みに便利な3.5インチベイ。さらに、拡張スロットを使ってミドルレンジGPUを組み込めば、ゲーミングPCとして運用することもできます。
全てのパーツを自分で選ぶ自作PCより簡単に、自分の用途にあったPCを手軽に組み立てられるSH170R6。Skylake世代のCPUとWindows 10で長く使えるパソコンが欲しいという方は、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
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