借りてみたらこうだった!
普段使いの性能を向上、エントリーSSD「OCZ Trion 150」をチェック
「使ってみて速い」が今後のトレンド?実効性能を改良した新モデル text by 石川 ひさよし
2016年4月4日 00:01
OCZのTrionシリーズは、東芝製TLC NANDを採用し、合わせて東芝製コントローラチップを採用することで、低価格で大容量というコストパフォーマンス志向の製品ラインだ。
初代の「Trion 100」は、こうしたコストパフォーマンス志向でありながら、シーケンシャルリード/ライトは500MB/secを超え、4K Q32T1リード/ライトも300MB/secを超え、パフォーマンスの点ではハイエンドにも迫るものを見せた。今回の新製品「Trion 150」も、この路線を継承するモデルである。
今回、発売前のTrion 150を試す機会を得たので、前モデルから何が変わったのかポイントを紹介しよう。
数値で比較する新旧Trionシリーズ、ベンチマーク結果は若干向上
Trion 150とTrion 100のまず第一の違いは、主にNANDチップにある。Trion 100が採用していたのはA19nmプロセス製造のTLC NAND。一方、Trion 150では、15nmプロセス製造の最新TLC NANDを採用している。
逆に、現在公開されている仕様表をベースに語るのであれば、そのほかのスペック値はキレイなほど同じだ。
シリーズ名 | Trion 150 | Trion 100 |
---|---|---|
NAND技術 | 東芝製 15nm TLC | 東芝製 A19nm TLC |
コントローラ | 東芝製 | 東芝製 |
インターフェース | 6Gbps SATA | 6Gbps SATA |
フォームファクタ | 2.5インチ7mm厚 | 2.5インチ7mm厚 |
容量(GB) | 960/480/280/120GB | 960/480/240/120GB |
最大読込_ | 550MB/s | 550MB/s |
最大書込 | 530~450MB/s | 530~450MB/s |
最大ランダム読込 | 90,000~79,000IOPS | 90,000~79,000IOPS |
最大ランダム書込 | 64,000~25,000IOPS | 64,000~25,000IOPS |
定常ランダム書込 | 3,600~2,200IOPS | 3,600~2,200IOPS |
MTBF | 150万時間 | 150万時間 |
日あたりの書込量 | 219~27GB/日 | 219~27GB/日 |
続いて、CrystalDiskMark v5.1.2とATTO Disk Benchmark v3.05でTrion 150/100の480GBモデルを計測したスコアを見てみよう。
実測値を見る限り、Trion 150は、シーケンシャルライトが若干、4K Q32T1のリード/ライトも10MB/sec近く向上しているが、大きく向上したと言える差はない。前モデルと同程度のパフォーマンスを持ち、気持ちパフォーマンスアップしている、という見方がよいだろう。
「実効速度5割増し」をうたうOCZ、普段使いでは大幅に性能向上?
CrystalDiskMarkでは旧モデルとの明確な差は確認できなかったTrion 150だが、OCZは製品発表時に「実効速度5割増し」を掲げている。
「ファイル転送などは実感できるほどの性能差がある」とのことなので、普段使いに近い状態では新旧で性能差が出るのか、HD Tune Proと画像データ転送時の挙動をチェックしてみた。
それでは、HD Tune Proの検証結果から見てみよう。
HD Tune Pro 5.50のTrion 150とTrion 100のグラフは大きく異る。Trion 150のグラフは、250MB/sec前後に集中しているのに対し、Trion 100のグラフは120MB/sec前後に集中している。
Averageでは、Trion 150が254.4MB/sec、Trion 100が120MB/secだった。このテストに関しては、Trion 100よりも2倍以上速いことになる。
続いて、HD Tune Proのテストをもう少し身近なシチュエーションに置き換えられないかと試したのが、ファイルのコピーおよび上書きに要した時間の計測だ。
今回はトータル32GBのJPEGデータを別ドライブに用意、xcopyコマンドでTrion 150/100にコピー/上書きするバッチを組み、その前後にタイムスタンプを出力することで所要時間を計測してみた。
こちらの結果も、HD Tune Proと同様の傾向が確認された。コピーで見てみると、Trion 100は4分21秒要したところ、Trion 150は2分39秒と断然速く完了した。上書きに関しても同様で、4分55秒に対し、3分16秒という結果になった。
CrystalDiskMarkでは明確な性能差は見えなかったが、実際にデータを転送した際などは性能向上の恩恵を受けられるだろう。
内部構造が大きく変わったTrion 150、旧モデルとは別物に
Trion 150の内部を見てみると、Trion 100とは大きく異ることが分かった。
Trion 100は小型の基板にNANDを片面のみ実装したレイアウトだったが、Trion 150は一般的なSSDと同じ長さの基板でNANDチップも両面に実装するレイアウトだ。
コンポーネントを見ていくと、まずコントローラチップは東芝製「TC58NC1000GSB-00」で、これはTrion 100と同じだ。キャッシュメモリは512MBのDDR3-1600、Micron「D9PXV」でこれもTrion 100と同じ。
NANDチップは東芝「TH58TEG8THLTA20」。製造プロセスがTrion 100のA19nmとは異なるため型番は異なる。加えて、チップの形状にも違いがある。Trion 100では480GBを4枚で実現していたが、Trion 150では16枚も用いている。
SSD故障時に新品SSDが送られてくる「シールド・プラス保証」を提供、修理で待つ時間は不要に
OCZのSSDを選ぶ際、もちろんパフォーマンスの高さもポイントになるが、もうひとつ注目しておきたいのが保証だ。既に発表済みだが、OCZのSSDは通常の代理店による製品保証に加え、もうひとつメーカーが直接エンドユーザーに対応する「シールド・プラス保証」が適用される。万が一の故障の際、ユーザーは通常の保証とシールド・プラス保証と、どちらが利便性がよいのか天秤にかけることができるわけだ。
シールド・プラス保証は、ユーザーが直接OCZのウェブサイト上でOCZ製SSDが故障した旨の申請(シリアルナンバーや住所氏名、故障の症状やPC環境などの記入が必要)を行うと、OCZが症状を確認し故障と判断した場合はOCZ台湾から5~10営業日程度で新品SSDが送付される。その際に国際便の着払い伝票が同梱されており、故障品をその伝票で返送すればよい、という流れだ。送料に関してはユーザー負担がない。また、場合によってはこちらのほうが迅速、ということもあるだろう。
申請に関しては、現在のところ英語や中国語などで、日本語はサポートされていないが、今後対応する予定はあるとのことだ。それまでは、代理店であるアスクのサイトで公開されている申請方法の日本語マニュアルを読みながら行うのがよいだろう。各項目の日本語訳や、住所などを英語でどう記入すればよいのか、そして故障時の症状を伝えるための簡単な英語の例文も紹介されているので、分かりやすい。
「使ってみて速い」は上限に達したSATA SSDの次のポイント?実効性能を強化してきたTrion 150
6Gbps SATA接続の2.5インチSSDというと、インターフェースの帯域の上限に迫り、とくにシーケンシャルリードのパフォーマンスとなるとあまり差異を感じなくなってきたのが昨今だ。
そんななか、OCZのTrion 150は、Trion 100時と同様に書き込みのパフォーマンスや、4Kにおけるパフォーマンスに優れた結果を見せている。加えて、Trion 150では実効性能という点を打ち出してきた。普段、PCの作業において行うコピーや上書きなどの処理がより高速になっているというのであれば、確かに満足感は高いだろう。コストパフォーマンスは重視しつつ、使ってみて「速さ」を実感できるSSDを探している方には注目の製品と言える。
シールド・プラス保証が加わったことも、OCZの信頼やOCZ製品を選びやすくなるといった点で好い影響を与えるものと考えられる。製品、保証の両面から充実を図るOCZのアグレッシブな動きは今後も注目だ。
[制作協力:OCZ]
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