借りてみたらこうだった!

Shuttleの小型PCキット「DS81」を4K液晶で使ってみた

写真編集も快適、Haswell Refreshを搭載してテスト

Shuttle DS81

 4月にご紹介したLGA1150対応のベアボーンキット「Shuttle DS81」ですが、今回は4Kディスプレイを接続して数日間試用してみました。

 筆者が趣味としている写真関連の作業を行った際の使用感、家庭で日常的に使用した際に気になった点などに絞ってレポートをお届けします。

DS81 × Haswell Refresh × 4Kディスプレイで写真編集は快適

 筆者がPCを使う上でパフォーマンスを要求される作業と言えば、デジタル一眼レフカメラで撮影した写真の編集やRAW現像。高解像度の写真を何枚も開いて見比べたり、RAWファイルをJPEGなどの画像ファイルに現像するのには、メモリ容量やCPUパフォーマンスが求められます。

 今回、CPUはHaswell RefreshのTDP 65Wモデル最上位「Intel Core i7-4790S」、メモリはDDR3-1333 SO-DIMM 8GB×2枚を使用しています。これは、Shuttle DS81に搭載可能な最高のCPUと最大容量のメモリを搭載した構成。ディスプレイはDELLの4K液晶「P2815Q」を接続して試用してみました。

 小型PCは、熱処理設計の制約や筐体サイズの都合でCPUパフォーマンスや搭載メモリに妥協を強いられるケースもありますが、DS81はTDP 65Wまでであればデスクトップ向けのCore i7も搭載可能。小型かつ高パフォーマンスの両立が可能な点はDS81最大の魅力でもあります。

高解像度かつ高精細な4kディスプレイは写真編集に好適。高精細ゆえの奥行が感じられる映りは、フルHDモニタでは味わえない美しさ。
等倍表示で行うコピースタンプツールも、4Kの解像度があれば広範囲を表示しながら作業できる。
4コア8スレッドCPU+16GBメモリなら、写真の大量展開、現像処理も問題なし。

 実際に写真編集に使ってみると、最大動作クロックが4.0GHzに達する4コア8スレッドCPUに、合計16GBのメモリというスペックは、そんじょそこらのタワー型デスクトップPCを凌駕するハイスペックっぷり。RAW現像はメモリ容量やCPUパフォーマンスが求められるのですが、搭載可能な最高のCPUと最大容量のメモリを搭載したDS81は、この作業をそつなくこなしてみせます。

 ちなみに、4Kディスプレイで見る高解像度の写真は特筆するものが有り、写真を趣味にしている人にはぜひ体験してもらいたいところ。高解像度の画像を奥行きが感じられるクオリティで表示できる4KディスプレイとDS81の組み合わせは、写真の編集用PCとしてかなり魅力的な組み合わせです。

DS81に搭載可能な最上位CPU「Intel Core i7-4790S」。定格3.2GHz/最大4.0GHzの4コア8スレッドCPU。
DDR3-1333動作のSO-DIMM 8GBメモリ×2。
2.5インチ1台で128GB SSDと1.0TB HDDが増設できるデュアルドライブ「Western Digital WD Black2」。搭載ドライブ数が制限されるケースでは有効なモデル。
使用機材を組み込んだところ。
DELLの4Kディスプレイ「P2815Q」。4K解像度(3840×2160)時のリフレッシュレートは30Hz。


長期間安定して使うために、ホコリ対策を考える

 Web閲覧や動画を見たりといった、一般用途的な用途で使用した場合ですが、低負荷であれば冷却ファンの回転数も上がらず、卓上に置いていてもそれほど動作音は気になりません。本格的な3Dゲームなどには向いていませんが、軽めの3Dゲームなどであればそこそこ快適に遊べます。

 メインPCとして使う上で物足りないところを上げるとすれば、光学ドライブが無いことと、搭載できるストレージの容量が限られること、GPUのアップグレード手段が無いと言ったところでしょう。光学ドライブやストレージについては、外付けで増設したり、NASなどを利用することで対処可能なので、ユーザー側の運用次第でカバーできます。

4Kディスプレイ+小型PCの組み合わせは普段使い用としてはかなり便利。
4K解像度がもたらすデスクトップ空間は広大。縦長になりがちなPC関連製品のスペック欄を一気に表示できるので、記事作成時の確認作業がとても快適。この程度の軽負荷であれば、CPUクーラーの動作音も気になりません。
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア - ベンチマークの実行結果。ある程度の3Dゲームなら遊ぶことも可能。GPUのアップグレード手段がないため、DS81の3Dパフォーマンスはこのあたりが限界。

 短期間の使用では気になりませんが、長期間使うのであれば気をつけたいのがホコリの対策。DS81は、CPUクーラー用の吸気口が天板に設けられていますが、吸気口の穴は大き目で、フィルターも設けられていないため、長期間運用しているとホコリを吸い込んでしまうことが懸念されます。

 吸引したホコリがヒートシンクに付着すれば冷却性能の低下も招いてしまうため、定期的にホコリを除去する必要があるのですが、筐体内部のパーツに付着したホコリを除去するのはとても面倒。そこで筆者が考えたのが、マグネット固定式ファンフィルターの取り付けです。

天板の吸気口。空けられている穴の径も大き目なので、吸気される空気に乗って筐体内にいホコリが侵入してしまいます。
用意したファンフィルター、SilverStone SST-FF141。マグネットでの固定が可能。
DS81に取り付けたSST-FF141。簡単に着脱可能なので、ファンフィルターだけ取り外して清掃可能。

 用意したフィルターは、SilverStoneから発売されている140mm角ファン用のフィルター「SST-FF141」。このフィルターにはマグネットが備えられているため、筐体の素材にスチールを用いたDS81にはガッチリとくっつきます。磁力で取り付けるだけなので、取り付けも取り外しも楽々。SST-FF141は税込1,000円未満で購入可能なので、低コストで出来るホコリ対策としてお勧めです。


VESAマウンタで背面に固定できるディスプレイ、できないディスプレイ

 DS81にはVESA規格に準拠したマウンタが同梱されており、VESA規格に対応したディスプレイの裏面に取り付けることができます。まるで一体型PCのような運用ができるこのマウンタですが、ディスプレイ側がVESAマウントに対応していてもDS81を取り付けて運用することができない場合がある点に注意が必要です。

S81に標準で付属するVESA対応マウンタ。
VESAマウント対応ディスプレイに取り付けたDS81。
DS81が搭載可能なVESA対応ディスプレイ。凹凸の無い背面で、なおかつVESAマウントとディスプレイスタンドが同時に利用できることが条件となります。
今回使用している4Kディスプレイ「DELL P2815Q」の背面。VESAマウント用のねじ穴を利用するためにはとディスプレイスタンドを取り外す必要があるため、DS81を取り付けることができない。また、P2815Qのように、背面パネルより一段奥まった位置にネジ穴がある場合、DS81のマウンタを付属のネジで取り付けることはできない。

 VESA規格に対応しているにも関わらず、DS81をマウントできないディスプレイがどういうものかと言えば、ディスプレイを支えるスタンドとVESAマウントが排他利用となっているディスプレイです。今回DS81と組み合わせて試用したDELLの4Kディスプレイ「P2815Q」もこのタイプで、VESAマウントが設けられている箇所にスタンドを固定する仕様のため、VESAマウントを利用する際はスタンドを取り付けられず、スタンドを取り付けるとVESAマウントが利用できなくなります。

 DS81に限らず、VESAマウントに固定可能なPCをディスプレイ背面に取り付けて運用したいのであれば、ディスプレイ側がVESA規格に対応しているかだけでなく、スタンドとVESAマウントが同時利用可能であることを確認する必要があります。

 ディスプレイの背面側に搭載する方が卓上スペースを広くとれるメリットがあるので、設置スペースが限られる場合や机を広く使いたい場合は気にしたいところです。


ハイパワー仕様のDS81は、写真編集に好適なミニPC

 今回試用したDS81は、現時点で搭載可能な最上位CPUにメモリを満載したハイパワー仕様だったわけですが、この筐体サイズでこれだけのパフォーマンスが得られるというのはやはり魅力的。4Kディスプレイとの組み合わせでは、デジタル一眼レフカメラで撮影した写真の閲覧と編集という筆者の用途にもぴったりでした。

 筐体サイズ(放熱能力)の枷によって、低発熱・低消費電力という方向性で発展してきた一般的なミニPCとは真逆のハイパフォーマンスPCが作れるベアボーンキット、Shuttle DS81。「コンパクトかつハイパワー」という言葉に魅力を感じる方で、GPUパワーが必須という訳でないのであれば、ぜひ検討してみてはいかがでしょう。