借りてみたらこうだった!

常用オーバークロックしたい人にお勧め
GIGABYTE製X99マザーの豪華版「GA-X99-UD7 WIFI」をテスト

扱いやすいオーバークロック機能や、いざという時のUEFI更新/修復機能を搭載

GA-X99-UD7 WIFI

 今回お借りしたのは、GIGABYTE製のIntel X99 Express チップセット搭載LGA2011-v3対応マザーボードの「GA-X99-UD7 WIFI」です。


ビデオカード4枚挿しも可能なスタンダード系マザーボード最上位モデル

マザーボード表面
マザーボード裏面

 GA-X99-UD7 WIFIは、GIGABYTE製Intel X99 Express チップセット搭載マザーボードのラインナップ上で、スタンダード系マザーボードの最上位に位置するマザーボード。スタンダード系統のマザーボードは、ゲーミングシリーズやOCシリーズのような特化した設計ではありませんが、充実したインターフェースや機能を持ち、様々な用途に対応できる汎用性の高さが魅力です。

 ATX規格より大きいE-ATX規格に準拠した305mm×259mmの基板上に、Haswell-E系のIntel Core i7をサポートするLGA2011-v3ソケットを搭載。CPUソケットの両側に4スロットずつ、合計8スロットのDDR4メモリスロットを備えており、最大で64GBまでメモリを搭載可能。

 拡張スロットは、Haswell-E系CPUが備えるPCI Expressコントローラをフル活用しており、40レーンのPCI Express 3.0をサポートするIntel Core i7-5960X Extreme EditionまたはIntel Core i7-5930K搭載時は、最大で4-Way SLIまたは4-Way Cross Fireの構築が可能。なお、PCI Express 3.0のレーン数が28のIntel Core i7-5820Kの場合、SLIのサポートは3-Wayまでとなります。

 ストレージ周りは、Intel X99 Expressチップセットが提供する10基のSATA 6Gbpsをフルに実装。加えて、10Gbps接続のM.2ポート、SATA6Gbpsポートとコネクタを共有する形でSATA Expressが実装されています。なお、SATA Expressと10Gbps M.2、SATA 6Gbpsの4・5番ポートは排他利用となっており、SATA ExpressとM.2を同時に利用することはできません。

バックパネルIO。
DDR4メモリスロットを8本搭載。最大容量64GB、DDR4-3000(OC対応)までのメモリをサポート。
拡張スロット。搭載CPUにより使用可能なレーン数が異なる。40レーン対応CPU搭載時は4-Way構成のマルチグラフィックスを構築可能。
Intel製LANコントローラ「I218-V」と「I210」。2つのLANポートは、異なるコントローラにより提供されている。
 SATA 6Gbpsポートを10基搭載。4・5番ポートはSATA Expressと物理的にポートを共有している。
M.2スロットを2基搭載。下段のスロットはサウスブリッジ(PCI Express 2.0 x1)接続のWi-Fi専用スロットで、上段がストレージ接続用の10Gbps M.2。
M.2スロットに搭載されているWi-Fi&Bluetoothモジュール「Intel Wireless-AC 7260」。Wi-Fiは802.11a/b/g/n/ac(2.4/5GHz)、Bluetoothは4.0、3.0+HS、2.1+EDRをサポート。

 GA-X99-UD7 WIFIには、Ambient LEDというユニークな照明機能が搭載されています。Ambient LEDとは、オーディオ回路と他の回路を分離するノイズガード部分と、バックパネルIO用のシールドに設けられたLED照明のこと。これらのLEDは、オンボードのサウンド機能を利用している際、音声出力に合わせて明滅する機能を備えています。なお、Ambient LEDについては、OS上で専用ユーティリティを利用することで、発光パターンの変更や消灯など、動作を変更可能です。

IOシールド。LEDが仕込まれており、点灯させるにはマザーボードの専用端子に電源ケーブルを接続する必要がある。
サウンド回路と他の回路を分断するノイズガード部分。基板裏面側にLEDが配置されている。
Ambient LEDのユーティリティ。「切」、「常時点灯」、「ビート点灯(サウンドのリズムに合わせて明滅)」、「パルス点灯(一定周期で明滅)」の4パターンを選択可能で、バックパネルLEDはオーディオLEDの点灯モードと同期する。


常用域からスコア狙いのOCまでサポート、最新のIR社製デジタル電源を搭載

 GA-X99-UD7 WIFIは前述の通りスタンダード系統のマザーボードですが、オーバークロック関連の機能もしっかりサポートしており、全モデル倍率ロックフリーCPUであるHaswell-E世代Intel Core i7の内部倍率の変更が対応。

 GA-X99-UD7 WIFIには、OS上で動作クロックや電圧の調整をチューニングできるユーティリティ「EasyTune」が提供されています。EasyTuneでは、GIGABYTEが用意したプロファイルを選択するだけで、CPUのオーバークロック・アンダークロックが可能な「Smart Quick Boost」や、UEFI上での設定と遜色ないほど詳細にCPUの動作設定が可能な「Advanced CPU OC」などが用意されています。

 また、EasyTuneの「Advanced CPU OC」には、プロファイル保存機能も用意されています。あらかじめ安定して動作する設定を見つけておけば、PCの利用状況に応じてプロファイルを切り替え、必要なだけのパフォーマンスを引き出すというスマートな運用が可能です。

「Advanced CPU OC」。CPUの動作を細かく設定可能。
「Advanced DDR OC」。メモリの動作を設定できる。
「3D Power」。電源回路の動作設定が可能。
Intel Core i7-5960X Extreme Editionの定格動作時(左)と、「Advanced CPU OC」で全コア4.0GHz設定した際(右)のCINEBENCH R15スコア。CPUスコアが大きく向上している。
テストに利用したメモリ「Crucial CT4K8G4DFD8213」。Micron製のメモリチップを搭載した8GBモジュールを4枚セットにした32GBメモリキット。メモリクロックはDDR4-2133(PC4-17000)。

 【テスト環境】
  CPU IntelCore i7-5960X Extreme Edition
  メモリ CrucialCT4K8G4DFD8213(DDR4-2133 8GB×4/1.2V)
  ビデオカード GIGABYTEGV-R929XOC-4GD(Radeon R9 290X)
  電源 SilverStoneSST-ST85F-G-E(850W)
  OS 日本マイクロソフトWindows 8.1 Pro Update(64bit)

 TDPが140Wと高いHaswell-Eをオーバークロックするとなると、安定した動作を狙う上で気になるのが、CPUへの電力供給を担う電源回路のクオリティ。GA-X99-UD7 WIFIは電源回路に、International Rectifier社(IR社)の第4世代デジタルPWMコントローラと、第3世代Driver MOSFET「PowIRstage」を採用。1基で最大50Aの電流を供給できる「IR3556」を8基搭載した8フェーズ仕様により、オーバークロック動作によるCPUの消費電力増加にも十分対応できる供給能力を有しています。

 このくらいしっかりした電源回路を搭載していれば、動画のエンコード作業など、長時間高負荷が続くような用途でも、消費電力の増加したオーバークロックCPUを安心して利用できそうです。また、オーバークロックをしない場合でも、高精度なデジタル制御が可能なGA-X99-UD7 WIFIの電源回路は、負荷状況に応じて各フェーズの負荷を適宜分散し、電源部の発熱を抑えることができるため、信頼性と耐久性面でもメリットがあります。

GA-X99-UD7 WIFIの電源部分。CPU用に8フェーズのデジタル電源回路を備えている。
IR社製8フェーズ対応デジタルPWMコントローラ「IR3580」
IR社製のDriver MOSFET「IR3556」


CPUやメモリ無しでUEFIをアップデートできる「Q-FLASH Plus」

白色に塗り分けられたUSB3.0ポート。Q-Flash Plus利用時は、BIOSを収めたUSBメモリをこのポートに接続する。
バックパネル部に設けられたFBIOS_LED。このLEDの点灯状態で、Q-Flash Plusの進捗状況を判断する。

 GA-X99-UD7 WIFIには、新しいUEFI更新&修復機能「Q-Flash Plus」が用意されています。GIGABYTEはCPUやメモリを搭載することなく、UEFIを更新できる機能であると説明しており、USBメモリとマザーボード、そして電源ユニットがあればUEFIのアップデート作業を行えるとしています。

 Q-Flash Plusの機能は、マザーボード上のフラッシュメモリに記録されたUEFIから起動ができなかった場合に、Q-Flash Plus対応USBポートに接続されたUSBメモリを読み込み、UEFIファイルを復旧するというもの。CPUやメモリを搭載していない場合、マザーボード側のUEFIが破損していなくても起動することが出来ないため、Q-Flash Plusが作動してUEFIの修復(=更新)作業が開始されるという訳です。このため、正常に起動可能な構成の場合、Q-Flash Plusは利用できません。

 Q-Flash Plusの使い方は、マザーボードの製品ページからダウンロードしたUEFIファイルの名称を「GIGABYTE.bin」に変更し、FAT32/16/12でフォーマットされたUSBメモリに保存。UEFIファイルを保存したUSBメモリを、マザーボードのバックパネルIO部に設けられた白いUSB3.0ポートに接続し、電源をオンにすると、2回再起動した後、UEFIの更新が開始されます。UEFI更新中は、マザーボード上にFBIOS_LEDが点滅し、完了すると点滅から点灯状態へと移行します。


オーバークロックでの常用を狙いたいユーザーにオススメ

 GA-X99-UD7 WIFIの実売価格は40,000円前後。Intel X99 Express チップセット搭載マザーボードとしてはやや高めの価格設定ではあるものの、スタンダード系統の上級モデルとしては、他メーカーの製品と同程度かやや安価な価格と言ったところです。

 しっかりした電源回路と扱いやすいオーバークロックユーティリティを持つGA-X99-UD7 WIFIは、Haswwell-Eの常用オーバークロックを狙う方にお勧めできるマザーボードです。また、UEFI修復&更新機能「Q-FLASH Plus」の追加で、安心してUEFIのアップデート作業が行えるようになっており、自作PCが初めてという方にもお勧めできる、扱いやすいマザーボードに仕上がっています。

 ハイエンドプラットフォームのLGA2011-v3。せっかく一式揃えるなら、GA-X99-UD7 WIFIのように上級グレードのマザーボードを選択してみるのも良いでしょう。

[Amazonで購入]