借りてみたらこうだった!

4K出力やRAIDに対応、高性能小型PC自作キット「Shuttle XH97V」をテスト

3画面出力もサポートした貴重なH97搭載モデル

XH97V

 Shuttleから、Haswell Refreshに対応したベアボーンキット「XH97V」をお借りしました。今回は、容積約3リットルのコンパクトな筐体を採用したこのベアボーンキットをチェックします。


Haswell Refresh対応、Intel H97 Expressチップセット搭載ベアボーンキット

 Shuttle XH97Vは、200mm×240m×72mmのコンパクトな筐体を採用したベアボーンキット。チップセットにIntel H97 Expressを備え、TDP 65WまでのLGA1150向けCPU(Haswell/Haswell Refresh)に対応しています。

 対応メモリはDDR3 SO-DIMMで、DDR3-1333/1600動作のSO-DIMMを2本搭載可能。XH97Vには2種類のドライブベイが用意されており、2.5インチドライブ2台とスリム光学ドライブ1台構成、または3.5インチドライブ1台構成のいずれかを選択できます。

フロントパネル。プッシュラッチ式のカバーにより、インターフェースやドライブベイは隠されている。
カバーは上下で二段に分かれている。
パネル開放時のインターフェース。USB 3.0×2、USB2.0×2、音声入出力を装備。
筐体背面。インターフェースはDisplayPort×2、HDMI×1、USB3.0×2、USB2.0×2、eSATA×1、RS232×1、Gigabit LAN×1、音声入出力。
ケース右側面。冷却用の60mm角ファンを2基備えている。
ケース左側面。通風孔が設けられているが、こちら側に冷却ファンは存在しない。
筐体内部。
3.5インチHDD用のベイを取り付けた場合。
2.5インチドライブ用のベイを取り付けた場合。
3.5インチ用のドライブベイ。
2.5インチ用のドライブベイと、光学ドライブ用のドライブベイ。
2.5インチ用ドライブベイは、表裏に1基ずつドライブを取り付けることができる。
メインメモリ用のSO-DIMMスロット。DDR3-1333/1600動作のDDR3 SO-DIMMを最大16GBまで搭載可能。
SATAコネクタ。いずれもIntel H97 Express接続の6Gbps対応ポート。SATAポート付近にはPCI Express x1スロットが用意されているが、XH97Vの筐体に拡張カードは搭載できない。
miniPCI Expressスロットはハーフサイズとフルサイズを1基ずつ搭載。フルサイズのminiPCI Expressスロットは、mSATAとしても利用できる。
ケース備えつけのSATAケーブルと電源ケーブル。光学ドライブ用のスリムSATAケーブルも用意されている。
CPUクーラー。マザーボードへの固定には、プッシュピン方式を採用。
CPUクーラーは自体にはファンを備えず、ケース側面の60mm角ファンを利用してヒートシンクを冷却する。s
電源供給はACアダプタを利用。アダプタの出力は90W。
付属品。ネジ類、サーマルグリス、3.5インチHDD用のSATA電源ケーブル、SATAケーブル。


4K出力とトリプルディスプレイをサポート

筐体背面の画面出力ポート。

 画面出力ポートに、DisplayPortを2基、HDMIを1基備えるXH97Vは、デジタル出力のみで3つのディスプレイの画面を出力できます。ビデオカードなどの拡張カードを追加できないXH97Vですが、CPUの内蔵GPUのみでトリプルディスプレイ環境を構築できるため、複数台のモニタを利用したい方でも安心です。

 また、XH97Vに内蔵GPUコアにIntel HD Graphics 4600を備えたCPUを搭載した場合、4Kディスプレイへの出力が可能となります。また、メインメモリを16GB搭載していれば、4K解像度の動画が再生可能となります。

 XH97Vで4K出力が可能なCPUは、Intel Core i7とIntel Core i5の全モデル、そしてIntel Core i3の一部です。CPUが備えるGPUがIntel HD Graphics HD 4600であることを確認しておきましょう。

CPU内蔵GPUのみによる3画面出力。なお、テスト時のCPUは「Intel Core i7-4790S」。
Dellの4Kディスプレイ「UP2414Q」への接続時。なお、MST接続で60Hz表示を実現する4Kディスプレイは2画面出力として認識されるため、4Kディスプレイに加えて出力できる画面は1画面となる。


Intel H97 Expressの採用でRAID機能をサポート

 XH97Vは、チップセットにIntel H97 Expressを採用したことで、Intel Rapid Storage TechnologyのRAID機能が利用できるようになりました。

BIOS上でSATAポートの設定を「RAID」に設定後、起動中に Ctrl + I を押下することで、RAIDボリュームの作成画面へ移行。

 XH97Vで利用できるRAIDレベルは、2台のストレージに同じデータを書き込むRAID 1(ミラーリング)と、2台のストレージを束ねて大容量化と高速化を図るRAID 0(ストライピング)の2種類。XH97Vはチップセット接続のSATA 6Gbpsポートを3つ備えていますが、SATA用の電源ケーブルが2本のみとなっているため、2台のストレージで構築可能なRAIDのみのサポートに留まっています。

Intel 510 Series SSDの120GBモデル2台でのRAID 0構成。少々古いSSDながら、2台を束ねれば600MB/sを超える速度を実現できる。

 2.5インチドライブを2台搭載するなら、システム用とデータ用のストレージをそれぞれ用意するという構成ありですが、RAID 1を構築してシステムをストレージの故障から保護するもよし、RAID 0でパフォーマンスを高めてみるもよし、用途に応じてRAID機能を利用してみるのも良いでしょう。


全部入りの構成も可能、マルチディスプレイ環境を構築したい人にお勧めのベアボーンキット

 コンパクトサイズとはいえ、筐体の容積が3リットル程度のXH97Vは、1リットルクラスのスリムベアボーンや、IntelのNUCなどと比べると、やや大きめのPCであるという印象はあります。その分、スリム式の光学ドライブや複数の2.5インチドライブを収めることができるので、全部入りのPCに仕上げることができます。

 XH97Vの販売価格は税込26,000円前後。PCとしての総額は、搭載するCPUやドライブによりけりですが、10万円以下でHaswell Refresh/HaswellベースのコンパクトPCを作るのなら、XH97Vは良い選択肢となるでしょう。特に、マルチディスプレイ環境の構築を考えているなら、DisplayPort対応ディスプレイとXH97Vの組み合わせがオススメです。

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