借りてみたらこうだった!

Thunderbolt 3を搭載したZ170マザー「GA-Z170X-UD5 TH」をテスト

耐久性重視の手堅い設計をベースに最新デバイスを搭載 text by 瀬文茶

GA-Z170X-UD5 TH

 今回はGIGABYTEより、Intel Z170チップセット搭載のATXマザーボード「GA-Z170X-UD5 TH」をお借りしました。

 SkylakeことIntel第6世代Coreプロセッサーに対応するLGA1151マザーボードで、Intel製のThunderbolt 3/USB 3.1コントローラなどの最新機能を備えるほか、高耐久パーツの採用をウリとしたモデルです。

次世代インターフェースThunderbolt 3を搭載したIntel Z170マザーボード

 GIGABYTE GA-Z170X-UD5 THは、Intel Z170チップセットを搭載したATXマザーボードで、基板サイズは305×244mm。

基板表面。
基板裏面。インターフェースなどは特に実装されていない。

 製品名の末尾に付与された「TH」は、多機能インターフェース「Thunderbolt」のサポートを示しており、GA-Z170X-UD5 THは最新のThunderbolt 3をバックパネルインターフェースに備えています。

 専用ケーブルを用いることで、最大で40Gbpsの転送速度をサポートする次世代インターフェースのThunderbolt 3。コネクタには「USB Type-C」を採用しており、USB3.1やDisplayPort 1.2としても利用できる汎用性の高さも特徴。

 GIGABYTE GA-Z170X-UD5 THでは、IntelのThunderbolt 3コントローラ「DSL6540」をPCI Express 3.0 x4(32Gbps)接続で実装することで、このインターフェースをサポートしています。

バックパネルインターフェース。2本のUSB Type-CコネクタがThunderbolt 3。
Thunderbolt 3のインターフェイス形状はUSB Type-Cと同型で、USBやDisplayPortとの互換性も備える。
Thunderbolt 3の規格上の最大転送速度は40Gbps。
USB Type-Cコネクタは表裏の無い新しい規格のUSB端子。
IntelのThunderbolt 3コントローラ「Intel DSL6540」。
コントローラはPCIe 3.0 x4レーンで接続されている。

 CPUソケットのLGA1151は、Intel第6世代Coreプロセッサー(Skylake-S)に対応。メモリスロットにはDDR4対応スロットを4本搭載。最大64GB(16GB×4)までのメモリを搭載可能で、メモリクロックは最大でDDR4-3800(オーバークロック対応)をサポート。

 ストレージインターフェースとして、SATA 6Gbpsを6基、SATA Express(16Gbps)を3基、32Gbps M.2を1基、それぞれ搭載。このうちSATA 6GbpsとSATA Expressについては物理的のポートを共有しているほか、32Gbps M.2は拡張スロットのPCI Express x16(x4接続)と帯域を共有しています。

 拡張スロットはPCI Express x16スロットと、PCI Express x1スロットを3基ずつ装備。いずれもPCI Express 3.0に対応しており、x16スロットがサポートしている最大レーン数は、CPUソケット側から順にx16、x8、x4。CPUソケット側から数えて2スロットは、CPU内蔵PCI Expressコントローラの提供によるもので、両スロットの拡張カードを搭載した場合は両方ともx8レーンでの動作となります。

CPUソケットのLGA1151。Skylake-SことIntel第6世代Coreプロセッサーをサポートする。
DDR4メモリ対応のメモリスロットを4基搭載。1枚で16GBの大容量モジュールをサポートしている。
SATA 6GbpsとSATA Express。物理的にポートを共有しているため、SATA 6Gbps×2基とSATA Express×1基は排他利用となる。
32Gbps対応のM.2スロット。2242/2260/2280対応。拡張スロット最下段のPCI Express x16スロット(x4動作)と帯域を共有している。
拡張スロット。PCI Express x16スロット3本(x16、x8、x4)と、PCI Express x1スロットを3本搭載。いずれもPCI Express 3.0対応。
x16スロットにはGIGABYTEが「Ultra Durable PCIe メタルシールド」と呼ぶ金属補強が施されており、重量級の拡張カードによるスロット変形への耐性を高めている。
Intel製のGigabit Ethernet コントローラ「I219V」を搭載。
オーディオコーデックはRealtek ALC1150
サウンド回路とその他の回路を分ける分離設計を採用。回路分離部分を彩るLEDのカラーは黄色。

 サウンド回路以外の電解コンデンサには、高温環境で1万時間以上の長寿命を謳う日本ケミコン製の固体コンデンサを採用。銅配線層の厚みを2倍に増やした基板「2X Copper PCB」や、Dual BIOS(UEFI)など、耐久性や品質を重視した設計がなされています。

日本ケミコン製の高耐久固体電解コンデンサを搭載。
GIGABYTE製品ではお馴染みの2X Copper PCBを採用。
UEFI用のフラッシュメモリを2重化することで、アップデート失敗などによるUEFI破損に備える「Dual BIOS(UEFI)」

クロックジェネレータ―「Turbo B-Clock IC」搭載、ベースクロックのOCチューニングも可能

 Skylake-SのオーバークロックモデルであるCore i7-6700KとCore i5-6600Kでは、マザーボードがクロックジェネレーターを外部に用意することで、ここ数世代のIntel製メインストリーム向けCPUでは困難だったベースクロックを調整するオーバークロックが可能となりました。

 GA-Z170X-UD5 THはオーバークロック向けの製品という訳ではありませんが、この新たな仕様に対応するため、「Turbo B-Clock IC」と呼ばれるクロックジェネレーターを実装。UEFIの「M.I.T. → Advanced Frequency Settings」か、Windows上で動作するオーバークロックユーティリティ「EasyTune」で、ベースクロックの調整が可能となっています。

ベースクロック調整用のクロックジェネレータ―「Turbo B-Colock IC」
UEFIでの設定。M.I.T.のAdvanced Frequency Settingsを開くと、ベースクロックの設定項目である「CPU Base Clock」が表示される。
EasyTuneでの設定。Advanced CPU OCの「ホストBCLK」でベースクロックを調整する。

 GA-Z170X-UD5 THが備える「Turbo B-Clock IC」は、Skylake-Sの定格ベースクロックである100MHzに対し、80~500MHzという幅広い設定値を持っています。ただ、ベースクロックはCPU、L3キャッシュ、内蔵GPUコア、メモリと連動しているため、ただ大きな数字を設定すればいいというものではありません。

 外部クロックジェネレーターに対応するCore i7-6700KとCore i5-6600Kは、もともと倍率ロックフリーCPUでもあります。倍率で大まかなクロックに設定しつつ、ベースクロックで各ユニットのクロックを微調整することで、各ユニットのポテンシャルをより引き出せるオーバークロックを狙うのが、Skylake世代のベースクロック・オーバークロックなのです。

試しにベースクロックを133MHzまで上げてみたところ。CPUは倍率を34倍に引き下げ、約4.52GHzで動作するよう調整した。
ベースクロックを上げたため、メモリ倍率を21.33から16.00に変更。これにより「133×16.00=2128」で、DDR4-2133相当のメモリクロックを狙う。
ベースクロック133MHz設定時のEasyTuneの画面。メモリがDDR4-2133相当で動作していることが確認できる。

 CPUやメモリの倍率だけを調整するオーバークロックは、簡単に性能の向上を図れる反面、調整できるクロックの最小単位が数十~100MHzと大きく、大味な設定になってしまうのが欠点です。倍率オーバークロックに柔軟なベースクロック調整を組み合わせれば、より細やかなクロック調整が可能となり、各パーツのポテンシャルをムダ無く引き出すオーバークロックが可能となります。

 外部クロックジェネレータ―「Turbo B-Colock IC」を備えたGA-Z170X-UD5 THは、カジュアルなオーバークロックで簡単に性能向上を狙いたい方はもちろん、カリカリにチューニングしたいこだわり派の方まで楽しめるオーバークロック機能を備えたマザーボードであると言えるでしょう。

Kモデルとの相性もばっちりなIntel Z170マザーボード、Thunderbolt 3の将来性にも期待

 GA-Z170X-UD5 THは、柔軟な調整ができるオーバークロック機能を持ったIntel Z170チップセット搭載マザーボードに、次世代インターフェースのThunderbolt 3を搭載したATXマザーボードです。

 Thunderbolt 3を実装することでIntel Z170チップセット搭載マザーボードとしての機能がおざなりになっているようなことはなく、倍率ロックフリーCPUのKモデルと組み合わせでも、その特性を十分に楽しむことができます。

 USB Type-Cコネクタを採用したThunderbolt 3やUSB3.1機器は、今はまだ普及が期待される段階ですが、最新の構成でPCを自作して長く使いたいと考えている方にとって、高速な外部機器との接続に利用できるインターフェースを標準で備えていることは魅力となるでしょう。

[制作協力:GIGABYTE]

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