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「アダルトVRフェスタ」、注目されすぎで開催中止、壮絶な混雑で列整理追いつかず……

会場変更のうえ8月に仕切り直し text by 関根 慎一

 6月12日、アダルトVRコンテンツの体験イベント「アダルトVRフェスタ01」が秋葉原popdojoイベントスペースにて開催された。

 これは、VR向けアダルトコンテンツの開発や製作、提供を行なっている個人や団体、企業が集まり、成人向けのVRコンテンツを体験できるというイベント。

 主催は日本アダルトVR推進機構、アダルトVRフェスタ実行委員会、特別協賛 AdultFestaTV、特別協力 アダルトVRの会。入場料は3,000円だ。

 なお、弊誌のコンセプト上「そのものズバリ」な内容は省略させていただいたが、その注目度はなかなかのもの。「VRでアダルト」の注目度合いを感じていただければ幸いだ。

想定以上の大混雑で混雑整理さえままならず…一般入場前に開催中止

ベルサール秋葉原前まで伸びた一般入場待ちの列。一般開場を前に、警察の指導によって解散した

 一般入場は14時だが、会場となったイベントスペースが入居している東京角田ビル前には13時前後から一般入場を待つ来場者が密集。

 筆者が取材した時点では、会場となる4階のイベントスペース前階段からビル前を抜けて住友不動産秋葉原ビル前まで、およそ40mほどの列が形成されていた。その後も列は伸びていたとのことなので、少なくとも数百人規模が来場したとみられる。

 なお、外まで伸びている列については、一般入場が始まる14時前後のタイミングで警察からの指導を受け解散。想定外の混雑により列整理もままならない様子だった。大変な混雑によりイベント自体も14時台には中止となっており、イベントの主催者からは、次回の開催は会場を変更して8月になるとのアナウンスがなされていた。

 以下、プレス取材時間に確認できた、ブース展示の内容を紹介しよう。

Oculus Rift向けのアダルトタイトルも

「なないちゃんとあそぼ!」の体験風景。ある意味VRアダルトを象徴する絵面となっている
体験者の見ている映像が流れていた

 まず、「アダルト向け」の象徴と言えるのが、VRアダルトゲーム制作チーム「VRJCC」が開発している「なないちゃんとあそぼ!」。

 これは、Oculus Rift向けのPCタイトルで、VR映像には3Dモデルの美少女キャラクターが表示、視点を自由に動かして「アダルトな体験」が可能。スマートフォンとPCをBluetoothで接続することで、端末の傾きを体の傾きと認識、画面に反映できるほか、内蔵の加速度センサーで映像内容も変わる。今回の展示は、いわゆる「空気嫁」に傾き・加速度検知用のスマートフォンを仕込んであり、空気嫁を傾ければ映像も傾く、といった状態になっていた。

 本タイトルは、8月12~14日にかけて東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットC90の三日目(8月14日、日曜日)で頒布される予定という。

単体動作もできるVRゴーグル「Pico-neo」展示

Pico-neo

 また、弊誌でも安心して紹介できる(笑)のが、VRゴーグル「Pico-neo」。

 これは、中国で既に販売されているVRゴーグルで、CPUやメモリ、ハードディスクなどを内蔵したコントローラーが付属。PCに接続してVRゴーグルとして、外出先でもコントローラーを接続することで、ゲームや動画などのVRコンテンツを楽しめる。

CPUやメモリ、ストレージを内蔵し、これ自体がPico-neo専用のPCと言える付属のコントローラー
スマートフォンを挿入して使う型のPico
側面に操作部を備える

 また、スマートフォンを挿入してゴーグル単体で使えるバージョンの「Pico」も用意されており、こちらは操作部がゴーグルの左側面にある。

 ブースの説明員によれば、Picoの発売時期は早ければ2016年の12月。簡易バージョンの発売はもう少し早くなるかもしれない、とのこと。

「風速60kmは乳房と同じ」?

乳揉みシミュレーションマシン「D=60」。「風速60kmの風圧を手に受けると、それはDカップの乳房に触れているのと同じ」との俗説を実証するマシンという。
手の形と動きを検知し、手の形に合わせて送風量を変化させている

 このほか、「風圧によって乳房を揉む感覚をシミュレーションする」という箱、「D=60」を展示していたのは「ゲスの極みエンジニア。」。

 D=60は、。箱に手を入れると内部に仕込まれたブロワーが時速60kmの風を発生させ、まるで乳房に触れているかのような感触が得られる、という。

 手の指を曲げると、手の形状と動きを検知して吹き出す風圧を変化、よりリアルな感触を再現しているとか。なお、この動体検知センサーにはLeap Motionを利用している。


 そのほか、弊誌的にはあまり詳しく書けないが、様々なアダルト向け展示がされていた。軽くギャラリー形式で紹介しよう。

ブースではVRアダルト動画の視聴体験ができた
これは映像と同期して動くとか。ラムタラ×Picoの合同ブースにて。
VR視点の生中継映像を体験できる「リアルタイムプレビュー」も実施。セクシー女優のポージングをVR映像で楽しめる。
冒頭の画像はこのための撮影風景。セクシー女優がカメラに向かってポーズを決めている

「アダルトVR」の可能性は大?

 ほとんどの来場者が入場できない事態となったことはとても残念だったが、入場料が3,000円と、比較的高額だったにもかかわらず、それだけの金額を払っても構わないという来場者が、比較的小規模なイベントであっても数百人規模で存在したということは、VRデバイスとコンテンツに大きな期待がかかっていることの現れだろう。

 取材当日、12~14時までは関係者およびプレス取材用の時間が設けられていたが、それでも会場は混雑をきわめており、少し並ばなければ入場できないほどだった。

 今回の展示内容と業界関係者の多さ、プレスの数、そして不本意ながら中止となった顛末は、単にVRデバイスやコンテンツ業界だけでなく、複数の業界を巻き込んで、アダルトコンテンツを再生するプラットフォームとしてのVRが強く注目されていることを感じさせた。その意味では、今後のVRコンテンツ分野の先の明るさを予感させる、象徴的な出来事だったと言えるのではないだろうか。