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スマホ向けの放熱シートが発売、「貼るだけで2℃低下」?

新素材「グラフェン」採用

(5/10 22:45更新)パッケージが日本語版に変更

 「貼るだけで温度を約2℃下げる」と謳うスマートフォン向けの放熱シート「モバイルヒートシンク(OFMSCP22)」が販売中だ。実売価格は680円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 炭素系の新素材「グラフェン」を採用したという製品で、販売しているのはサンコーレアモノショップ秋葉原総本店。同店では「銅より熱伝導率が高い」「放熱に効果がある」と説明している。

 製品には「Korean Oriental Sciences Center」が発明・製造したという表記がある。当初発売されたのは韓国語パッケージで、その後日本語パッケージに変更されている。

「実測2℃低下」が謳い文句

裏面
シートの表裏を剥がしてみた
発売直後のパッケージ
日本語パッケージ
日本語パッケージの解説

 この製品は、放熱効果を持つという小型シート。手のひらに収まるサイズで、スマートフォンのほか携帯ゲーム機、ACアダプタなどにも使えるという。

 サンコーの説明によると、冷却効果は約2℃。iPhoneの裏面を非接触温度計で測定したところ、シートの使用前が30.8℃だったのに対し、使用後は28.4℃だったという。

 シートは薄いため、スマートフォンケースとの併用も可能とされる。スマートフォンのバッテリーに直接貼ることも可能だが、バッテリーカバーを閉じることができなくなる場合があるという。また、対象物が大きいと、放熱効果が低くなる。同社曰く「大きな物に貼るとまさに『焼け石に水』になるので、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機あたりが向いている」という。

 このほか、シートを剥がすと、粘着部が残る場合があるとされているので注意が必要。

 シートは微妙に金属光沢がある樹脂状の素材で、愛称と思われる「Coolpad」という名前も書かれている。

炭素系の新素材「グラフェン」採用活用するには要研究?

テストではGALAXY Note IIのバッテリーに直接シートを装着、3D Markを動作させた後の温度を計測した。シートなしの場合は動作前30.2℃→動作後32℃
シートありの場合。動作前30.2℃→動作後32.1~32.3℃だった

 素材については炭素系の新素材「グラフェン」であるとされ、サンコーでは「銅より熱伝導率が高い」「放熱に効果がある」と説明。

 グラフェンについては、半導体向けヒートスプレッダへの応用が研究されており「銅製ヒートスプレッダよりも25%速く熱が拡散する」という情報もある。

 ただし、この製品では放熱原理や放熱特性が明示されておらず、また、放熱面積も変わらない点は要注意。

 現時点では、得意な場面や苦手な場面が判らず、編集部でのテストでは逆に温度が上がる結果も見られた。謳い文句どおりに活用するには多少の研究が必要そうだ。

 ちなみに、似たようなシート状冷却材としては、沖電気の放熱素材「セラックα」を利用した製品も販売されている。セラックαの採用製品では、原理を「輻射性能をアルミの20倍に高め、対流と伝導がメインで冷却するヒートシンク+ファンとは別の熱対策を志向したもの」と説明、冷却能力についても「80℃前後において、熱放射率0.9~0.95」「動作中に発する高熱を5~20%程度低減」といった数値/グラフ類が公開されている。

[撮影協力:サンコーレアモノショップ秋葉原総本店]

サンコー モバイルヒートシンク