ニュース

みんなで作る、ものづくりイベント「Maker Faire Tokyo 2013」前日レポート

~3Dプリンタでは、オートデスクに注目~

今回の「Maker Faire Tokyo 2013」ロゴ。2006年、米サンマテオ市でスタートして以来、ヨーロッパ、アジアでも開催されている
「Maker Faire Tokyo 2013」チラシ。電子工作、ソフトウェア、宇宙、エネルギーからインテリア、園芸、アートまで、「作る」をキーワードに幅広いジャンルをカバー

 自分が作りたいものを、自分の手を動かしてつくる、いわゆる“D.I.Y”が好き、という方におすすめのイベントが今週末の3日(日)と4日(月・祝)、お台場・日本科学未来館で開催される。それが、技術系出版社オライリー・ジャパン主催の「Maker Faire Tokyo 2013」(入場料:大人1,500円など/イベント詳細は記事末尾)だ。

 このイベントは、電子工作やロボットなど、テクノロジーを駆使したガジェットや、ハンドメイドの手芸作品まで、さまざまな出展者が集い、ノウハウをシェアすることを目的としている。

 また今回の「Maker Faire Tokyo 2013」で気になるトピックの1つとして挙げられるのが「3Dプリンタ」。インプレスグループでも、3Dプリンタの入門に使えるムック『3Dプリンタ ―デスクトップが工房になる―』(インプレスジャパン)を今年9月末に発刊するなど、関連した取り組みを行っている。

 実は私はそのムックの担当編集者。「ムックのその後」を知るべく、まずはプレス向けの事前発表会へ向かった。今回は、その模様を速報としてお届けする。

 3Dプリンタ関連に絞るかたちになるが、「Maker Faire」の息吹を感じてみてほしい。

(インプレスジャパン コンピューターテクノロジー編集部 青山 梓)


オートデスクのクリエイティブ体験スペースで、「考える」「つくる」「手を動かす」楽しさを体験しよう!

今回で2回目の参加となるオートデスクのブース。近くには3Dプリンタ関連のブースが設置される予定だ

 事前発表会で唯一「3Dプリンタ関連」と言えたのは、3Dモデリングソフトの開発・販売を行っているオートデスク株式会社。会場では「Unlock Your Creativity(クリエイティビティを解き放とう)!」をテーマに、4つのエリアを設けてデジタルファブリケーション(モノづくりのデジタル化)を紹介する。

 同社は、「AutoCAD」「Maya」といったプロフェッショナル用の有償ソフトを開発する一方、「Autodesk 123D」シリーズをはじめとした、無償で利用可能なソフトウェア群も提供しており、今回はそれらのテクノロジーを活用したブースが用意されていた。

撮影時間はわずか1秒!「3D Photoブース」で自分の3Dデータをゲットできる!

「3D Photoブース」の撮影風景。光源は8枚のポータブルLED照明で、中のブースに入ると非常にまぶしい

 同社ブースの中で最も注目できたのが「123D シリーズ」のアプリを使って、自分の3D データを撮影できる「Capture」ブース。

 ここでは、iPhoneやiPadで複数枚の写真を撮るだけで3Dモデルを作成できるアプリ「123D Catch」を使用している。このブースは、Autodesk Japanの有志3名が、約1か月半、週1日の作業時間のなかで制作したそうで、ここでも「欲しいものを自分自身でつくる」D.I.Y精神が発揮されていた。ブースに入り、わずか1秒で胸から上部分を撮影。12台のカメラが同時にシャッターを切る様子は、さながら「パパラッチ」のようだった。その後、事前登録したE-mailアドレスへ自分の3Dデータがダウンロードできるリンクが送付され、iPhone/iPadアプリ「123D Catch」から、自分のiPhoneやiPadで3Dデータを閲覧・操作できる、というしくみだ。

 ぜひ実際に体験してあなた自身のデータを手に入れて欲しい。

3Dデータ撮影用に、iPod touchを12台設置。「AirCamera」というアプリで、これらのiPod touchと、シャッターの役割を果たすiPadを同期させ、12台のシャッターを同時に切る。撮影した写真データはいったんFlickrへアップロードされる。写真データはFlickrからAmazonWebService上のプログラムによってAutodeskが開発した写真加工API「Photofly」にアップロードされ、iPod touchで撮影した写真データから3Dモデルを生成する。
生成した3Dデータをさらに肉付けし、MakerBot社の3Dプリンタ専用ソフトウェア「MakerWare」に取り込んだ画面キャプチャ(データは開発者の1人、塩澤氏自身)
ブースにはMakerBot社の3Dプリンタ「Replicator2X」も展示されている。画像は上の3Dデータを実際に出力している最中のもの
実際の3Dプリンタ出力物(「Replicator2X」での出力)
今回のMaker Faire Tokyo2013「3D Photoブース」の来場者に限り、DMM.comで石膏フルカラー3Dプリントサービスを特別価格で提供する取り組みもスタート(受付期間は11/3~11/30まで)。
通常は3Dプリンタで出力するデータを別個に作成する必要があるが、今回に限り、DMM.comが3Dプリント可能なデータを作成し、プリントしてくれる。二度とないチャンスかもしれない!

この他にも、「Make」の楽しさを体感できるブースが勢ぞろい!

世界中の様々なモノの作り方が投稿される「Instructables(インストラクタブルズ)」から、LED を使ったバッジ作り、ガムテープを使ったサイフ作りなどを体験する「SHARE」ブースも設置。このロケット型のシェルフ自体も、「Instructables」で作り方が公開されている

 「3D Photoブース」の他にも、同社ブースではデザインやモデリングを体験できるブースが用意されている。「小さなお子さんも楽しめる工夫をしています。ぜひ家族に来てほしいですね」(同社の塩澤氏)。

今年は300組の「Maker」が出展Rasberry PiやArduinoの「Maker」も増加中

せっかくなので私の作ったムック「3Dプリンタ ―デスクトップが工房になる―」もちょっとご紹介。ホビー、デザイン、アート、フィギュア、建築……等々、豊富な実践例や各種3Dプリントサービスの使い方、サービスの違いをも網羅。「3Dプリンタのはじめの一冊」として是非おすすめしたい

 事前発表会での「3Dプリンタ関連」はこのオートデスク関連のみだったが、明日からのイベント中は、そのほかにも多数の出展者が3Dプリンタ関連を扱う見込み。また、もちろん「Maker Faire Tokyo 2013」はそれだけではない。

 Maker Faire Tokyo2013広報担当の鹿野氏によると、『「Raspberry Pi」、Arduinoといった小型・安価なコンピュータの普及に伴い、それらを利用して作品を作るMakerの方々も増えています。また、Makerを対象としたサービス・商品のマーケティング活発化も見受けられます』という。

 実際、出展者数は昨年の240組から300組と増加しており、「欲しいものを自分で作る」というムーブメントの盛り上がりがうかがえる。この連休中、その熱気を是非体感してほしい。なお、3Dプリンタ関連については、続報をお届けする予定だ。

【イベント詳細】
【開催日時】 2013年 11月 3日(日)12:00〜17:00、4日(月・祝)10:00〜17:00
【会場】 日本科学未来館、タイム24ビル
【最寄り駅】
 新交通ゆりかもめ 「船の科学館駅」/「テレコムセンター駅」
 東京臨海高速鉄道りんかい線 「東京テレポート駅」
【当日券】 大人 1,500円、18歳以下 700円