ニュース

液体金属グリスにシートタイプが登場、手軽さがウリ?

 熱伝導率が20W/mK以上というシートタイプの液体金属グリスが登場、米Enerdyne Solutionsの「Indigo Xtreme」が発売された。

 1枚1回きりの使い捨てだが、「漏れたり垂れたりせず、手軽に使える」(販売しているオリオスペック)のがウリという。

 販売されているのはLGA1155/1156用とLGA2011用の2タイプで、実売価格は各1,180円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)

裏面
溶融作業の手順
溶融作業時の温度変化例

 Indigo Xtremeは液体金属を用いたシート状の熱伝導材で、同社は「Engineered Thermal Interface(ETI)」と呼んでいる。見た目は液晶保護フィルムのようで、シートの端に「コ」の字型に金属が封入されている。

 ETIの導入方法は通常のグリスとは異なる。まず、ETIの裏面のシートを剥がしてCPUに乗せ、次に表面のシートを剥がしてCPUクーラーを乗せる。そして、この状態でCPUを動作、加熱すると、金属が溶融してCPUの表面に行き渡り、クーラーと密着する、という具合だ。

 ただし、こうした構造のため、CPUの表面全体に接触しないタイプのCPUクーラー(ヒートパイプ接触タイプなど)は使用できないほか、同社のWebサイトで公開されているマニュアルによると、CPUを十分に加熱しないと金属が正しく溶融せず、高い熱伝導率を得られないという。

 マニュアルには、CPU温度を上げるために「CPUファンやケースファンの電源コネクタを抜く」「Prime95などのベンチマークソフトを実行する」といった手順も記されている。

 また、正しく溶融させるために、「SpeedFan」などの監視ソフトを用いてCPU温度の推移を見たりする必要もあったりと、導入のハードルはかなり高い印象だ(マニュアルには正常な温度推移を示したグラフが掲載されている)。

 温度が正しく推移しない場合は「正確に溶融していない可能性があり、ETIを除去してから新たに別のETIを導入する必要がある」(マニュアル)という。失敗した場合に、再利用ができない点にも注意が必要だ。

 一方、除去は簡単で、同社によれば「皮をむく様に取り除ける」という。

 このほか、同店ではETIの装着前に、グリスを除去するのに用いる同社製クリーナー「Indigo Xtreme Clean」も販売している。実売価格は1,080円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 なお、Phenom用など別のモデルもラインナップされているが、これらの入荷について同店は「要望が多ければ検討する」としている。

[撮影協力:オリオスペック]