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Trinityの殻割りをショップが成功、コア温度は5℃低下

実物を店頭で確認可

殻割りに成功したA4-5300

 8日のAMDイベント以来、にわかに話題になっているTrinityの「殻割り」だが、オリオスペックのショップスタッフが実際に成功。動作検証の結果、コア温度が5℃下がったことを確認したという。

 同店には実際に殻割りした個体があり、リクエストがあれば現物を見せることもできるそう。

 メーカー無保証、ショップも保証できない「殻割り」だが、実際の成功例が確認できたのはなかなか興味深い。

隙間に磁気カードを……

APUの写真左部中央には接着剤がない
ヒートスプレッダ側。写真右部中央には接着剤がない
この面の中央付近が接着されていなかったそう。右にある▼マークが目印
カードを差し入れた際の再現。「少しずつぐりぐりしていく必要がある」とか
このようにはがしていく(再現)
磁気カードの側面。もちろん鋭利ではない
磁気カード
検証環境

 冷却性能を上げるため、APUのヒートスプレッダを取り外す「殻割り」だが、今回のTrinityでは、8日のオーバークロックイベントでAMD自ら挑戦して失敗。その翌週、TSUKUMO eX.のスタッフが自腹で挑戦してやはり失敗、と連敗状態。

 今回殻割りに成功したオリオスペックのスタッフT氏は、TSUKUMO eX.の失敗後に挑戦を決意。APUは安価なA4-5300で、やはり自腹で購入したものだとか。

 前2件の失敗を踏まえ、慎重に進めた同氏だが、最終的にヒートスプレッダの一部が接着されていないことを発見。失敗例で使われていたカッターナイフではなく、それより薄い磁気カードをその部分に差し入れ、ぐりぐりと少しずつ接着面をはがしていったところ、チップ部品を傷つけることなく、ヒートスプレッダを外すことができたという。

 注意点は、作業中、底面のピンが折れないよう、APUをスポンジの上に置く必要があることや、取り外しに使った磁気カードがボロボロになり「多分、もう使えない」(同氏)ことなど。また、全個体でこの場所に隙間がある、と確認されたわけでもない。

 温度の低下については、床に置いたマザーボードにAPUを装着、その上にAPUクーラーを「置いて」検証した結果。CPUクーラーは本来ネジ止めの「NH-L9a」(noctua製)を使っているが、「ネジ止めしてしまうと圧力でコアが欠ける懸念があったので、単に置くだけで計測した」(同氏)そう。ヒートスプレッダ装着時も、比較のため「置くだけ」で計測したとのこと。

 肝心の計測結果は、BIOS表示で50℃。ヒートスプレッダ装着時は55℃だったそうで、都合5℃ほど下がったことになる。

 同店ではTrinityのAPU自体は販売していないが、同氏が外した「殻割り版Trinity」は店内にあり、スタッフに言えば見せてもらえるそう。

 AMDでさえ失敗する高難度な殻割りだが、実際に効果が確認されたのは興味深い。失敗したら動作しなくなることや、そもそも保証がなくなるなどリスクは大きいが、自作上級者向けの遊びとしては、なかなか挑戦しがいがありそうだ。

[撮影協力:オリオスペック]

AMD A4-5300