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「艦これ」向け?3倍速い新型Atom「Bay Trail-T」タブレットが4万円台で登場

ノートPC化する合体式キーボードまで付属

キーボードユニットとの合体時

 アーキテクチャを一新、大きく性能が向上した新型Atom「Bay Trail-T」を搭載したASUSの合体式Windows 8.1タブレット「TransBook T100TA」が発売された。

 実売価格は44,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)で、合体することでノートPCになるキーボードユニットも付属する。安価なWindowsタブレットはゲーム「艦隊これくしょん」用として注目されているが、パフォーマンスが高いこの製品は、そうした中でも特に注目を集めそうだ。

タブレット状態
実売価格は44,800円

 今回発売されたのはクアッドコアのAtom Z3740(1.33GHz)を搭載した、ストレージ32GB(eMMC)/HDD非搭載/Officeなしモデル「T100TA-DK32G」。

 姉妹モデルとしては、ストレージ32GB/HDD 500GB/Officeありモデル「T100TA-DK532GS」(11月中旬以降発売/59,800円)と、ストレージ64GB/HDD 500GB/Officeなしモデル「T100TA-DK564G」(11月下旬以降発売/54,800円)もラインナップされている。

性能は従来Atomの3~5倍?Atomでは初めてアウトオブオーダー実行に対応

 Bay Trail-Tは、CPUコアを新アーキテクチャに刷新することで「2~3倍」(Intel)にCPU性能を向上、GPUコアもIntel製に変更してGPUパフォーマンスも大きく向上させたというタブレット向けSoC。一般向けAtomでは初めて22nmプロセスで製造されており、消費電力が低いのも特徴だ。

 まず、CPUのパフォーマンス向上は新型コア「Silvermont」によるもの。このコアは、従来版Atomの性能が低い一因だったインオーダー実行方式をやめ、高性能CPUでは常識化しているアウトオブオーダー実行方式を採用したことによるもの。アーキテクチャ変更に伴い、Hyper-Threadingはサポートしなくなったが、代わりに4コアモデルがラインナップされた。メモリについても強化、LPDDR3メモリをデュアルチャネルで利用することで最大17.1GB/sのメモリ帯域を利用できる(Silvermontアーキテクチャについては別記事も参照のこと)。

 また、GPUについては、従来利用していたPowerVRシリーズのGPUコアからIntel HD Graphics(第7世代)に変更。このGPUコアはIvyBridgeの内蔵GPUとほぼおなじアーキテクチャとされている(演算器の数とクロックは異なる)。

 具体的なパフォーマンスについては、僚誌PC Watchが速報的なベンチマークを実施。BayTrail-Tの最上位「Atom Z3770」(2.4GHz/4コア)の3DMark11スコア(Ice Storm(総合))が、従来のAtom Z2760(1.8GHz/2コア4スレッド/CloverTrail)の5倍弱、Core i5-4200U(1.6GHz/2コア4スレッド/Haswell)の約6割という高い値になっており、従来のAtomとはまったく違う性能が出ていることが明らかになっている。

 今回の製品に搭載されたAtom Z3740は、動作クロックが通常1.33GHz/ブースト時1.86GHzで、コア数は4、キャッシュ容量は2MB。対応メモリはLPDDR3-1066(デュアルチャネル対応)で、最大メモリは4GB。GPUコアクロックは定格311MHz/ブースト時667MHz。設計の目安となる「SDP」(シナリオ・デザイン・パワー)は2W(TDPは非公開)だ。

 なお、Bay Trail-T搭載製品については、ASUS以外にもシャープ、デル、レノボ、富士通などがWindows 8.1タブレットを発表しているが、搭載製品を店頭で確認したのはこれが初めて。

 ちなみに、近日発売される予定の製品としては、11月15日(金)発売の富士通の「ARROWS Tab QH55/M」がある。

4万円台の10インチタブレット兼ノートPCストレージは32GB、メモリは2GB

タブレット部分のみ

 初の製品となった、TransBook T100TAは、グレアタイプの10.1インチIPS液晶ディスプレイ(1,366×768ドット)やメモリ2GB、Windows 8.1 32bitなどを搭載したタブレット端末。

 付属のキーボードドックと組み合わせればノートPCスタイルで使用可能で、さらに上位モデルではキーボードドックに500GBのHDDが内蔵されている。

 搭載CPUは先述通りAtom Z3740。バッテリ動作時間は最大15.8時間と非常に長いが、キーボードドック接続時はバッテリ動作時間が短縮。今回のT100TA-DK32Gの場合は約14.9時間、HDDを搭載したT100TA-DK532GSでは約7.6時間とされている。

タブレット部分の裏面
キーボードユニットのみ
ノートPC状態の側面
ノートPC状態で閉じてみた
展示機のストレージ状態
キャンペーン

 ストレージ容量は前述通り32GBでWindows機としては少ないが、展示機で実際に確認できた空き容量は18.7GB。使い方次第では問題なく利用できる範囲と言えるだろう。

 搭載デバイスは、タブレット側が無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)、Bluetooth 4.0、microSDカードスロット、Webカメラ(126万画素)、Micro USB、Miro HDMIなど。キーボードドック側にはUSB 3.0ポートが搭載されている。

 本体サイズと重量は、タブレットが幅263×奥行き171×高さ10.5mm、重量0.55kg、キーボードドックが幅263×奥行き171×高さ13.1mm、重量0.52kg。

 なお、ASUSではT100TA-DK32Gの購入者を対象に、32GBのmicroSDカードをプレゼントする「32GB倍返し!キャンペーン」が実施中。キャンペーンは10,000台限定。申し込みなどは不要で、対象製品にはmicroSDカードが同梱されている。

 2GBのメモリや少ないストレージ容量、32bitのWindowsなど、本格的に使い込むには制約もあるが、この価格でこのパフォーマンスのWindowsタブレット兼ノートPCが手に入るのは大きなトピック。先述の「艦隊これくしょん」だけでなく、様々な用途で利用できそうだ。

[撮影協力:ツクモeX.パソコン館]

ASUS TransBook T100TA