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「ASUS Multimedia Event」開催、USB 3.1や新展開のドライブレコーダーについて解説

text by 関根 慎一

 ASUSは、マルチメディア関連製品を紹介するイベント「ASUS Multimedia Event」を21日に実施した。会場はツクモパソコン本店4階。

 会場には、同社が20日に発表・発売したUSB DAC「Essence III」や「Essence One MKII」、STRIXシリーズのPCパーツやゲーミングデバイス、無線ルーター、ドライブレコーダーなどを展示しており、オーディオ製品については試聴も行なうことができた。

 告知でも記載した通り、セッションには近く発売予定のUSB 3.1搭載マザーボード機能の紹介や、新たに参入するドライブレコーダーについての説明も含まれていた。

速度計測用のASUS謹製USB 3.1接続SSDを初披露、当面はA-Type形状のコネクタで提供

ASUS JAPAN プロダクトマネジメントFAEの安藤善章氏
速度テスト用のSSD(左)とマザーボード付属のUSB 3.1拡張カード(右)
速度テスト用のUSB 3.1接続SSD。内部でmSATAのRAID(256GB×2)が組まれている。発売予定はない
端子部
USB 3.1拡張カード
USB 3.1では最大転送速度が10Gbpsに及ぶ
USB 2.0/3.0/3.1の速度差
USB 3.1の拡張カードが付属する国内未発売のRampage V Extreme U31
同じく国内未発売のX99 Pro USB 3.1は、オンボードでType-AのUSB 3.1端子を備える
拡張カード付属モデルとオンボードモデルの型番上の違い

 USB 3.1搭載のマザーボードに関しては、具体的な製品名と、いくつかの条件で計測した転送速度の比較を公開した。速度比較のためにASUSが特別に用意したSSDも日本で初めて見ることができた。

 USB 3.1は、規格上10Gbpsの高速転送が可能なシリアルバス規格。USB 3.0規格の5Gbpsから2倍の転送速度向上を図った。また、供給電圧が20V、電流が5A(ローパワーデバイスは1,000mA)、電源供給が最大100Wに引き上げられた。セッションではこのほか、DisplayPortをType-C端子で使える「Alt Mode」にも言及した。

 USB 3.1といえば表裏の区別がないリバーシブルタイプのType-C形状のコネクタが話題だが、ASUSではユーザーが新たにType-C形状のケーブルを調達せずに済むよう、当面はType-A形状のコネクタを採用するとしている。

 セッションの中で紹介されたマザーボードは、USB 3.1の拡張カードが付属する「Rampage V Extreme U31」と、オンボードでUSB 3.1を備える「X99 Pro USB 3.1」。いずれも国内では未発売の製品だが、ASUS JAPAN プロダクトマネジメントFAEの安藤善章氏によれば「日本に合ったものをチョイスして順次発売していく」とのこと。

 「しばらくは、USB 3.1の対応デバイスが出てくるのを待つ必要がある。転送の高速化でわかりやすく恩恵があるのはストレージでもあるし、おそらく、いち早く対応してくるのもストレージ関係のデバイスではないかと予想している」(安藤氏)

 なお同社では、USB 3.1搭載マザーボードをリリースするにあたって、ソフトウェアの面でもアップデートを行なっている。具体的には、ASUS独自機能の総合管理ツール「AI Suite」のうち、USBの転送速度を向上する「USB 3.0 Boost」が「USB 3.1 Boost」にバージョンアップしており、セッションではBoostを有効にした場合と無効にした場合の速度比較結果を発表していた。

左がUSB 3.1 Boost無効時、右が有効時
USB 3.1接続のSSDをUSB 3.1とUSB 3.0のインターフェイスに接続した場合の速度比較。USB 3.0ではインターフェイスがボトルネックになっている
CrucialのSSD「MX100」をUSB 3.0の外付けケースに入れて速度を計測した結果の比較。USB 3.0世代のデバイスでも使用時の速度向上が期待できる

台湾のドライブレコーダー市場はセキュリティ用途が中心、次期製品にはSIMが載るかも?

FalconView LIVE
ASUS JAPANプロダクトマネージメント アカウントマネージャーのPeter Chen氏
前方140度の視野角を持つ
夜間でも視認性を確保するHDR機能

 ASUSが海外で展開しているドライブレコーダーは複数あるが、会場ではこのうち「FalconView LIVE」を展示していた。140度の広視野角とHDR機能による高い視認性を特徴とする。2014年8月に同社が開催した「ASUS Open Gallery 2014 Summer」でも展示していた製品だ。セッションでは、走行サンプルとして秋葉原と有楽町を移動する様子の記録映像を流していた。なお、発売時期や価格などは未定。

30fpsのフルHD動画記録が可能
昼の走行サンプルは秋葉原、夜の走行サンプルは有楽町。いずれも周辺部にやや流れが見られるが中心部付近の画質はシャープだった

 ASUS JAPANプロダクトマネージメント アカウントマネージャーのPeter Chen氏によれば、台湾におけるドライブレコーダーは、セキュリティ確保のための手段という側面が強いという。

 「自動車を使う業務では、かなりの割合でドライブレコーダーの設置が進んできている。特にタクシーでの導入が多い。万が一事故が起きた時の状況記録に備えるほか、場合によっては内側に向けて設置することで、乗客による犯罪の抑止力にもなる。個人でも、運転状況の記録を取る目的で設置するケースが増えてきた」(Peter氏)

 プロダクトとして最初のドライブレコーダーは比較的ベーシックな製品に仕上がっているが、今後発表するドライブレコーダーには、これまでにない、新しい機能の搭載を検討しているという。

 「それぞれの国に合わせた製品開発をしていく必要がある。台湾ではセキュリティ目的で設置されることの多いドライブレコーダーだが、日本市場では必ずしもそうではない。例えば旅先の思い出を記録する手段の1つとして旅行へ持って行ってもいいし、車載動画配信に使ってみてもいい。次の製品では、アクションカム『GoPro』のような使い方ができるように発展させる可能性もある」(Peter氏)

 Peter氏はASUSのドライブレコーダーに関して、既存の使い方に縛られない、新しい使い方を提案していきたいとの意向を示し、取材に対していくつかのアイディアを挙げてくれた。一例としては「SIMカードを搭載できるようにして、クラウド連携機能を付けたい」といったもの。ドライブレコーダーに通信機能を搭載することで、撮影した映像をほぼリアルタイムでクラウドストレージに保存できるようになるメリットが考えられる。

そのほかの展示品など
2014年EISA AwardのUSB DAC部門を受賞したEssence III。ピュアオーディオ分野でのブランディングはこれからという
Essence One MKII。2.8MHzまでのDSDに対応し、旧機種からカラーや表面仕上げなどに高級感をもたせている
X99 Pro USB 3.1をベースに、STRIXシリーズやXONAR Essenceシリーズのボードを加えたシステム構築例
ゲーマー向けヘッドセット「STRIX DSP」とマウスの「STRIX CLAW」、マウスパッドの「STRIX GLIDE SPEED」(左)、「STRIX GLIDE CONTROL」(右)
Essence IIIをはじめとしたオーディオ製品の試聴を行なった第1セッションでゲスト登壇したオンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社の原田氏
各セッションの合間には、無線ルーター「RT-AC87U」が当たるじゃんけん大会も実施された