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ウルトラワイド液晶でMMORPGに浸る、「エルダー・スクロールズ・オンライン」を最高に楽しむための液晶選び
3画面、4K、ウルトラワイドに高fps、最高の没入感を求めてリッチな環境を一気にテスト text by 加藤勝明
2016年8月10日 11:00
パッと遊んでパッと終われるeスポーツ系ゲームもよいが、じっくりと腰を据えて楽しめるMMORPGもよいものだ。そこでオススメしたいゲームは、最近DMMから日本語版が発売された『エルダー・スクロールズ・オンライン(The Elder Scrolls Online:以降ESOと略)』だ。
“The Elder Scrolls”シリーズといえば、ソロプレイが主の「Oblivion」や「Skyrim」が有名。FPSでいうところの「CoD」シリーズ位メジャーなRPGといえる。そのOblivionやSkyrimの世界観をオンラインRPG化したのが今注目のESOなのだ。
ただESOを快適に遊べるPCだけ組みました……では面白くない。ゲームの世界から抜けられなくなるほど没入できる環境を模索するのが今回の目的だ。特に今回はESOの雰囲気を満喫できるディスプレイ環境を追求してみたい。
具体的には、4Kや144Hz表示、フルHD×3画面に21:9ウルトラワイドなど、ゲームをする上で理想とされるようなリッチな環境を用意し、どのようなディスプレイがESOの世界を楽しむのに適しているのかを検証してみた。
「Oblivion」や「Skyrim」の世界を楽しめるMMORPG
プレイの気楽さと濃厚な作りこみが◎の「The Elder Scrolls Online」
ESOのパフォーマンスを云々する前に、ESOはどんなゲームかを簡単に解説しておきたい。
既存のThe Elder Scrollsシリーズと同じ“タムリエル”が舞台。ファンタジーではおなじみのハイエルフやオーク等のほかに、The Elder Scrolls世界独特の種族(ノルドやレッドガード)といった人種、さらにはトカゲや猫人間といった獣人も選択できる。
さらに職業は戦士系から魔法系まで揃っているが、いわゆる“戦士は剣と甲冑、魔法使いは杖とローブ”みたいな縛りはない。Skyrimと同様のスキル制(使った分だけ上手になる)ため、重装甲&両手剣のソーサラーのような極端なビルドも可能だ。
戦闘は全てリアルタイムで進行する。マウスボタンを長押しすると強攻撃になったり、敵の範囲攻撃を動いて避けるといったアクション要素はあるが、ダークソウル系のようなシビアさはない。
回復魔法が使えるクラスもあるが、戦闘から数秒離れるだけで体力は全回復するので、絶対に必須という訳でもない。基本ソロ、時々グループ、そしてタムリエル中央をめぐっての同盟戦と、様々なプレイスタイルのプレイヤーを受け入れるコンテンツが揃っているのだ。
ESOのキャラメイクはベースとなる10種族(うち1種類は初期限定版もしくはDLC)にクラスと同盟をピックアップすることから始まる。
キャラの顔や体格も細かく設定できるが、いわゆる“Skyrim顔”になる。国産ゲームやアニメに出てくるような美少女やロリキャラを作るのは諦めた方がよい。
“ケモノ成分濃厚”な獣人族が用意されているのも洋ゲーらしい部分といえる。種族ごとに得意なことや固有スキルがあるが、それを無視してビルド遊ぶのも自由だ
キャラを作ってから暫くはチュートリアルを兼ねたソロパートだ。ここで基本的操作を身につけよう。といっても殴って防御して仕掛けにインタラクションすることを覚えればすぐに終わる。
完全日本語版なのでクエストのダイヤログも全て和訳済み。キャラやESO世界の背景などの作りこみもじっくり堪能できる。
戦闘は自分の好きなスタイルで進めよう。敵の範囲攻撃を示す赤いエリアが出現したら、速やかに位置取りを変えないとまともに攻撃を食らうことに……。
敵に集中線が出たらすかさず防御。マウスの右と左ボタンを同時押しで防御を行うと、相手を一瞬ひるませることができる。シビアな操作は不要だが相手の挙動を見て操作できる程度のフレームレートは必要だ。
キャラはスキルポイントの割り振りで様々なビルドが楽しめる。またある程度育ったスキルは変異させることで追加効果を得ることができる。どんなに成長しても使えるスキルは5個(プラス特殊スキル1個)なので、取捨選択が重要
今時のゲームらしく、移動はファストトラベルを利用。無駄に長時間ユーザーを歩かせるだけといったストレスが溜まるような部分は極力抑えられるようになっている。インスタンス(ダンジョン)でさえもファストトラベルで巡回可能だ。
日本語版ESOのはじめ方、ロースペック寄りのPCでも動作する窓口の広さ
GTX 750 Tiクラスのカードがあれば快適に
今回は日本語版ESOの導入の仕方も合わせて紹介しよう。インストールDVD入りのパッケージ版もよいが、ここではダウンロード用のコードを入手した時の手順を解説する。
まずは日本語版ESOの公式サイト内のストアからESO本体を購入しよう。
コードを購入したら公式サイトから「DMM GAME PLAYER」をダウンロードしてインストール。DMMのゲームなのでDMMアカウントが必要だ。
DMM GAME PLAYERの「ライブラリ」を開き、右上の「アクティベーションコードの入力」をクリックし、コードを入力。ライブラリにESOが出現すればひと安心。
「インストール」ボタンを押すとインストール先を指定するよう指示されるが、ゲームの容量は85GBもあるため、容量少なめなSSDをCドライブにしている場合は注意が必要だろう。
デフォルトは自分(ユーザー名)のライブラリ内にESOのフォルダーを作成するようだ。Cドライブの容量が少ない場合は、ゲーム用のドライブなど別途を用意すると良いだろう。
DMM GAME PLAYER上で初期導入が終わったら、ESOのランチャーで残りのデータを落とす。ネットワークの状態にもよるので更新ファイルが反映されるのを気長に待つべし。
最小構成
CPU Core i3もしくはA8-3870K以上のCPU
メモリ 3GB
グラフィック GeForce GTX 460またはRadeon HD 6850以上(VRAM1GB)
ストレージ 85GB以上の空きスペース
OS Windows 7 32bit以上
推奨環境
CPU 2.3GHz以上の4コアCPU
メモリ 4GB
グラフィック GeForce GTX 750またはRadeon HD 7850以上(VRAM 2GB)
ストレージ 85GB以上の空きスペース
OS Windows 7/8.1 64bit
公式サイトの情報をもとにWindows版ESOの要求スペックをまとめてみた。推奨スペックは低めだがストレージの空き容量には注意。
また、ESOは内蔵GPUで動作するが、内蔵GPUのVRAMはメインメモリから確保されるという点には気をつける必要がある。メモリは最小構成を満たすのに最低でもPCに4GB搭載されている必要があり、推奨環境であれば6GB以上は必要だ。
ちなみに、ESOの公式サイトで紹介されている推奨PCは、エントリークラスでもメモリが8GB搭載されているので、これを下限の環境とみておいた方が良いだろう。
以上の推奨スペックから、ESOは負荷が割と軽いゲームということがわかる。そこで推奨環境に近いCore i3-6100+GTX 750Tiのマシンを準備し、フルHD+高画質設定でどこまで動くか試してみた。
この組み合わせだと画質をすべて最大にした設定では重いシーンで50fps台へ落ち込むことがあるものの、プリセットの“高”設定にすれば安定して60fps以上をキープできた。フルHD液晶で遊ぶことだけを考えれば、PCは安めの構成でも良い、ということがわかる。
最高の没入感を得るためのディスプレイ環境を考える、特徴の異なる4種の液晶を容易
PCはi7-6700K + GTX 1080構成
というわけで、今回の本題となる「ESOにどっぷり浸るための最高のディスプレイ環境」を考えてみたい。
フルHDのIPS液晶はベースラインとして、これよりも快適な環境を試したいところだ。そこで思いついたのが4K&超高画質プレイと高リフレッシュレートなゲーマー向けWQHD液晶、さらに21:9のウルトラワイド液晶、そしてゲーマーの夢であるフルHDの3画面構成を用意した。
ただこの検証ではハードの処理性能でボトルネックが発生するのはまずい。そのため検証時は推奨環境よりもはるかに高いi7-6700K+GTX 1080というハイパワーPCを準備した。
144Hz表示対応/2,560x1,440ドットの27インチディスプレイ『EIZO FORIS FS2735』
現在ゲーミング液晶の主戦場はフルHDからWQHD(2,560x1,440ドット)へ移行している。4Kにもゲーミング液晶がいくつかあるものの、4KのIPSパネルはリフレッシュレートが60Hz止まりなため、144Hzの高リフレッシュレートが出せるWQHDが今の技術ではベストバランスなのだ(4KだとGTX 1080クラスでもGPU側が息切れするという側面もある)。
暗部を見やすくする「Smart Insight」をはじめFPSゲーマー向けの機能が揃っているが、アクション要素のあるESOでどの程度働くか見ものだ。
4K/IPSの32インチディスプレイ『EIZO EV3237-BK』
精彩さを重視するなら4K&大画面でプレイするのが理想的だ。4Kディスプレイは小さいものは24インチからあるが、27インチ程度では今ひとつ没入している感に欠ける。迫力と小さい文字の見やすさを優先するなら32インチが欲しいところだ。
今回用意したEIZOの32インチIPS 4Kディスプレイはお値段17万円前後と値ははるが、32インチ4Kとしては最高のクオリティを備える。応答速度は5ms(GtoG)とゲーミング液晶と比べると遅めだが、eスポーツ系ゲームのようなシビアなゲームでなければ、十分ゲームプレイに耐えてくれる。
21:9/34インチのウルトラワイドディスプレイ『Dell U3415W』
没入感を得るためには縦より横の広さが重要。さらに視線に合わせて湾曲しているものが理想的だ。
そこで登場するのがデルの21:9湾曲ディスプレイだ。この手のウルトラワイド液晶はゲームによっては対応しないものもあるが、ESOは問題なく利用できた。横方向の解像度が3,440ドットに対し縦方向の解像度は1,440ドットと狭いぶん、GPUへの負担も少ない。ただし箱が凶悪なほど大きいため導入時は注意したい。
緩い湾曲のある27インチフルHDディスプレイ『Dell SE2716H』
VRヘッドマウントディスプレイ以外で映像に包まれる状況を作り出そうとするなら、もう液晶3画面構成しか残されていない。
安いフルHD液晶で3画面にしても面白くないため、今回は湾曲液晶を3枚並べることに。デル製のSE2716Hは表面がグレアタイプなのが難点だが、ベゼルが細く接近させても境界線が気になりにくいのがメリットだ。
テスト用PCに使用した機材
ESOの推奨CPUは2.3GHzの4コアCPUと非常に曖昧な指定になっているため、CPUがボトルネックにならないよう一番速いものを選択。ビデオカードは一般ユーザー向けとしてはトップに君臨するGTX 1080のOC版を準備。そのほかゲーミング向けのマザーボードにSSDを用意した。
144Hz液晶vs4K液晶、ESOの世界に浸るならより高解像度なディスプレイがお勧め
それでは、実際にどういったディスプレイ環境がESOに適しているのか、144Hz表示環境、4K環境、フルHD×3画面環境、21:9のウルトラワイド環境とインプレッションをお届けする。
まずは高フレームレートと高解像度でどちらが没入感に影響するのかをチェックしてみたい。
なお、ESOは標準設定のままだと、フレームレートが100fpsより上にならないようリミッターが掛けられている。4K液晶の検証ならこれでも良いが、今回は144Hz動作の液晶があるためリミッターを解除しておく必要がある。その方法は以下の画像の通りだが、直接設定ファイルを編集する必要があるため、読者諸氏が試す場合は自己責任で行って頂きたい。
動きの見やすさは144Hz表示のゲーミング液晶が優位
まずはFORIS 2735を使ってESOをプレイしてみた。
液晶から50cm程離れた所で見ると、ほぼ視界の中心はゲーム画面で埋まるが、左右のベゼルが否応なく目に入るため「ゲーム画面を見ているな」という意識は常にどこかにある。だが素早く動くキャラの造形は普通の60Hz液晶より格段に観やすい。
FORIS 2735の設定ユーティリティー「G-Ignition」内のESO用の設定を使えば、より視認性も高くなる。ただ筆者はRPGに関しては暗闇は暗闇のままが良い派なので暗部強調等の機能は使わなかった。
ただGTX 1080といえど、全設定を最大にすると、オブジェクトの多い場所ではフレームレートの落ち込みが激しい。そのためFS2735で高リフレッシュレート設定にする場合は、画質は“高”がオススメだ。
映像のキレと迫力は4K液晶、没入感を高めるには高解像度化が効果的
続いて、EV3237-BKでプレイした際の様子だが、ESOとは相性が良いと言える。
FS2735のような高フレームレート液晶は、GS:GOやOverwatchのようなゲームで激しい動きを追いかけるにはよいが、ESO程度のアクションだとそこまでフレームレートがなくても普通に遊べてしまう。そして何より、ESOの描画エンジンは解像度を下げるとテクスチャーやオブジェクトの細部が描かれなくなり、逆に解像度を上げると目に見えて精細感が高くなる特性がある。
32インチ4K液晶なら60fps出せれば十分だし、実際にプレイしてみるとパネルサイズが大きいぶん没入感も高い。ここ最近の大型タイトルなどは、最高画質&4Kだとフレームレートが快適に遊ぶにはほど遠いといったことも珍しくないが、ESOは4K環境でも現行のPCパーツでしっかりフレームレートが出るのもポイントだ。
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高フレームレートにも良さはあるが、144Hzゲーミング液晶と32インチ4K液晶でESOを遊ぶなら、映像のキレと迫力で勝る後者の方が断然印象に残った。
フルHD液晶×3画面vs21:9ウルトラワイド液晶、“ゲームを遊ぶ”点ではウルトラワイド液晶がベター
32インチ4K液晶の破壊力の凄さは凄まじいが、21:9の湾曲ウルトラワイド液晶や湾曲3画面(横6K)環境はどうだろうか。視野をゲーム画面で埋めることで没入感がどう変化するのかも試してみた。
3画面環境などはゲームプレイ環境の理想型の一つとしてあげられることが多いが、それほど凄い効果があるのか見ていきたい。
映像に包み込まれる3画面環境、映像的な迫力は正直驚かされるレベルだが……
まず試してみたのは湾曲フルHD液晶「SE2716H」の3画面による横6K環境。ディスプレイの湾曲を活かすように設置すると、見事に視界の9割程がゲーム画面で占有される。
視野がほぼ画面で埋まるため、VRヘッドマウントディスプレイを装着している感じに近いといえる。ゲーム内に居るような世界の広さを感じられる気持ちよさもあり、この「ぐるっと囲まれる感」はかなり凄い。
「こりゃ凄い!」と思ったが、ゲームを快適に遊ぶという点では問題があった……。ESOの情報ウインドウは左右の端に表示されるため、左端と右端へ視線を移動させるのに結構疲れる。
ESOにはアドオンという形でUIの位置を変更する機能もあるが、アドオンはメーカーが用意しているものでは無いため、環境によっては使用できなかったり、導入にノウハウが必要なものもある。ゲームが動作しなくなる可能性もあるので今回は導入を見送ったが、これを上手く利用しない限り、3画面環境でプレイするのは疲労度的に厳しい。
映像に包み込まれる心地よさはかなりのものだけに、惜しいといった感じだ。
視野の広さとゲームプレイのしやすさを両立、導入が楽な21:9のウルトラワイド液晶
最後に比率21:9で3,440×1,440ドットのU3415Wでのプレイ感を紹介する。
34インチの21:9湾曲ウルトラワイド液晶でも左右にメニューが分離する問題は残っているが、視線移動距離が近いことや邪魔なベゼルが視界に入ってこないため、プレイは3画面環境よりも快適だ。
映像に包み込まれれる度は3画面の方が上だが、1枚でセットアップが終わる手軽さも捨てがたい。
4K液晶1枚より縦方向が短いため実作業では寸詰まり感があるが、ゲームではいい感じのサラウンド感が得られる。ちょうど正面を見ていても周辺視野でも見やすい場所に左右の端が来るため、画面全体で何が起こっているかを把握しやすいのだ。
3画面環境だと左右の画面の絵は盛大なパースが付くが、21:9液晶だと歪まない視野がそのまま横に長くなるため、左右の映像も見やすいというメリットもある。
導入のしやすさなど、様々なバランスを考えると、3画面環境よりもウルトラワイド液晶環境の方がお勧めしやすい。
ESOで試す限り、世界観に浸ること自体が楽しさに繋がるMMORPGでは、プレイ時の操作性が損なわれないのであれば、視野はなるべくゲーム画面で埋めた方が心地良いと言えるのではないだろうか。
MMORPGに浸るための優先度は、視野の広さ、解像度の高さ、fpsの高さの順
144Hz表示環境、4K解像度環境、フルHD×3画面環境、ウルトラワイド液晶環境とチェックしてみたが、ESOの世界に浸るのであれば、視野の広さ、解像度の高さ、fpsの高さの順で没入感が増す結果となった。
もちろん4K×3画面かつUI位置の問題も無く、さらに高フレームレートが理想の環境ではあるが、それに必要なPCスペックや、導入コストなどを考えると現実的では無いし、そもそも現在のPCパーツで構築可能なのかも不明だ。そういったことを加味すると、今回テストした中ではウルトラワイド液晶環境がESOを最も楽しめる環境と言えるのではないだろうか。
映像のサラウンド感がある方が実際にMMORPGの世界にいるような広がりを感じられるので、ゲームをより楽しみたいユーザーは是非導入を検討してもらいたい。
[制作協力:DMM GAMES]