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実測3.4GB/s超え、最速を狙えるNVMe SSD「WD Black NVMe SSD」をテスト

放熱性も実性能も優秀なWestern Digital渾身の最新鋭ハイエンドSSD

 2018年5月、Western Digitalの新たなハイエンドSSD「WD Black NVMe SSD」が登場した。

 最新の3D NANDに独自開発のコントローラの組み合わせ、最高のパフォーマンスと耐久性を目指して設計された、WDブランドのフラグシップモデルだ。公称値も前世代から大きく向上しており、読み込み速度は現行最速クラスとなる3.4GB/sとうたわれている。

 Western Digitalが最速SSDを狙って設計した「WD Black NVMe SSD」の実力がどのようなものなのか、特性をチェックしてみよう。

オリジナル設計のコントローラを採用、最速を狙って設計されたリード3.4GB/sの超高速SSD

 Western DigitalのWD Black NVMe SSDは、2017年に発売された「WD Black PCIe SSD」の後継製品となるNVMe SSD。フォームファクターはM.2 2280 (Key M)で、インターフェイスはPCI Express 3.0 x4。

WD Black NVMe SSDの1TBモデル「WDS100T2X0C」。
WDS100T2X0Cの基板裏面。片面実装となっており、基板色にはWD Blackらしいマットブラックを採用している。

 容量ラインナップは、250GB、500GB、1TBの3モデル。パフォーマンスを追求したWestern Digital独自設計のコントローラの採用により、リード最大3.4GB/sec、ライト最大2.8GB/secという高い性能を実現している。

 また、3D TLC NANDの採用により、最大600TBW(1TBモデル)の高耐久を実現している。先代のWD Black SSDと同一容量で比較すると約1.9倍もの耐久性を実現しており、高解像度の画像や動画ファイルの読み書きが多く発生するクリエイター用途にも好適だ。

 WD Black NVMe SSDでは、SSDユーティリティの「Western Digital SSDダッシュボード」と、OS移行も可能なクローン作製ソフトウェア「Acronis True Image WD Edition」が無料で利用できる。

 両ソフトウェアはWestern Digitalのウェブサイトからダウンロードできる。SATA SSDからの乗り換えるユーザーにとって、無料でAcronis True Imageが利用できるのは大きなメリットとなるだろう。

Western Digital SSDダッシュボード。SSDの健康状態確認やファームウェア更新が可能な純正ユーティリティ。
Acronis True Image WD Edition。OSの移行などが行えるクローン作製ツール。

実測値はリード3.4GB/s超、現行最速クラスの性能を遺憾なく発揮

 まずは定番ベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」を使ってWD Black NVMe SSDのパフォーマンスをチェックしてみよう。

 テストするのは1TBモデル「WDS100T2X0C」で、その他のテスト環境は以下の通り。

 CrystalDiskMarkの基本設定であるテストファイルサイズ1GiBでは、リード3.4GB/sec、ライト2.8GB/secという、スペック通りのパフォーマンスを発揮している。

 テストファイルサイズを大きくすると、4KiB Q8T8の読み書き性能がやや低下する他、32GiB時はシーケンシャルライトも2.4GB/sec弱まで低下する。こうした性能低下はTLC NANDフラッシュを採用したSSDでは一般的なものなのだが、WDS100T2X0Cの結果は性能低下をかなり小さく抑えた優秀なものだ。

テストファイルサイズ 1GiB
テストファイルサイズ 8GiB
テストファイルサイズ 32GiB

SATAからの乗り換えて性能向上を体感できる?実パフォーマンス重視のセッティング

 WD Black NVMe SSDが非常に高速なモデルであることはわかったが、他のSSDと比べてこの結果はどの程度のものなのだろう。先代のNVMe SSDである「WD Black PCIe SSD」の512GBモデルと、SATA SSDである「WD Green PC SSD」の240GBモデルと比較してみた。

「WD Black NVMe SSD」の1TBモデル「WDS100T2X0C」。
前モデルにあたる「WD Black PCIe SSD」の512GBモデル「WDS512G1X0C」。
SATA接続の「WD Green PC SSD」の240GBモデル「WDS240G2G0B」。
テストファイルサイズ 1GiB
テストファイルサイズ 8GiB
テストファイルサイズ 32GiB

 先代モデルのWD Black PCIe SSDとの比較では、シーケンシャルアクセスでリード1.7~2倍、ライト3.2~4倍。4KiB Q8T8でもリード2.1~2.4倍、ライト2.8~3.3倍と圧倒的なスピードをみせている。

 唯一、4KiB Q32T1のライト性能のみ先代モデルの方が高速だが、実環境ではより頻度の高い4KiB Q1T1のライトでは1.3倍の性能を発揮しており、このあたりは実環境でのパフォーマンスを重視したコントローラ設計によるものかもしれない。

 SATA SSDとの差はより極端なものとなっており、ランダムアクセス性能では数十倍の差がついているものもある。SATA SSDからの乗り換えで、大きな性能向上が見込める製品であることを示す結果と言えるだろう。

低発熱で超高速、放熱性能も良好な新世代のWD Black

 続いて、WD Black NVMe SSDの発熱具合について、テストファイルサイズ32GiBでCrystalDiskMarkを実行した際に取得したモニタリングデータを使って確認してみよう。

ベンチマークテスト実行中のSSD温度と転送レート CrystalDiskMark (テストファイルサイズ:32GiB)。

 室温28℃の環境下で特に放熱対策をせずにベンチマークを実行した結果、動作中のSSD温度のピーク値は82℃だった。

 データ転送レートをみてみると、書き込みテストの4KiB Q8T8の終盤、SSD温度が80℃を超過したあたりで転送レートが大きく落ち込んでおり、サーマルスロットリングが作動したことが伺える。

 サーマルスロットリングが作動するほど温度が上昇するのは、SSDの負荷がピークに達するシーケンシャルアクセスと4KiB Q8T8の実行中のみで、その他のテスト中はより低い温度で動作している。

 CrystalDiskMark実行前後で撮影したサーモグラフィ画像をみても、テスト終了時点で表面温度は60℃台まで低下しており、放熱性はなかなか良好。超高速モデルとしては発熱もうまく抑えられている。

 単体で使用した場合は高負荷時に若干サーマルスロットリングがかかるが、発熱が厳しいといわけではないので、ヒートシンクなどと組み合わせたりすることでピーク性能を維持したまま使用することも可能だろう。

テスト実行前。
テスト実行後。

アプリケーションの起動なども高速化、実パフォーマンス重視のユーザーにお勧め

 CrystalDiskMarkで先代モデルやSATA SSDを圧倒するパフォーマンスを発揮したWD Black NVMe SSDが、実際の利用シーンではどのようなパフォーマンスを発揮するのか、ゲームのロード時間やアプリの起動時間で比較してみた。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
Photoshop CCの起動
Windowsの再起動

 リード性能が問われる今回のテストでは、WD Black NVMe SSDと先代モデルのWD Black PCIe SSDがかなり肉薄しているが、ファイナルファンタジーXIVベンチマークやPhotoshop CCの起動時間では4~5%ほどの高速化が見られる。読み出すファイルのサイズが大きくなれば、この差はさらに拡大する可能性がありそうだ。

 SATA SSDに対しては、ファイナルファンタジーXIVベンチマークやPhotoshop CCでは約1.5倍の速度でロードを完了している。Windowsの再起動も1割ほど高速で、SATA SSDからの乗り換えならどのような用途でも性能向上の恩恵が得られるだろう。

速度も耐久性も一級品。Western Digital渾身のハイパフォーマンスSSD

 先代モデルから速度と耐久性を大きく向上させたWD Black NVMe SSDは、現在発売されているNVMe SSDの中でもトップクラスの実力を持っており、Western Digitalの本気が感じられる製品だ。

 用途を問わず高い性能が期待できるSSDであり、ハイパフォーマンスSSDを求めているユーザーにとって有力な選択肢となるのはもちろんのこと、システムドライブにSATA SSDを利用しているユーザーの乗り換え用SSDとしてもおすすめだ。

[制作協力:Western Digital]