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高耐久14TB HDDは本当に安心?24時間×6ch同時録画で試してみた

14TBなら地デジは1,700時間以上の録画が可能、1ch×2か月連続録画も text by 坂本はじめ

 SeagateのNAS向けHDDである「IronWolf」は、24時間365日の連続稼働をサポートしている。エンタープライズモデルやNAS用HDDなどでは見かけるが、これはスタンダードなデスクトップPC向けHDDにはない特徴だ。

 常時稼働に対応するというIronWolfの特徴は、NAS以外の用途でも生かせる場合がある。その典型とも言えるのがTVキャプチャ用途での利用だ。多数のチャンネルを同時録画したり、超長時間録画などといった用途は常時稼働モデルの特性と相性が良い。

 今回はIronWolfシリーズ最新かつ最大容量の14TBモデルを使って、地上波デジタルテレビ放送の6チャンネル同時&24時間連続録画を試してみた。NAS向けのモデルではあるが、こうした用途でもパフォーマンスを発揮するのか確認してもらいたい。

24時間365日の連続稼働に対応するNAS向けHDD「IronWolf」

 今回のテストに用いるHDDは、Seagate IronWolfシリーズの14TBモデル「Seagate ST14000VN0008」。

 ヘリウムガス封入タイプの製品で、24時間365日の常時稼働に対応する他、耐振動のためのRVセンサーを備え、MTBFも100万時間という信頼性の高さを備えている。

 現時点で、IronWolfシリーズ最大容量のモデルであると同時に、HDDとしては最高クラスのパフォーマンスも備えており、CrystalDiskMarkの実行結果ではリード・ライトともに260MB/s近い転送速度を実現している。

 なお、同モデルのレビューは前回行っているので、詳しくはそちらを参照してもらいたい。

Seagate ST14000VN0008。ヘリウムガス封入技術によって14TBを実現したHDD。
CrystalDiskMarkの実行結果。HDDとしては最高クラスの性能を実現している。
IronWolfは24時間365日稼働を前提とした設計のモデル。
マルチユーザー環境や高負荷作業に使用されることも想定されており、複数同時アクセスがあっても性能を発揮しやすい。

シングルチューナー×4台 + ダブルチューナー×1枚で6チャンネル同時録画環境を構築

 今回は高耐久性をうたうHDDが本当に負荷をかけても安心して使えるのか、地上デジタルテレビ放送(地デジ)の6チャンネル(NHK総合+在京キー局5社)を同時に24時間連続で録画し、連続負荷に対する安定性を検証するというのが今回のレビューの趣旨だ。

 これを実現するためのキャプチャ機材として、アイ・オー・データ製のシングルチューナー「GV-MVP/AZ」を4台と、同じくアイ・オー・データ製のダブルチューナー「GV-MVP/XS2W」を1枚用意した。これらを接続するPCには、Core i7-8700Kを搭載したIntel Z370環境を利用している。

USB 2.0接続の地デジチューナー「アイ・オー・データ GV-MVP/AZ」。
PCI Express x1接続の地デジチューナー「アイ・オー・データ GV-MVP/XS2W」。1枚で2チャンネルの同時録画が可能なWチューナー。
今回はGV-MVP/AZを4台と、GV-MVP/XS2Wを1枚使用し、6チャンネル同時録画環境を構築した。

 アイ・オー・データの録画アプリ「mAgicTV 10」は、1番組(予約録画)あたり最大24時間、最大8チャンネルの同時録画に対応しており、今回の6チャンネル連続24時間録画を実行できる。録画ファイルの保存先をSeagate ST14000VN0008に指定すれば録画の準備は完了だ。

録画アプリの「mAgicTV 10」。同アプリの予約録画機能を使って6チャンネルの24時間同時録画を実行する。
mAgicTV 10の録画ファイルの保存先をSeagate ST14000VN0008に指定。全領域を使用した場合、地デジ(1,440×1,080i)であれば1,700時間以上の保存が可能だった。

6チャンネル24時間の連続録画もあっさりこなす高耐久HDD平均書き込みレートは12MB/s前後で推移

 では、実際に6チャンネルの24時間連続録画を実行した結果を見ていこう。なお、各チューナーの録画については、放送データを特に圧縮せずに記録する「DRモード(MPEG2-TS形式)」で実行している。

 まず、録画の成否に関してだが、6チャンネル全て特に異常なく24時間の連続録画を完了することができた。録画ファイルの合計容量は約965GB、1TBに迫る容量を消費した。

録画ファイルの合計容量。

 録画中、タスクマネージャーでHDDへの書き込み速度を確認してみたところ、0~25MB/s程度で推移していた。常に一定のデータが転送されているというより、バッファされたデータを逐次書き込んでいるというような動作だ。

 mAgicTV 10のDRモードで地デジを録画した場合、動画ファイルのビットレートは約17Mbps(=約2.2MB/s)で記録されるため、これを6倍すると102Mbps(=12.8MB/s)となるので、タスクマネージャーの数値が妥当なものであることが分かる。

タスクマネージャーで確認した、録画中のHDDへの書き込み速度。

 録画実行中のPCの動作状況をモニタリングソフトの「HWiNFO v5.90」で記録し、そこからHDDへの書き込み速度と総書き込み容量の推移をまとめたものが以下のグラフだ。

 グラフを見ていると、グラフ中で経過時間が11時間前後になった際に書き込みレートが低下していることに気づくだろう。これは、この時間帯に日本テレビが試験電波放送を行っていたのが原因だ。カラーバーのみの画面表示となったことで録画ビットレートが低下し、結果として書き込みレートも低下したという訳だ。

 書き込みレートのピーク値が下がっているので大きな変化に見えるが、平均ビットレートは12MB/sから10MB/sに低下しただけであり、1チャンネル分のビットレートが抜けたものとみれば自然な変化であることが分かる。録画データ自体も視認して確認しているが、このタイミングでHDDやPCに異常が発生していたわけではない。

タスクマネージャーで確認した、録画中のHDDへの書き込み速度。

 今回は6チャンネルを24時間、すなわち延べ144時間分の地デジ放送を録画した。これで約1TBの容量を消費するということは、利用可能な容量が12.7TBのSeagate ST14000VN0008は6チャンネルの同時録画を12日間以上続けることが可能ということになる。また、1チャンネルの連続録画であれば、計算上はその6倍となる72日間の連続録画が可能だ。

 地デジ放送を1チャンネルであれば2か月以上に渡って記録し続けることが出来るというのは、HDDの最大容量である14TBがいかに大きなものであるかを再認識させられるデータだ。

 なお、一般用途向けとされている廉価モデルのHDDは、一日の連続稼働時間は5~8時間前後といった用途を前提に設計されている。このため、今回のような長時間連続稼働環境で使用した場合、過剰負荷によって想定よりかなり早く壊れる可能性がある。HDDを長持ちさせるには用途に合わせたモデルを選ぶことも重要になるので、購入時の際に気にしてもらえれば幸いだ。

超長時間録画を行うヘビーユーザーも安心、連続稼働に適したIronWolf

 今回のテストにおいて、NAS用HDDであるIronWolfは、かなりヘビーな録画用途でも特に問題なく利用することが出来た。

 最大容量の14TBモデルであれば、1チャンネルで2か月以上、6チャンネルでも1週間以上に渡る長期間の連続録画が可能だ。

 このように、NASに限らず、長時間の連続稼働が求められる用途において、信頼して使うことのできるIronWolfはヘビーユーザーにおすすめのHDDといえる。

 本来の用途であるNASや、今回試したテレビ録画はもちろん、長時間PCを稼働させることが多いのであれば、IronWolfの導入を検討してみてはいかがだろうか。

 Seagateは「IronWolf」および「IronWolf Pro」の4TB以上のモデルを購入したユーザーを対象に、1,000円分のVISAギフト券をプレゼントするキャンペーン「日本シーゲイト IronWolf キャンペーン 2018 冬」を実施している。

 11月25日~12月31日までに購入した分が対象(中古品は対象外)で、購入日と購入製品がわかるレシートなどを撮影し、応募ページから申し込むことでギフトカードをもらうことができる。日本の販売店であれば、店舗/通販問わず対象になるとのこと。

 購入を予定しているユーザーはぜひこちらのキャンペーンも活用してもらいたい。

[制作協力:Seagate]

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