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漫画家ざら先生、“格安大型液晶ペンタブレット”HUION Kamvas GT-191 V2で描く

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シンプルな大型液晶ペンタブレットが欲しい!ペン充電不要の19.5型モデル

 PCやiPadで漫画やイラストを描いている、描いてみたいという声は年々増えているように思える。ちょっと力を入れて描くなら、やはりPCと大型液晶ペンタブレットの組み合わせが選択肢に入ってくるはず。とはいえ20型クラスのモデルはお高いのでは……と構えている方が多いのではないだろうか。ご心配なく。何と5万円台半ば(9月初旬現在の実売価格は56,000円前後)で手に入る20型クラスの液晶ペンタブレットが存在するのである。それがHUIONの「Kamvas GT-191 V2」だ。最初に言っておくが、この製品のスペックはなかなかのもの。前回のXP-Pen Artist 22E Proに続き、このKamvas GT-191 V2も漫画家のざら先生に使い勝手をチェックしてもらった。

HUIONのKamvas GT-191 V2。19.5型、フルHD解像度という仕様ながら、ショートカットキーなどがない代わりに額縁が狭く、コンパクトで場所を取らない。ペンは充電を必要としないタイプなのでバッテリ残量を気にしながら描く煩わしさがない

ペンが決め手のシンプルモデル

 まずはKamvas GT-191 V2の概要を紹介しよう。本製品は19.5型IPS液晶を採用した大型液晶タブレット。本体にファンクションキーを搭載せず、ペンは煩わしい充電を必要としない「パッシブ電磁テクノロジー」を採用。分かりやすいシンプルさがポイントだ。ペンの描き味にもこだわっており、筆圧検知は8,192レベルに対応し、読み取り解像度も5,080LPIと、現在最高レベルのスペックを備えている。付属品としてはペンのほかに、替え芯10本とそれを収納可能なペンスタンドが付属する。

ペンスタンドはペン先ホルダー
付属ペンスタンドには、10本のペン先が収納されているほか、中心部にはペン先を抜くためのミニピンセットも入っている。こんな部分もスマートかつシンプル

実際の描き心地、使い心地は?

 それでは、漫画家のざら先生にKamvas GT-191 V2を使った感想を聞いてみよう。

[ざら] 正直に言うと、“普通”に使えてしまいました。だから、よい意味であまり言うことがありません(笑) 。しいて挙げればペン先が少し沈み込む感じがありますが、この製品の持ち味でしょうかね。これは慣れで対応できる範囲だと思いますし、描き味は間違いなく滑らかで気持ちいいです。

 不自由なくペンを操っているように見えるざら先生。本製品にはファンクションキーがまったくないため、本体手前にキーボードを置いて執筆しているが、作業効率はどうなのだろうか?

[ざら] イラスト制作ソフトは基本的に画面上のメニュークリックだけで使えますし、パソコンのキーボードがあればファンクションキーとして使えるため、液タブ上にファンクションキーがないことで操作に大きく困ることはありません。この製品に関して言えば、ペン側にユーザー設定が可能なボタンもありますし。私としては、ショートカットは「Shift」、「Alt」、「Space」の三つくらいが使えればより楽です。こうしたキーが液タブ側に付いていないなら、自分なりに使いやすいサブデバイスを探すのもよいでしょうね。

 ショートカットキーが存在しないということは、逆に言えばカスタマイズ性が高く、自分らしい使い方ができるということのようだ。Kamvas GT-191 V2は左利きでも使用できるが、液タブ周辺のスペースに余裕があれば、慣れたサブデバイスも配置しやすいだろう。

ショートカットはサブデバイスでカバー
Kamvas GT-191 V2自体にショートカットキーは搭載されていないが、本体手前にテンキーレスのキーボードを置いて使うとよいバランスに。実際のところ、この写真や下記の動画の撮影の際に、ざら先生は非常にスムーズにKamvas GT-191 V2を使いこなしていた
ペンのボタンをいかに使うか
本体にショートカットキーはないが、ペンには任意に機能設定が可能な二つのボタンがある。筆圧感度設定も含め、有効に使いたいところだ

液晶パネルはsRGBカバー率100%
色調整は慣れたディスプレイでやるのもアリ

 メーカーによると発色のよいIPS方式の液晶パネルを採用し、色域はsRGBカバー率100%カバーとされている。この部分はどう感じたのだろうか?

[ざら] 色域そのものがどうなのかは分かりませんが、価格まで考えると十分アリの製品だと思います。液タブを導入するほとんどの人は、今使っているディスプレイの環境に追加することになると思います。でも、買ってきた液タブの色味がそのディスプレイといきなり一緒になることはまずないでしょう。これを合わせるカラーマッチングの作業は慣れていない方には大変なので、描いた後の色調整は慣れたディスプレイ側でやっちゃえばいいんですよ。

 液タブの表面はペン先や手のひらでこするのが前提であり、ペンの感触や描き心地を左右する上に、耐久性も求められる。一般的なディスプレイとは異なる性能が求められているのは間違いないだろう。

サブディスプレイとしても接続しやすい
映像入力はHDMI、DVI-D、Dsub 15ピンの三つ。ペンタブレットとして使わない時はサブディスプレイとして活用出来る。インターフェースは申し分ないが、配置的にケーブルが手前に来るので取り回しを意識するのが運用上のコツ
20°~80°で角度調整が可能
スタンドが付属。タブレットの角度はレバー一つで楽に調整できる。使用しないときは、立てておけば場所も取らない

どんな人にオススメ?

 最後に、トータルで見るとどんな方に向いている液タブなのか聞いてみた。

[ざら] ファンクションキーがない代わりにボディがコンパクトなので、机は狭いけど大型の液タブを使いたい、という方にはメリットが大きいんじゃないでしょうか。液晶のない「板タブ」の場合は小さいサイズのほうが扱いやすいことも多いですが、液タブの場合はそれなりの大きさがないとメニューのアイコンが小さ過ぎて見えないなんてこともありますし、逆に大き過ぎると腕を動かす範囲が広くなるので疲れやすくなります。そういう点で19.5型というのはとてもバランスがいいと感じました。それから、充電を気にせず作業に集中できるので、パソコン環境をなるべく変えずに液タブをさくっと導入してすぐに描いてみたいという方にもいいかもしれませんね。

 既存のPC環境・作業環境にもスムーズに導入できるKamvas GT-191 V2。もはや液タブは高価だから、小さなサイズでガマンするという時代ではなくなっているのだ。

【高コスパ液タブ“HUION”とXP-PENを比べてみた ~99マガジン連動動画~】
ざら先生がHUION Kamvas GT-191 V2で作画する様子を動画でお届け!

ざら

漫画家。芳文社『まんがタイムきらら』、講談社『good!アフタヌーン』などで連載歴がある。代表作は「ふおんコネクト!」、「ふたりでひとりぐらし、」など。インプレスDOS/V POWER REPORTにて「わがままDIY」を連載中。

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[制作協力:TSUKUMO]