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旧世代とは段違いの性能、GeForce RTX 3070をGeForce GTX 1070/RTX 2070と比べてみた

GeForce GTX 1070の倍の性能を叩き出す「MSI GeForce RTX 3070 GAMING X TRIO」 text by 坂本はじめ

「GeForce RTX 3070」を搭載したMSI製の最新ビデオカード「GeForce RTX 3070 GAMING X TRIO」

 NVIDIAからGeForceの新モデルGeForce RTX 3070が発売された。型番に70を冠するGeForceは、ここ数世代は性能と価格のバランスに優れたアッパーミドルGPUとなっており、GeForce RTX 3070に期待を寄せるゲーマーは少なくないだろう。

 今回、MSI製ビデオカード「GeForce RTX 3070 GAMING X TRIO」をテストする機会が得られたので、旧世代製品であるGeForce RTX 2070、およびGeForce GTX 1070とパフォーマンスを比較してみた。

 GeForce RTX 3070がどれほどの性能を実現しているのか、また、旧世代の「70系GeForce」を使用しているゲーマーにとって乗り換える価値のあるGPUなのか、ぜひ確かめてもらいたい。

冷却ファン3基の大型クーラーを搭載、OC仕様のGeForce RTX 3070カード

 MSI GeForce RTX 3070 GAMING X TRIOは、Ampere世代のアッパーミドル向けGPUであるGeForce RTX 3070を搭載したビデオカード。

 3基の冷却ファンを搭載する大型GPUクーラー「TRI FROZR 2」と、MSI独自のカスタム基板の組み合わせにより、GeForce RTX 3070のブーストクロックを1,725MHzから1,830MHz、パワーリミットを220Wから240Wに引き上げて搭載している。

MSI GeForce RTX 3070 GAMING X TRIO。3基のファンを搭載する大型クーラーを採用。
カード裏面。グラフェン製のバックプレートを搭載している。
GPU-Z実行画面。ブーストクロックは1,830MHzで、メモリには14.0Gbps動作のGDDR6メモリを8GB搭載している。
Power LimitはGeForce RTX 3070のリファレンス仕様(220W)より20W高い「240W」。

 カードサイズは323×140×56mmで、占有スロット数は3。画面出力端子にはHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)を搭載。動作に必要な補助電源コネクタはPCI-E 8ピン×2系統。重量級の大型ビデオカードであるため、パッケージにはカードを支えるサポートステイが付属している。

2つのブレードを外周部でリンクさせた独自の形状が特徴的な「TORX FAN 4.0」を採用。セミファンレス動作「Zero Frozr」にも対応。
カードの厚みは56mmで、3スロットを占有する。
画面出力端子はDisplayPort 1.4a(3基)とHDMI 2.1(1基)。
補助電源コネクタは8ピン×2系統。
GPUクーラーの重量による反り曲げを防止するため、肉厚の金属プレートによる補強が施されている。
製品パッケージにはビデオカードの重量を支えるサポートステイが付属している。

GeForce RTX 3070 vs GeForce RTX 2070 vs GeForce GTX 1070新旧3世代のパフォーマンスを比較

 今回、新旧70系GeForeceの性能を比較するにあたって、GeForce RTX 2070を搭載する「MSI GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G」と、GeForce GTX 1070を搭載する「MSI GeForce GTX 1070 GAMING Z 8G」を用意した。

 ビデオカードを搭載するテスト環境には、Ryzen 9 3950XにMSI MAG B550M MORTARを用意。パーツ構成は下記の表にまとめた通りだ。

MSI GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G。
MSI GeForce RTX 2070 GAMING Z 8GのGPU-Z実行画面。
MSI GeForce GTX 1070 GAMING Z 8G。
MSI GeForce GTX 1070 GAMING Z 8GのGPU-Z実行画面。

「3DMark」でGeForce GTX 1070の倍近い性能を叩き出すGeForce RTX 3070GeForce RTX 2070比でも性能はほぼ4割増し

 機材の紹介が終わったところで、まずは定番3Dベンチマークである「3DMark」から、DirectX 12テストである「Time Spy」と、DirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」の実行結果からみていこう。

 まず、DirectX 12テストのTime Spyでは、GeForce RTX 3070が「13,750」というスコアを記録。これは、GeForce RTX 2070の「9,889」を約39%上回り、GeForce GTX 1070の「6,799」には約2倍という大差をつけている。

 DXRを用いたリアルタイムレイトレーシング性能を測定するPort Royalでも、「8,229」を記録したGeForce RTX 3070が傑出しており、GeForce RTX 2070の約1.5倍、レイトレーシング用のRTコアを持たないGeForce GTX 1070には約6.6倍もの差をつけている。

ゲームで過去世代に圧倒的な性能差を見せつけるGeForce RTX 3070概ねGeForce GTX 1070の約2倍、GeForce RTX 2070から4~5割前後性能向上

 3DMarkでは旧世代の70系GeForceを圧倒してみせたGeForce RTX 3070。その抜群のパフォーマンスは実際のゲームでも発揮されるのかをチェックする。

 テストしたゲームは「フォートナイト」、「モンスターハンターワールド : アイスボーン」、「Horizon Zero Dawn」、「Microsoft Flight Simulator」、「Apex Legends」。

フォートナイト

 フォートナイトでは、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)で描画設定を「最高」にした際の平均フレームレートを測定してみた。グラフィックスAPIは「DirectX 12」を選択している。

 GeForce RTX 3070が記録したフレームレートは183.6fpsで、130.3fpsであったGeForce RTX 2070に約41%、91.5fpsのGeForce GTX 1070には約2倍の差をつけた。ひとまず、3DMarkで示した圧倒的なパフォーマンスが、ベンチマークだけのものでないことが証明された結果であると言えよう。

・フォートナイトでレイトレーシングとDLSSを有効化した場合

 フォートナイトで、DirectX Raytracing(DXR)を用いたリアルタイムレイトレーシングと、NVIDIA製GPUのTensorコアを用いるDLSS(Deep Learning Super Sampling)が実装されている。これらを有効にした場合のフレームレートを測定した結果が以下のグラフだ。

 レイトレーシング設定を全て最高設定、DLSSは「パフォーマンス」でそれぞれ有効化した結果、GeForce RTX 3070は60fpsを余裕で超える83.2fpsを記録。これは57.0fpsだったGeForce RTX 2070を約46%上回る結果であり、それなりに快適な動作でリアルタイムレイトレーシングを用いた描画を楽しむことができる。

 なお、GeForce GTX 1070については、Tensorコアを備えていないためDLSSを有効化できずノースコアとなっている。ちなみに、レイトレーシングだけであれば有効化することは可能だが、有効にすると操作不能なほどにフレームレートが低下(1fps未満)してしまった。

モンスターハンターワールド : アイスボーン

 モンスターハンターワールド : アイスボーンでは、描画設定「最高」をベースに「High Resolution Texture Pack」を適用した最高画質設定でフレームレートの測定を行った。画面解像度はフルHDで、グラフィックスAPIはDirectX 12。

 ここでもGeForece RTX 3070のパフォーマンスは圧倒的で、GeForce RTX 2070に約1.5倍、GeForce GTX 1070に約2.2倍の差をつける125.4fpsを記録している。

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、画面解像度をフルHD、グラフィックスプリセットを「最高画質」に設定してベンチマークを実行した。

 結果は、GeForce RTX 3070が平均116fpsを記録してトップに立っており、85fpsを記録したGeForce RTX 2070に約36%、62fpsのGeForce GTX 1070に約87%の差をつけた。

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、フルHD解像度で描画設定を「ULTRA」に設定。Daher TBM 930で羽田空港から関西国際空港へ向けてAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを取得した。

 測定の結果、トップは変わらずGeForce RTX 3070だが、そのフレームレートである41.9fpsは、GeForce RTX 2070の38.0fpsと約10%差、GeForce GTX 1070の32.1fpsとは約31%で、これまでテストしたタイトルの中でもっとも小さな差となっている。

 これは、Microsoft Flight SimulatorのULTRA設定ではCPUのボトルネックによってフレームレートが頭打ちになっているためだ。GeForce RTX 3070が持つパフォーマンスを十分に発揮するには、ゲーム側の最適化か、より高性能なCPUの登場を待つ必要がある。

Apex Legends

 Apex Legendsでは、フルHD解像度で描画設定を最高に設定。起動オプションでフレームレート上限を解放した状態で射撃練習場に入り、一定コースを移動した際のフレームレートを測定した。

 ここではGeForce RTX 3070本来の実力が発揮できており、平均フレームレートは230.6fpsに達している。これは、GeForce RTX 2070(161.2fps)に約43%の差をつけ、GeForce GTX 1070(111.9fps)の2倍以上の数値となっている。

旧世代モデルを圧倒するGeForce RTX 3070GeForce GTX 1070やGeForce RTX 2070からのアップグレードに

 GeForce RTX 3070が備えるゲーミング性能は、2世代前のGeForce GTX 1070はもちろん、1世代前のGeForce RTX 2070をも圧倒するほどのものであった。新規購入を検討しているユーザーにとってはもちろんのこと、旧世代の70系GeForceユーザーのアップグレード先としても魅力的な性能を備えたGPUである。

 バトルロイヤルやFPSのプレイ環境をよりよいものにしたい。あるいは、年末にかけて発売が予定されている新作ゲームをハイクオリティな映像で楽しみたいと考えているのなら、ぜひともGeForce RTX 3070を搭載したビデオカードの購入を検討すべきだ。その上で、ビデオカード自体の品質や耐久性にもこだわりたいのであれば、今回使用したGeForce RTX 3070 GAMING X TRIOを選択肢に加えてみると良いだろう。

[制作協力:MSI]