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PlayStation 5内蔵の高速SSDでPS4用ゲームも速くなる?実機で試してみた!

外付けSSDやPS4 Proも交えてロード時間を一斉比較、予想外の結果に! text by 佐藤岳大

 次世代ゲーム機「PlayStation 5」は、PlayStation 5ゲームで次世代のゲーム体験を楽しめるだけでなく、本体性能が向上したことで、既存のPS4ゲームをさらに快適にプレイできるマシンとしても注目を集めている。

 前回の検証ではUSB接続ストレージの仕様について、PlayStation 5の実機および、前世代の上位モデル「PS4 Pro」の実機と合わせて検証した結果を紹介した。

 今回は、ゲームのロード時間を比較して、PlayStation 5におけるPS4用ゲームのストレージの挙動を見ていきたい。

PlayStation 5でPS4のゲームを遊ぶなら内蔵SSDが最速?外付けSSDやPS4 Pro(SSD換装済み)なども入れて一斉比較!

 PlayStation 5には非常に高速なSSDが搭載されており、数値だけ見ればここにゲームをインストールするのが最速になるはず。今回はその数値通りにゲームのパフォーマンスが良くなるのか、外付けSSDやPS4 Proなども含め一斉に速度を検証してみた。

 PS4世代の本体は標準でSATA 3Gbps接続のHDDを内蔵するが、USB接続のHDD/SSDもストレージとして扱える機能を備えている。USB接続のSSDやHDDを「拡張ストレージ」として認識させ、PS4用ゲームのインストール先として利用できた。

 そしてPlayStation 5でも、PS4用のゲームを遊ぶのであれば拡張ストレージ機能が利用でき、PS4で使っていた拡張ストレージをそのまま使い回すことも可能だ。ただし、あくまでPS4ゲームのみ対応で、PlayStation 5ゲームは拡張ストレージへインストールできない(詳細は前回の検証を参照されたい)。今回はこの機能を利用して新旧環境と外付けストレージも含め一斉に比較を行う。

 PlayStation 5では内蔵SSDがPCIe 4.0 x4接続の高速NVMe SSDとなり、PlayStation 5のゲームでは従来機と比べてロード時間の大幅な短縮を実現している。しかし容量は825GBに限られ、PlayStation 5用ゲームをインストールする余地を空けておくためにも、PS4用ゲームをインストールしておくには惜しい。

 そのため、PS4のゲームは拡張ストレージ機能で外付けSSDを活用するのが良いというのは前回紹介したとおりだが、「内蔵SSDのほうが速いならそれを選ぶ」というのがゲーマーの性というものだろう。

 今回の検証でどの環境が最速なのかや、それぞれのメリットなども判明するので、「PS4のゲームを遊ぶ上で、PlayStation 5の内蔵SSDにインストールする意味はあるのか?」といった部分も見てもらいたい。

PS4用ゲームの大作で一斉にロード時間を比較外付けのNVMe SSDやSATA SSDも用意して6環境で検証!

 検証に使用するのは、本体はPlayStation 5とPS4 Pro。外付けSSDはNVMe SSDとSATA SSDの2種だ(ともにUSB 3.2 Gen2接続)。それぞれの本体で内蔵SSD×1、外付けSSD×2の環境でテストするので、計6環境での検証になる。

NVMe M.2 SSD「Intel 660p 1TB」と、AREAのNVMe対応M.2 SSDケース「SD-M2NV」。USB 3.2 Gen2(10Gbps)接続が最速となる。
6Gbps SATAの2.5インチSSD「Intel 540s 480GB」と、AINEXの2.5インチSATA SSD対応ケース「HDE-11」。こちらもUSB 3.2 Gen2(10Gbps)接続だ。

 検証ゲームにはオープンワールドゲームを中心とした、『モンスターハンターワールド:アイスボーン (Ver 15.10)』、『Ghost of Tsushima (Ver 1.17)』、『DEATH STRANDING (Ver 1.12)』、『Red Dead Redemption 2 (Ver 1.26)』の4本を用意した。PlayStation 5本体のファームウェアはVer 20.02-02.30.00だ。

 1点注意してもらいたいのは、PlayStation 5はファームウェアのバージョンによって性能が大きく変わる可能性がある点だ。まだ登場したばかりと言うこともあり、今後も改良などが進めば、今回の数値とは大きく違う結果が出る可能性もある。あくまで現時点での動作状況として見て欲しい。

 ロード時間の計測には、PlayStation 5本体のプレイ録画機能を使って、ゲームのタイトル画面あるいはセーブデータ選択画面からロードが完了するまでの時間を利用した。メモリへのキャッシュなどの影響を排除するため、すべて初回起動からのロード時間で記録している。

 なお、PS4 Proは本体SATAコネクタが6Gbpsとなっているため、内蔵ストレージをSSDに換装して高速化が実現できた。今回の検証で利用したPS4 Proも、内蔵ストレージを2.5インチSATA SSDへ換装済みのものだ。

『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のロード時間を比較

『モンスターハンターワールド:アイスボーン』

 まずは、ハンティングアクションゲーム『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のロード時間を比較していこう。

 モンスターハンターワールド:アイスボーンでは、「セーブデータ選択-アステラ拠点」間のロード時間と、「アステラ拠点-探索(古代樹の森)」間のロード時間の2つを計測した。

 結果は下のグラフのとおりで、PlayStation 5ではPS4 Proと比べてどの条件でも高速だった。

 注目したいのは、PlayStation 5の内蔵SSDよりも、外付けSSDのほうがロード時間が短い点。とくに、SATA SSDでも内蔵NVMe SSDよりロード時間が短いというのは、SSD自体の転送速度を考えると奇妙な結果だ。

『Ghost of Tsushima』のロード時間を比較

『Ghost of Tsushima』

 続いては、オープンワールド時代劇アクションアドベンチャーゲーム『Ghost of Tsushima』のロード時間を比較していこう。

 Ghost of Tsushimaでは、セーブデータ選択-ゲーム開始までのロード時間を計測した。

 結果はグラフのとおりで、今回の検証ゲームのなかでも発売から日が浅い最新タイトルということもあってか、ロード時間そのものが平均して短くハードウェアへの最適化が進んでいるため、それほど大きな差は出なかった。

 しかし1秒前後の差ながら、モンスターハンターワールド:アイスボーンと同じく、PlayStation 5ではPS4 Proと比べてどの条件でも高速。

 また、わずかな差ではあるがPlayStation 5の内蔵NVMe SSDよりも、外付けSSDのほうがロード時間が短い点も変わっていない。

 外付けSSD同士の比較では、PlayStation 5でSATA SSDよりもNVMe SSDのほうが高速という順当な結果となった。

『DEATH STRANDING』のロード時間を比較

『DEATH STRANDING』

 続いて、オープンワールドアクションゲーム『DEATH STRANDING』のロード時間を比較していく。

 DEATH STRANDINGでは、セーブデータ選択-ロード画面-ゲーム開始ボタンが表示までの時間を計測した。

 結果はグラフのとおりで、やはりPlayStation 5ではPS4 Proと比べてどの条件でも高速。PlayStation 5で比べると、僅差ながら内蔵NVMe SSDよりも外付けSATA SSDのほうがロード時間が短い点も同様だ。

『Red Dead Redemption 2』のロード時間を比較

『Red Dead Redemption 2』

 最後に、オープンワールドクライムアクションゲーム『Red Dead Redemption 2』のロード時間を比較していく。

 Red Dead Redemption 2では、ストーリーモード選択-ゲーム開始までのロード時間を計測した。

 今回の検証で唯一のブルーレイディスク2枚組という大容量ゲームということもあってか、ロード時間にも大きな差が現れた。

 結果は以下のグラフのとおりで、これまで同様にPlayStation 5はPS4 Proと比べてどの条件でも高速。

 PlayStation 5で比べると、外付けNVMe SSDが他に比べて明らかに高速という結果になった。内蔵NVMe SSDよりも外付けSATA SSDのほうがロード時間が短いのは相変わらずだ。

PlayStation 5でPS4のゲームを遊ぶなら外付けSSDはアリ!

 今回の検証で、「PlayStation 5では内蔵SSDよりも外付けSSDのほうがロード時間が短い」という予想外の結果となった。

 外付けSSDはUSB 3.2 Gen2 (10Gbps)で接続されているため、規格上のSSD転送速度は「内蔵NVMe SSD > 外付けNVMe SSD > 外付けSATA SSD」となる。

 しかし、計測した4ゲーム(5シーン)のロード時間の平均を比較した以下のグラフを見て分かるとおり、実際には「外付けNVMe SSD > 外付けSATA SSD > 内蔵NVMe SSD」の順で高速という結果になった。

 なぜこのような結果となったのか、原因としては以下の要因が考えられるが、PlayStation 5でPS4用ゲームを遊んだ際にどのような挙動になっているかなど、詳細なデータは公表されていないので、現時点では憶測の域を出ない。

・PlayStation 5内蔵のメモリ-ストレージ間のボトルネックを解消するカスタムチップとPS4用ゲームの相性が悪い。
・PS4用ゲームがHDD搭載環境に最適化されており、PlayStation 5が内蔵する最新世代SSDへの最適化が不足している。
・PlayStation 5は内蔵/外部ストレージでファイルフォーマットが異なり、PS4用ゲームには外付け用フォーマットの方が相性が良い。
・PS4互換動作時は、PlayStation 5内蔵SSD速度がPS4相当の速度までで制限がかかっている可能性がある。
・ファームウェアのバグで内蔵ストレージの速度が発揮されていない可能性がある。
・PS4用ゲームがPlayStation 5で最高のパフォーマンスを出すには何らかの最適化が必要になる。

 もちろん、今回の結果はPlayStation 5本体のファームウェアアップデート次第でガラッと変わる可能性があり、今後、特定のバージョン以降のファームウェアであればPS4用ゲームを遊ぶ際も内蔵SSDが最速となる可能性もある。上記にあげた内蔵SSDが最速とならない要因の予測も一気に解消されるかもしれない。今回の検証の結果はあくまで本体ファームウェアVer 20.02-02.30.00時点でのものなので、そこは留意して欲しい。

 今後どうなるかは予測が難しい部分が多いものの、PlayStation 5でPS4ゲームを遊ぶ場合、現時点では、外付けSSDにインストールした方が内蔵SSDを圧迫しない面でも速度面でもメリットがあると言える。PlayStation 5でPS4用ゲームをよく遊ぶユーザーは参考にしてもらいたい。特にPS4時代に外付けSSDを使っていたゲーマー諸氏は、そのままPlayStation 5に接続すれば即使えるお手軽さもあるので、今回の検証が役に立てば幸いだ。