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R.O.G.+Devil's Canyonで作る、“至高のPC”

ゲーミング+OC仕様、Core i7-4790Kで5GHz / [クラス別“PCの作り方”その1]

 Haswell Refresh、そしてDevil's Canyonが登場し、自作市場も盛り上がってきている昨今。「新たにマシンを組もう」ユーザーも少なくないと思う。

 そこで重要なのが、もちろんパーツ選び。「自作のツボ」となるパーツはCPUやSSD、ビデオカード、ケース、電源など多数あり、様々なこだわりがあったりするが、昨今、特に「こだわりポイント」が増している、と言えるのがマザーボードだ。

 CPUやチップセットの内蔵機能が増えた結果、単なるスペックでは違いが見えにくくなってきたが、そうした時代だからこそ、メーカーは製品別にテーマを設定。同じメーカーでも、「スタンダード」「ゲーミング」「オーバークロック」「高耐久」といったテーマにあった独自回路や機能、デザイン、BIOS設定項目などを搭載し、「こだわりのマザーボード」を仕上げてきている。

 そして、もちろん、「自分のこだわりポイント」にあった製品を選ぶことが、購入後の満足度に大きく影響してくるのだ。

 そこで今回は、ゲームやOCに向けたASUSのプレミアブランド「R.O.G.」を使い、ゲーミングとCPUのチューニング、その双方を楽しむ「至高のPC」を作ってみた。

 R.O.G.マザーの特徴はもちろん、組み合わせるパーツ選びのポイント、実際の機能など、ポイントを押えて解説していきたい。

そもそもR.O.G.ってなんだっけ?

R.O.G.の製品情報ページ。マザーボードにビデオカード、サウンドカードはもちろん、完成品のデスクトップPCやゲーミングノートもラインナップされている

 もはや説明の必要がないかもしれないが、ASUSTeKが展開するゲーマーやオーバークロッカー向けのプレミアムブランドが「R.O.G.」(Republic of Gamers)だ。

 RAMPAGEシリーズやMAXIMUSシリーズ、CROSSHAIRシリーズなどの高性能マザーボードや、MATRIX、MARS、ARESなどの高性能ビデオカードは、革新的な機能の数々でユーザーを驚かせるとともに、多くの支持を得ている。

 ゲームやオーバークロックに特化した「至高のマシン」を組むとなると、もはやR.O.G.シリーズを避けて通ることはできないと言っても過言ではないだろう。

9シリーズのR.O.G.はゲーミング+サウンドをさらに強化

ASUSが公表した、LANコントローラのベンチマーク比較。転送速度、Ping反応速度、CPU負荷、いずれの点でもIntel製のほうが優位だったという。

 さて、Z97世代のMAXIMUS VIIシリーズは、R.O.G.の基本コンセプトそのままに、ゲーミングやサウンド向けの新機能が追加されたのが特徴だ。

 まず、「ゲーミング」という点では、M.2スロットの搭載と、LAN機能のこだわり、そしてキーボードマクロ機能の「KeyBot」が3大ポイント。

 中でも興味深いのがIntel LANに対するこだわりだ。

 ASUSの社内テストによると「他社のゲーミングマザーで採用例が多いKiller NICよりも、Intel製コントローラの方が、通信速度、CPU使用率の両面でアドバンテージがあった」という。同社では社内テストの結果も公表しており、同社が「いかにこだわったか」をアピールしている。また、LANコネクタそのものについても、保護回路を1層→3層に強化した「LAN Guard」構造を採用、故障に対する強靱さや優れた信号特性を実現したという。このほか、ゲームの通信優先度を高める独自ユーティリティ「GameFirst III」も搭載、3つあわせた機能性・堅牢性をウリとしている。

「どんなキーボードでもマクロ機能を利用できる」というKeyBot。そのための専用チップも搭載しているという

 また、キーボードマクロ機能の「KeyBot」も興味深い機能。これは、「どんなキーボードでもマクロ機能を利用できる」というもので、そのための専用チップも搭載している。ゲーム向け機能を後付けできるため、ゲームプレイ用キーボードを「ゲーム向け製品」にこだわらず選べるのはメリットだろう。

 M.2スロットは9シリーズチップセットで正式サポートされたため、「もちろん搭載している」ことになるが、8シリーズ世代のマザーボードと比べると、大きなアドバンテージになるのは間違いない。

サウンド回路部。デジタル回路とアナログ回路が分離されていることが見て取れる
ゲーミングデバイスやUSB DACの接続を想定した「TrueVolt USB」。USBバスパワーの微細電圧降下を防止するという

 一方、「ゲーミングの要」というポイントで強化されたのがオーディオ関連。

 「SupremeFX 2014」というブランド名でまとめられたオーディオ機能は、「Sonic SenseAmp」という150Ωまでのヘッドホンに対応可能な高性能ヘッドホンアンプや、「Sonic Stage」というリアルタイムでサウンドプロファイルの切り替えが可能なオンボードボタンが新たに実装。従来からのノイズ対策(デジタル/アナログ信号のエリア分離、サウンドチップに対するノイズカバーの装着、ELNA社製の高品質オーディオコンデンサの搭載)と相まって、より音質が高まったという。

 また、細かいところではUSB DACなどの音質向上を目的に、USBバスパワーの安定性が強化されている。これは、USB DACのような繊細なオーディオ機器を接続しても音質に影響が出ないよう、微細な電圧降下を起こしにくくなるという回路設計「TrueVolt USB」によるもので、複数のUSBデバイスを接続した際も効果を発揮するとのこと。

 その他、には改良されたUEFI BIOSも特徴のひとつだ。これはR.O.G.シリーズに限ったことではないが、デザインが一新されたことによって、より直感的な操作が可能となっている点は評価したい。見易くなったことにより、操作性が向上したので、複雑な設定が必要なOC時にはアドバンテージになりそうだ。

今回はR.O.G.の普及版「MAXIMUS VII HERO」をチョイス

MAXIMUS VII RANGER
9シリーズR.O.G.の普及モデルで、実売価格は22,000円前後
MAXIMUS VII HERO
9シリーズR.O.G.の標準モデルというべき存在。SATAポートが増え、よりOCに適した回路設計が特徴だ。実売価格は27,000円前後
MAXIMUS VII GENE
9シリーズR.O.G.では現在唯一のmicroATXモデル。実売価格は25,000円前後

 9シリーズのR.O.G.シリーズとして現在発売されているのは、「MAXIMUS VII HERO」、「MAXIMUS VII RANGER」、「MAXIMUS VII GENE」の3枚。

 今回、その中から選んだのはATXモデルの「MAXIMUS VII HERO」だ。

 実売価格が最安なのは「MAXIMUS VII RANGER」だが、実はOC向けの作り込みは「MAXIMUS VII HERO」の方が何枚も上。最大60A対応のチョークコイルの採用や、コンデンサの増加など、細かいポイントがかなり違う。CPUをチューニングする楽しみを考えるなら、こちらのほうがいいだろう。

 なお、予算に糸目を付けなければ、オーバークロッカー向けのEXTREMEやコアゲーマー向けのFORMULAという選択肢もあるが、こちらはまだ未発売。ちなみに、これらハイエンド製品はかなり尖っているのが特徴で、EXTREMEは極冷向け機能まで搭載している。とことんこだわるなら、こうした製品を考える手もあるだろう。

 という訳で、品質と使い易さを第一に考え、「ゲームもオーバークロックもこなせれる至高のマシンを作る」となると最適なマザーボードは「MAXIMUS VII HERO」になる、と考えている。

「至高のPC」のためのパーツ選び

Devil's CanyonはCore i7とCore i5の2種類ある。価格差は約1万円だ

 まずはマザーボードをチョイスしたが、基本性能を高めるためには、当然、組みわせるパーツにもこだわりたい。

 特にCPUはマシンの性能を大きく左右するパーツなので重要だ。

 Devil's CanyonにはCore i7-4790KとCore i5-4690Kの2モデルがある。両者の価格差は約10,000円で、クロックはそれぞれ通常4GHz/3.5GHz、ターボ時4.4GHz/3.9GHz、キャッシュ容量8MB/6MB。動作クロックが違うのもポイントだが、決定的な差は「Hyper-Threadingに対応しているか否か」だろう。

 前者は4コア/8スレッド、後者は4コア/4スレッド。ゲームだけを考えるなら、安価なCore i5-4690Kを選び、浮いたお金をビデオカードに回すというやり方もいいし、他の用途も考えるなら、スレッド数が倍のCore i7-4790Kの方が高性能。特にオーバークロック時、CPUクロックが伸びれば6コア12スレッドのCPUに肉薄できるようなベンチマークもあるので、Core i7-4790Kを選んでおいて損はないだろう。

「至高」を目指すのであれば、メモリは高クロック品を選びたい。オススメはDDR3-2133以上の製品

 次にメモリついて。

 容量は4GB×2枚の8GBあれば問題ない。余程メモリ容量が必要ならば8GB×2枚の16GBでもいいのだが、DDR3-2133の製品ともなると実売価格が2万円を軽く超えてくる。メモリ容量が必要な環境以外ではコストパフォーマンスに優れる4GB×2枚の8GBをお勧めしたい。

 容量よりもこだわって欲しいのはメモリの動作クロックだ。動作クロックの高いOCメモリを使うことで、ベンチマークのスコアだけでなく、ゲームのFPS値が向上する場合もあるので、DDR3-2133以上の製品がオススメだ。

 しかし、高ければいいというものではないので要注意。DDR3-2666までは問題ないのだが、DDR3-2800あたりの高クロック品ともなると、CPU内蔵メモリコントローラの耐性によっては動作しない場合があるので注意が必要だ。予算の範囲で最も動作クロックの高い製品を選ぶという考え方でOKだ。

ビデオカードはゲームに応じてチョイスすることになる。なお、Radeonでの選択例はこちらを参照

 次にビデオカードだが、こればっかりは、プレイしたいゲームのタイトルでチョイスすることになる。

 たとえば、BATTLEFIELD 4など、描画の重いタイトルでは最低でもGeForce GTX 760を選びたいし、さらに高画質設定でプレイしたいならGeForce GTX 780 Tiクラスのハイエンド製品が必要になってくる。逆にそこそこの画質でプレイできればいいといった場合や、オンラインゲームなどの負荷の軽いタイトルをメインにプレイする場合はGeForce GTX 750 Tiでも十分だろう。

【ストレージ、ケース、電源はどう選ぶ?】

ストレージは当然SSD。容量も240GB〜256GBクラスを選びたい。
ケースは趣味次第。ただし、冷却能力の高さには注意しよう。
オーバークロックを視野に入れるなら、電源は最低800Wクラスを。ハイエンドビデオカードを使うなら1,000Wクラス以上を考慮したい
CPUクーラーは絶対的な冷却能力だけを考えるなら簡易水冷よりも大型の空冷を。簡易水冷の場合は14cmファン搭載タイプがいいだろう

 さて、ストレージ、ケース、電源などのパーツ選びもマシンの性能を決める重要な要素だ。ここでは、ゲーミングとオーバークロックを前提としたパーツ選びのコツを紹介したい。

 まずはストレージの選び方。まず、SSDなのは大前提として、重要なのは容量だ。ゲームのインストールを考えると少なくとも240GBや256GBクラスの製品を選びたい。絶対的な速度を重視すると、容量当たりの価格が高くなってしまうので、容量単価と速度のバランスが取れた所を選ぶといいだろう。

 デザインなどの好みは人それぞれなので、ケース選びに最適解はない。しかし、選ぶ際に注目して欲しい点が1つある。それは冷却力の高さだ。ビデオカードの冷却がFPS値の向上に繋がるゲーミングや、パーツの温度が下がることでクロックが伸びるオーバークロックにおいて、冷却力の高さはとても重要な事柄だ。不要なベイの取り外しができるケースや、メッシュ加工を積極的に採用するケースは、エアフローが優れているのでゲーミングやオーバークロックに向いている。

 電源選びは容量と+12Vの仕様に注目しよう。まずは容量だが、ゲーミングだけでなくオーバークロックも視野に入れているので、最低でも800Wクラスの電源を選びたい。次に+12Vの仕様だが、オーバークロック時の安定性を考えると、シングルレーンに集約されている製品が望ましい。GTX 780 TiやR9 290Xなどのハイエンドビデオカードを搭載する場合は1,000Wクラスの電源を選んだ方がいいだろう。

 CPUクーラーに関しては、絶対的な冷却力を重視するなら大型の空冷クーラーがベスト。しかし、大型のヒートスプレッダを装着するOCメモリを選んでいる場合は、ソケット周りとの干渉が抑えられた簡易水冷タイプが望ましい。ラジエータが120mmサイズの製品では、オーバークロックによる発熱を冷やし切れない場合があるので、240mmサイズの製品や、14cmファンが搭載可能な140mm/280mmサイズの製品を選んだ方がベターだ。

実際に動かすと………

今回チョイスしたMAXIMUS VII HERO

 さて、パーツのチョイスを説明したところで、「では、何ができるか?」をチェックしてみた。

 最初に試してみたのは、MAXIMUS VIIシリーズより新たに導入されたキーボードマクロ機能「KeyBot」だ。

 ユーティリティ上からは、4種類の設定をF1〜F10までのキーに設定することが可能。また、F11/F12/DELキーを「独自機能付き電源ボタン」にすることができ、OC状態などでのシステム起動やUEFI BIOSへのダイレクト起動も実現できる。

 検証用キーボードには「ゲーム向け機能を持たない製品」ということで、東プレのRealforceを使用したが、ユーティリティ上から機能割り当てを行うと、F1〜F10のファンクションキーに一連のキーストロークやメディアキーなどを設定できた。

 ディレイなどの細かい設定はできないため、複雑な設定は組めないが、シンプルさ故に誰でも簡単に使うことができるだろう。意外と便利に感じたのが、メディアキーの割り当てだ。音量の上げ下げを登録しておけば、ゲーム中のシーンに合わせて音の調整が出来るだけでなく、音楽鑑賞にも使えるのでとても便利だ。ゲームだけでなく、日常使用においても便利なので、是非とも活用したい機能だ。

「Macro Keys」欄からはキーボードマクロの設定が可能。登録したいキーを順にクリックするだけで簡単に設定が行える。
「Smart login」欄からはwebサイトのパスワード入力設定が可能。パスワードを登録しておけばワンタッチでログインする事が可能。文字数は50文字まで設定可能
「Function Keys」欄からは音量の調整などのメディアプレーヤーの設定から、メールやブラウザなどのソフトウェアの起動まで様々な設定が可能となっている。コピー、カット、ペーストなどの設定も可能なので事務用途にも便利そうだ。
「Shortcut」欄からは任意のソフトウェアを起動する設定を割り当てれる。良く使うソフトウェアを割り当てておくと、ワンタッチで起動できるので便利だ。
「Sonic Radar II」の設定画面。表示させるレーダーの透過具合やサイズ設定に加え、「レーダー信号」が画面上から消えるまでの時間も設定できる。その他には銃声や足音、爆発音などのどれを認識させるかの設定もできる。

 また、敵の銃声や足跡、爆発音などを画面上にオーバーレイ表示可能な「Sonic Radar II」も試してみた。あまりにも衝撃的な機能のため、チートになりかねないと登場時に物議を醸した機能だが、PCが出力する「音」の位置を検知し、画面上のレーダーにその方向を表示する、というものだ。

 実際に使ってみると、まさしく能書き通りの表示になるので、これは正直驚きだ。熟練プレイヤーはマップを覚え、音を聞き、敵の進行具合を読みながらプレイするので、この手の機能は必要ないかもしれないが、初心者には「敵の位置を把握する」という意味で大きなアドバンテージになるかもしれない。もっとも、撃ち合いに勝てるかどうかは別の話だが…

4つのプロファイルの内で用途に合わせたものを選び、任意のアプリケーションの優先度を上げることで効果を発揮する。ゲームの場合はゲームモードを選択し、プレイするタイトルの優先度を上げればOK。

 このほか、ゲームの通信優先度を高める「GameFirst III」の画面は右の通りだ。

 ユーティリティ上からは起動中のアプリケーションの通信優先度を細かく設定できる。プレイしているゲームの優先度を高く設定すれば、ゲームの通信を優先して行うようになるので、遅延が発生しにくくなるという。通信の遅延が命取りになるオンライン対戦では強力な武器になりそうだ。外部ソフトウェアでボイスチャットをしながらゲームをプレイするような場合や、動画配信をしながらプレイする場合には重宝すると思われる。

せっかくなので、軽くOCもしてみた

オーバークロックの設定はAI Suite III内の「Dual Intelligent Processor 5」から行う。ファンコントロール機能や各種モニタリング機能も集約されているので使い勝手は良好だ。
「Dual Intelligent Processor 5」のTPU欄をクリックするとオーバークロック設定のページに切り替わる。下部のモニタリング欄はそのまま表示されているので、CPU温度や各種電圧を確認しながらオーバークロックできるのがGOOD。
4コア8スレッド状態で5GHzを突破。発熱が少ないので空水冷ではかなり楽しめるCPUだ。詳細な検証結果はこちら

 さて、Devil's Canyonの持つポテンシャルを試すべく軽くOCしてみた。

 なお、検証を行ったのが発売日前のため、エンジニアリングサンプルによるを検証であることを最初にお断りしておく。また、今回は「ベンチマークを走らせる」というより、「クロックをどこまで気軽に伸ばせるか」を主眼にしている。

 オーバークロックの方法だが、今回はASUSのAI Suite III内の独自ユーティリティである「Dual Intelligent Processor 5」を用いてVcoreとCPU倍率の調整を行うのみにした。ただし、CPU-Zのバリデーション取得時にCPUクロックがドロップするのを防ぐために、予めUEFI上から省電力機能は無効にしてある。

 気になる結果だが、CPUクロックは5GHz超えを達成できた。最終的にCPU倍率51倍の5.1GHzまで目視したが、スクリーンショットの取得が困難な上に、バリデーションファイルが破損していたりとOSの挙動が不安定だった。OCに不向きなWindows 8.1を使用していたのが原因と思われる。バリデーション取得に有利なWindows XPを使用すればさらに上が狙えそうな手応えさえ感じた。

 ダイとヒートスプレッダの間のグリスが改良されたDevil's Canyonは、CPU温度が低下した恩恵で従来のHaswellよりも動作クロックが伸ばしやすい印象を受けた。筆者の友人のオーバークロッカーからも空水冷で5GHz超えの報告を何件か聞いているので、空水冷でのOC耐性は上がっていると見て間違いない。

(清水 貴裕)

ASUS MAXIMUS VII HERO